JR東海が企画乗車券「JR東海&16私鉄 乗り鉄☆たびきっぷ」をリニューアルします。様々な使い方がありますが、どういった使い方だと「元」が取れるのか、改めて考えてみます。
JR東海が発売する企画乗車券「JR東海&16私鉄 乗り鉄☆たびきっぷ」が、2025年4月5日乗車分からリニューアルします。SNSでも使い勝手の良さを伝える声が多い、このきっぷの使い方と「コスパ」を改めて考えてみます。
東海道本線を走るJR東海313系電車(画像:写真AC)。
このきっぷは、JR東海の在来線全線と隣接する16私鉄の普通・快速列車(普通車自由席)が連続2日間乗り放題になるものです。特急券を追加購入すると、フリー区間内の特急列車もOK。さらに、東海道新幹線も熱海~米原間の「ひかり」「こだま」に4回まで乗車できます。
そして今回のリニューアルのポイントは3つ。利用期間の拡大、「e5489」での発売、そしてJR東海の在来線自動改札機が利用できるようになることです。
利用期間の拡大は最も大きな変更点です。これまでは土休日の連続する2日間のみ利用可能でしたが、リニューアル後は「土休日を利用開始日とする2日間(休日の翌日の平日も利用可能)」とされています。例えば9月21日(日)と22日(月)にきっぷを利用して、秋分の日の23日(火・祝)はお疲れ休みに、ということもできるようになります。
もちろん、3連休と休翌日の平日を利用して、2枚で4日間利用もできます。
引き続きゴールデンウィーク・お盆・年末年始に利用できない期間はあるものの、特に飛び石連休で柔軟な使い方ができそうです。
元が取れる旅行プラン自動改札の利用もうれしいポイントです。ただ、きっぷの大きさが120mm券から85mm券に短くなると思われるので、券面いっぱいに描かれた現在のフリーエリアの路線図を詰め込むことができるのか……。案内用の別紙に移動するなど、券面から消えてしまったらちょっと寂しいかもしれません。
また、「e5489」での購入も可能になりますが、きっぷの受け取りはフリーエリア内の主なJR東海の駅となるため、その点は注意が必要です。
さて、このきっぷはJR東海エリアのフリーきっぷなので、特にエリア内での完結で絶大な効果を発揮します。
例えば東海道新幹線の名古屋~熱海間の片道運賃は4840円、往復で9680円。「乗り鉄☆たびきっぷ」は8620円ですから、1往復すれば元が取れます。
名古屋から伊豆箱根鉄道駿豆線の修善寺に行く場合は、名古屋~三島~修善寺間の片道運賃が5060円、往復1万120円です。1泊の旅行にも使い勝手が良いですね。
名古屋~高山間は片道3410円、往復6820円。
長良川鉄道には、2700円の線内フリーきっぷもありますが、「乗り鉄☆たびきっぷ」を利用した方がお得です。
東京~名古屋の移動には不向き?エリア外をまたぐ場合は少し注意が必要で、エリア外の乗車券が必要なのはもちろん、新幹線の特急券はフリーエリアの境界駅で区切る買い方をしなければなりません。
例えば新幹線で東京から名古屋へ向かう場合は、東京山手線内~熱海間の乗車券と新幹線自由席特急券、さらに熱海~名古屋間の自由席特急券が別途必要です。この場合、「乗り鉄☆たびきっぷ」を併用するとかえって割高になるため注意が必要です。
また、「乗り鉄☆たびきっぷ」の販売・受け取り箇所はJR東海のエリア内に限定されるため、この経路だと乗車前にきっぷを受け取っておく、もしくは熱海駅で新幹線を一旦降りて購入するといった対応が必要になります。
東海道新幹線での大都市間移動を安く乗るためのものではなく、エリア内をたくさん乗って楽しむことを目的としたきっぷなので、これらの制約は仕方ないのかもしれません。
ただ、こうした制約を理解したうえで、使い方によってはエリア外との往来もお得になることがあります。私事ですが、5月に浜松で開催されるコンサートのチケットが当選したら、このきっぷを駆使して東京~浜松間の移動と岐阜エリアの乗り鉄を、新幹線から私鉄まで幅広く楽しんでこようと目論んでいます。
JR東日本の「週末パス」は6月で惜しくも終了しますが、JR東海の「乗り鉄☆たびきっぷ」はリニューアルを経てまだまだ続きそうな予感。