飛行機を予約したのに、いざ現地で「搭乗ができない」現象が稀に発生します。これは航空会社が意図的に所定の座席数よりも多く予約を受け付けているため発生するものです。

なぜこのようなことを行うのでしょうか。

結構メリットもある「オーバーブッキング」

 旅客機で予約率が高い便の場合、予約を済ませているにも関わらず、その旅客が「搭乗できない」現象が稀に発生します。実は航空会社が意図的に、所定の座席数よりも多く予約を受け付ける「オーバーブッキング」によるものです。なぜ航空会社はこのようなことを行うのでしょうか。

「予約してるのに!」旅客機“満席で乗れません”なぜ発生? 「...の画像はこちら >>

ANAの旅客機(乗りものニュース編集部撮影)。

 ANA(全日空)は「公共交通機関として、当該便でより多くのお客様にサ-ビスをご提供するため」とし、次のように説明しました。

 便の予約をしていても当日、空港へ来ない人が少なからずいるといいます。「たとえば100席あるうち90人しか集まらなければ、その便にはあと10人乗れたわけです」。過去の統計から、特定の曜日や便において数名の当日来ない可能性が高いとわかっていながら、「その座席を空席で運航することは、『公共交通機関』として、お客様の利便性にそむく」とのこと。

 また、たとえば100席のところ90席では計算上、ひとりあたりの運賃が高くなるのだとか。オーバーブッキングを行うことで、それよりも低価格な運賃を設定することも可能になるとしています。

 また、オーバーブッキングが発生する便は、ある程度の便数があり、次の便に案内しやすい路線などで発生することが一般的。

たとえば羽田~新千歳や福岡線などの「国内幹線」がこれにあたるでしょう。

「便振替に協力」意外といいことも?

 オーバーブッキングに遭遇すると、確かに「なぜ私が」と思うのも無理はないかもしれません。しかし、悪いことばかりでもありません。

 こうした人を想定し、ANAやJAL(日本航空)といったフルサービスキャリアでは、手厚い補償が対象旅客に設けられていることが一般的です。たとえばANAでは「フレックストラベラー制度」という制度を用意。その内容を公式サイトで次のように紹介しています。

「ご予約をお持ちのお客様の数が座席数を上回り、座席が不足した場合、当該便を予約済みのお客様の中から、ANAが提示する協力金額および代替交通手段に同意され、自主的に便の変更等についてご了承いただける方を募り、ご協力いただいたお客様に対して、協力金のお支払いおよび代替交通手段の提供を行う制度です」

 なお、ANAの「協力金」は、代替交通手段への振り替えが当日であれば1万円で、翌日以降であれば2万円。また、ANAマイレージ会員には当日7500マイル、翌日1万5000マイルの給付にも対応しています。ちなみに、羽田~那覇の片道を普通運賃で乗った場合は984マイルなので、かなり多いマイル数です。

 7500マイルあれば、使い方によっては東京~九州を1往復できます。たとえば、毎週選ばれた対象路線で、通常のマイル数より少ないマイルでANA国内線特典航空券が利用できる「とくたびマイル」で、羽田~九州線の片道が3000マイルで発券できる場合などが、これにあたります。

 このほか、代替の交通費や宿泊費などは航空会社側が負担します。

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