浜松と飯田が近くなります。
三遠南信道の最難所工事が進む青崩峠トンネル(画像:国土交通省)。
国土交通省 飯田国道事務所は2023年12月7日(木)、静岡・長野県境で工事が進められている「青崩峠トンネル」の工事状況を更新しました。
このトンネルは整備中の「三遠南信道」の「最難所」と言われている区間です。三遠南信道は、浜松市の新東名からまっすぐ北の山岳地帯を抜けていき、長野県飯田市の中央道へ直結する高規格道路。全通すれば太平洋側と信州方面の新たな直結ネットワークが形成され、「道路不毛地帯」と言われる厳しい南アルプスに貴重な自動車ルートが開拓されることとなります。
青崩峠トンネルは2019年に掘削開始し、ことし5月に貫通。現在はトンネル内部の掘削面をコンクリートで巻き立てる「覆工」の工事が進められています。今回の発表で、その覆工もいよいよ「進捗率83%」に達したとされました。
ちなみに、静岡・長野県境の山奥にあるこの青崩峠付近に、かつてバイパスをとおして走りやすい道にする計画がありました。東側を抜ける「草木トンネル」がまず1994年に開通しましたが、そこから先は、断層帯などに阻まれ、結局断念。今に至るまで、ここを抜けるには狭隘で急勾配・急カーブの続く林道を延々と走るしかなく、国道153号は屈指の「未開通の酷道」のひとつとされています。
こうした「土木が一度敗北した場所」に、いよいよトンネルが完成し、車が走り始める時が近づいています。周辺部工区でも工事が着々と進行中で、互いに隔絶した浜松と飯田は、近い存在になりつつあります。
ところで、青崩峠トンネルの全長は4998m。ギリギリ5000mにならない長さで設計されています。このような例は新名神の箕面トンネル(4997m)、中部横断道の樽峠トンネル(4999m)など各地で見ることができます。

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