鉄道会社経営ゲーム『A列車で行こうシリーズ』の最新版『A列車で行こう9 Version4.0 マスターズ』の発売が告知されました。いままでのシリーズとは趣の異なるパッケージには、開発者の特別な思いが込められているそうです。
『A列車で行こう』はプレイヤーが鉄道会社の社長となって線路を敷き、列車を運行するゲームです。第1作は1985(昭和60)年12月に富士通製8ビットパソコン「FM-7」用として発売されました。その後、NEC製パソコン「PC-8800シリーズ」、シャープ製パソコン「X1 Turbo」などへと移植されています。
その登場時、ゲームのルールは鉄道会社の社長として「線路を敷き、お客を運び運賃を得て、資材を運び、さらに線路を延伸、大統領列車を目的地に送り続ければクリア」でした。しかし、5年後の1990(平成2)年に発売された『A列車で行こうIII』からゲームの目的が変わり、鉄道会社を運営しつつ、子会社の設置によって都市を発展させていくスタイルに。そして画面は見おろし型の立体的なグラフィックへ進化しました。
その後、『A列車で行こう』シリーズは家庭用ゲーム機などへも積極的に展開されていきます。PC版は2005(平成17)年の『A列車で行こう7』から再開、2010年の『A列車で行こう9』で完全な3Dグラフィックとなりました。2012年には同『Version2.0 プロフェッショナル』、2014年には同『Version3.0 プレミアム』が登場。そして今年、2015年6月19日に、さらなる改良版の同『Version4.0 マスターズ』が発売されます。
パッケージの雰囲気が大変化したワケ『A列車で行こう9 Version4.0 マスターズ』では、10km×10kmの広大なマップで、最大200編成の列車を運行できます。これは山手線の約4倍に匹敵する本数です。
また列車ダイヤの詳細な設定機能はそのままに、列車を色分けして管理する機能が追加されたほか、さらに自分で設定したダイヤのなかから列車を選び、自分で運転できるようになりました。特急列車を運転しているときに、あらかじめ前方の各駅停車を駅で待避させたり、単線区間で運転しているときに、指定した駅ですれ違いさせたりできます。このように『A列車で行こう』はユーザーの希望を取り入れ進化していきました。
ところで、今作の『A列車で行こう9 Version4.0 マスターズ』は、パッケージがいままでの作品とは趣が変わっています。これまではゲームマップや「鉄道と都市を俯瞰するイラスト」などが使われていました。しかし、今回のパッケージは駅の内部。ヨーロッパの荘厳な終着駅という雰囲気です。実はここに、開発者の思いが込められているそうです。
この写真はポルトガルの首都、リスボン市の終着駅、ロシオ駅です。ロシオ駅は1957(昭和32)年までリスボンの中心的な駅として活躍しました。メーカーのアートディンクによると、「ゲームにこのような駅舎が登場するわけではありません」とのこと。
『A列車で行こう』シリーズは、1985年12月に初登場。今年、2015年12月に30周年を向かえます。これは筆者の予想ですが、30周年を機に次回作『A列車で行こう10』の構想が始まっているかもしれません。鉄道紀行作家の宮脇俊三の著書に『終着駅は始発駅』があります。「終着駅」の『A列車で行こう9 Version4.0 マスターズ』で遊びつつ、今後の新しい「始発駅」に期待しましょう。
価格はバージョンアップ版が5800円(税別)、初めて遊ぶ人向けのガイドブック付き全バージョンセット『A列車で行こう9 Version4.0 マスターズ コンプリートパック』が1万6800円(税別)。対応動作環境はWindows 8.1/8/7(いずれも64bit版&32bit版)/Vista/XPです。