聞いているだけで難しさが伝わってきました!

「那覇アプローチ」とは?

 空を飛ぶ旅客機は自由なルートで目的地まで飛んでいるわけではなく、空港内にある管制塔などにいる航空管制官によるコントロールのもと、目的地までたどり着きます。そのなかでとくに管制官にとって、技術が求められるようなスゴい空港や空域はあるのでしょうか。

元航空管制官で、退職後は航空系ブロガー兼ゲーム実況YouTuberなどで活躍するタワーマンさんに聞きました。

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離陸する旅客機。写真は那覇空港(乗りものニュース編集部撮影)。

 タワーマンさんは「混んでいる空港の管制官がどこの空港でもやれるわけではない、というのはご理解いただいたうえで」と前置きし、「僕のイメージで最強は、那覇アプローチ(進入管制)ですね。あそこにいらっしゃる方は日本で有数の管制官と思ってもいいのではと思います」と話します。

 この那覇アプローチは沖縄本島上空と周辺の航空管制を担うもので、同氏によると、かつて「嘉手納アプローチ」として米国側が管制していたものが、日本側に移管されたものだそう。

 その難しさについてタワーマンさんは「まずパイロットがバリバリのネイティブ英語であるほか、速度の速い米軍戦闘機がいたかと思えば、かたやたとえば『P-3C』哨戒機など、飛行スピードが低いターボプロップ機が飛んでいるなど、(飛び交う飛行機の)速度差が激しいことが挙げられます」と話します。

まだあるぞ!「那覇アプローチ」の凄さ

 タワーマンさんは「那覇アプローチ」の航空管制の凄さについて次のように続けます。

「(飛んでくる飛行機が)米軍なので、使っている用語やルールも特殊なんですよね。那覇アプローチの管制官は、国内空港で使用されているマニュアル『管制方式基準』に加えて、FAA(アメリカ連邦航空局)のルールもちゃんと理解しなければいけないんです。もちろん、FAAのマニュアルは全部英語です」(タワーマンさん)

 また、日本式・アメリカ式で異なる言葉の使い方も那覇アプローチの特徴のひとつとのこと。

「たとえば飛行機の呼び出し符号も、FAAでは『運航者+便名』の後ろに“Heavy”をつけることが正しい一方で、日本の管制では“Heavy”をつけないことが正しいんです。

また、周波数の“点”の読み方も、たとえば『121.5』を、(日本式の)『ワン・トゥー・ワン・デシマル・ファイブ』、(FAA式の)『ワン・トゥー・ワン・ポイント・ファイブ』、どちらで読むかなど、そういったものを(状況に応じて)混同せずにやっていくというのは、他の空港ではまずないと思います」(タワーマンさん)

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 このほかタワーマンさんは滑走路1本あたりの発着数が日本一を記録している福岡空港や、その空港に不慣れな外国のパイロットが運航する便でも、誤解がないようにケアしなればならない関西、中部、成田といった国際空港なども”スゴい空港”として挙げています。

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