大谷翔平選手から水原一平氏が盗んだ額、それを使った賭博の負け額が話題です。額が大きすぎてイマイチ実感もわきませんが、兵器の価格に直すとどの程度のものなのでしょうか。

その総負け金…空中管制機が買えます!?

 メジャーリーグ・ドジャースの大谷翔平選手の元通訳、水原一平容疑者が2024年4月12日、ロサンゼルスの連邦地裁に出廷して保釈が認められました。水原氏は大谷選手の銀行口座から1600万ドル(約24億5000万円)以上を不正に送金した銀行詐欺容疑で訴追されました。

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日本の自衛隊で運用されているF-35A。約140~150億円といわれている(画像:海上自衛隊)。

 報道によると水原容疑者の負け総額は約280億円、勝ち分を引いた損失額でも約62億円となるそうです。あまりに額が大きすぎて、イマイチ実感がわかないかもしれません。

高級スポーツカーやプライベートジェット機も結構な数が買えてしまいますが、兵器の値段で比べてみると、水原容疑者の総負け金額の“とんでもなさ”がピンとくるかもしれません。

 現在、航空自衛隊がアメリカのロッキード・マーチンから購入している第5世代戦闘機であるF-35「ライトニング II」は通常タイプのF-35Aの機体のみの購入価格が約140~150億円といわれていますので、2機を買える可能性があり、飛行隊の最小単位である1個飛行分隊を作ることができます。

 また、イギリス、イタリアと共同で開発が開始された第6世代戦闘機「テンペスト(F-3)」開発計画で完成する予定の機体の購入金額が1機で約200億円になるとみられており、同機でも水原容疑者の負け総額には届きません。

 最も価格が近いのは、早期警戒機であるE-2D「アドバンスホークアイ」で、現状での円安の影響などを考慮すると、280億円に限りなく近い金額になるかと思われます。同機は強力なレーダーで空中の警戒・監視を行う、防空の要となる貴重な軍用機です。

戦車だともはや部隊が作れてしまう!!

 では、陸上自衛隊の装備ではどうでしょうか。

2024年時点で最新鋭である10式戦車に関しては1両が約10億円といわれていますので、単純に28両購入することができます。

 自衛隊の戦車部隊は4両1個小隊というのが原則で、これが3つ集まると中隊になります。これに中隊長が乗る戦車、すなわち中隊長車が加わり、1個戦車中隊は13両で編成されます。なんと、水原容疑者の負け総額で2個戦車中隊が作られてしまうのです。改めて驚くべき金額であることがわかります。そして、勝ち分を引いた損失額でも約62億円ですので、6両は購入できてしまいます。

 なお、海上自衛隊で海外のフリゲートに相当するもがみ型護衛艦の場合は、1隻約480億円といわれていますので、半分以上の価格に相当します。

水原一平氏は「戦闘機ウン機分の額をスッた男」!? 大谷選手めぐる報道 兵器で考えるとトンデモない額だった!
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スラローム射撃を行う10式戦車(画像:陸上自衛隊)。

 ちなみに、マカオやシンガポールのカジノに自社の資金をつぎ込んで実刑判決を受けた元大王製紙会長の井川意高氏は、勝ち分を差し引いた損失だけで106億8000万円あり、ほぼ航空自衛隊が保有するF-15Jが1機買える金額に相当します。井川氏は自身のX(旧:Twitter)にて、トータルの負け分は2兆円にもなると言及しており、この価格になると飛行隊が結成できてしまう、国家予算クラスの話となります。