京都駅と山科駅の中間に、新駅を設置する構想があります。構想自体はかなり昔からあるようですが、どのような状況になっているのか、商店街振興会と市の担当者に聞きました。
JR奈良線の東福寺駅の北、東大路通り沿いに広がる今熊野商店街のアーケードに「JR東大路駅早期実現へ」と書かれたプレートが取り付けられています。今熊野商店街振興会に問い合わせると「50年以上前から新駅を作ってほしいという要望を出し続けています」という言葉が返ってきました。
京都市東山区の今熊野商店街に掲げられている新駅誘致の看板(乗りものニュース編集部撮影)。
東大路通は京都市東部、鴨川よりも東側の市街地を南北に走る幹線道路です。沿道には八坂神社や祇園、清水寺、東福寺など京都を代表する神社仏閣や名所が多く、観光客の姿が絶えません。それにくわえ大谷本廟、区役所、学校など地元住民が利用する施設もあり、渋滞が頻発する道路のひとつです。
東大路通りは今熊野商店街の北端にある今熊野橋で、JR琵琶湖線・湖西線と立体交差します。この今熊野橋付近に駅を新しく設置すれば付近の利便性が上がり、人の流れも変わるのではないか、というのが要望の理由だそうです。50年前は、ここに市電も通っていました。
「京都駅から西、嵯峨野線はいくつか新駅もできて便利になっています。一方、東は京都駅を出たら山科駅まで駅がありません。この近くには神社仏閣も多く、学校も2つあります。
確かに、嵯峨野線では平成以降、太秦、円町、そして梅小路京都西と3駅が誕生しています。京都駅東側の地元の悲願であるこの「JR東大路駅」設置構想、今の状況はどうなっているのでしょうか。
市議会で請願を採択も2016(平成28)年10月8日、京都市議会は「JR東海道線東大路駅(仮称)新設の検討」という請願を採択しました。しかし、請願が採択されたからといってすぐに駅の新設が具体化するわけではありません。
地元住民と京都市が話し合う場のひとつに「東大路通歩行空間創出推進会議」があります。この会議の2015年、2017年の抄録に新駅についての話が記録されていました。抄録によると、京都市とJR西日本で協議は行ってはいるものの、工事の難しさや費用や採算面で課題が多く解決には至っていない状況のようです。
では、現在は京都市とJR西日本の協議はどういう状態になっているのでしょうか。京都市の都市計画局歩くまち京都推進室に問い合わせました。
「新駅設置の請願は市議会で採択されていて、尊重しなければいけません。しかし、では何か話が具体的に進んでいるかというと、特に進んでいないというのが現状です。今後の予定も特に何もありません」
今熊野商店街振興会は「いろいろ難しいことがあるのは承知していますが、京都市やJRさんとの話し合いは今後も続けていきます」とこれからも要望を続けていくそうです。