新名神の既存区間である滋賀・三重県内では「6車線化」工事が進行中です。広い用地ながら、ややちぐはぐな構造が見られた新名神が変容しています。

「新名神」既存区間も6車線化してます!

 滋賀・京都・大阪3府県で新名神高速の未開通区間の建設が進んでいますが、既存区間である滋賀・三重県内では「6車線化」工事も進行中です。広い道路を一部“わざと狭く”するなどしていた新名神が変容しています。

「わざと狭くしてたトンネル」も本領発揮へ 開通17年「新名神...の画像はこちら >>

新名神6車線化のために行われている亀山西JCT-甲賀土山IC間の土工切り取り工事(画像:NEXCO中日本名古屋支社)。

 新名神は2008年に亀山JCT-草津JCT間の約51kmがつながり、東名阪道と名神を短絡するルートが開かれました。その後、2019年に新四日市JCT-亀山JCT間が開通したことで、三重県側は東名阪道と並行するダブルネットワークが完成。現在は滋賀県側の大津JCTから分岐して京都に至る区間が建設中です。

 6車線化の対象は、このなかで新名神の“本線”となる亀山西JCT-大津JCT間の約41kmです。2019年から事業が始まり、順次、6車線運用に切り替わってきました。

 この区間は2008年の開通時から、他の高速道路よりも十分広い印象でしたが、NEXCO中日本名古屋支社によると、トンネルは片側3車線断面で作られたのに対し、橋や土工部は2車線+2車線でした。このため6車線化工事は、橋桁を拡げること、そして土工部の土を切り取って拡げることがメインです。

 もちろんトンネル内も片側3車線に増やしていく工事が行われています。3車線断面のトンネルながら建設費削減を目的に2車線で使うため、安全を考慮してわざわざ路肩などに立てられたラバーポール(俗称:猪瀬ポール)も取り払われます。

 同支社は7月11日、亀山西JCT-甲賀土山JCT間の土工部の切り取り工事の様子をXで発信。のり面の上部から土を切り取り、コンクリートで固めていく様子がうかがえます。

 6車線化の完成時期は決まっていないそうですが、未開通区間の建設と連動していることは間違いありません。ただし大津JCT-城陽JCT間については2024年12月の連絡調整会議で、当初予定より遅れ2028年度以降になる見込みであることが示されています。

 6車線化のメリットとして事業パンフレットでは、「ダブル連結トラックやトラック隊列走行など、次世代の物流システムの実現を見据えた対応」がうたわれています。一足先にほぼ全線6車線となった新東名の静岡区間では、普通車等の最高速度が120km/hに引き上げられたうえ、第一走行車線が物流車を想定した「自動運転優先レーン」に設定されるなど、その対応が具現化してきていますが、NEXCO中日本名古屋支社によると、新名神で自動運転専用レーンなどの計画は今のところないそうです。

 なお、新名神の建設中区間は、未供用の段階からすでに6車線化の事業が同時並行で進められています。他方、三重県区間の新四日市JCT-亀山西JCT間は4車線ですが、こちらも暫定であり、本来は6車線で計画されています。

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