山梨県でリニア中央新幹線の建設工事が本格化しています。大部分がトンネルとなるリニアですが、地上区間には長大な橋りょうも設けられます。

地上区間に巨大な構造物が出現

 山梨県で、リニア中央新幹線の建設工事が本格化しています。リニア実験線の西側では,「釜無川橋りょう」や隣接する「常永川橋りょう」といった、地上区間の工事が佳境に入っており、2つの橋りょうがつながれば、中央新幹線で最長の橋りょうになる見込み。橋りょうの巨大な柱や桁が出現しています。

リニア実験線の「その先」に “巨大構造物”が出現! 中央新幹...の画像はこちら >>

超電導リニアの改良型試験車(画像:JR東海)

 リニア中央新幹線の山梨県内の区間は延長83.4km。そのうちトンネルが56.3kmを占め、地上部(明かり区間)は27.1kmです。県内では、東側に位置する42.8kmが「山梨リニア実験線」として路盤構造物が完成しています。新規で建設されるのは、実験線から西へ伸びる40.6kmとなります。

 山梨県内には新駅となる「山梨県駅(仮称)」のほか、変電所3か所、保守基地3か所、非常口9か所が設けられる予定です。県内のリニア工事は10件が工事契約に至っており、そのうち9件で工事が本格化しています。

 釜無川橋りょうと、隣接する常永川橋りょうを合わせた延長は1238m。工事現場は山梨県駅から西に約5kmほど離れた、山梨県中央市と南アルプス市にまたがる場所にあります。

 2つの橋りょうは「釜無川橋りょう他新設工事」として一体的に整備が進められており、JR東海から委託を受けた鉄道建設・運輸施設整備支援機構が工事を発注。

施工は鉄建・コーアツ・東鉄JV(共同企業体)が担当しています。2020年10月に着工し、工期は2026年8月までです。

 2025年8月5日、県が建設業界の発展を目的に学生を対象に実施している「地域インフラ見学会」が「釜無川橋りょう他新設工事」の現場で開かれ、合わせて報道公開も実施されました。当日は常永川橋りょうの上部も公開され、リニアが走る姿をイメージすることができました。

橋りょうの工事は11月~5月に実施

 JR東海によると、河川内の工事となるため、増水期を避け、11月から5月までの期間に工事を進めているとのこと。現在は、下部工(基礎や柱など)はほぼ完了、上部工(桁)は5割程度が完成している段階だといいます。

 現時点では、橋りょうの上部にリニアの線路となるガイドウェイは設置されておらず、鉄筋が剥き出しになっていました。完成後、この場所を通過した名古屋行きのリニアは、南アルプスに向けて勾配を駆け上がっていく形となります。なお、リニアの最小曲線半径は8000mで、東海道新幹線の2500mに比べてはるかに大きく、高速走行に適しています。

 工事は河川内に橋脚を構築するため、「ニューマチックケーソン」と呼ばれる工法を採用。この工法は日本語では「潜函(せんかん)工法」といい、巨大なコンクリートのケーソン基礎を沈め、その上に柱を立ち上げていくというもの。基礎の下部を掘った際に、土中の地下水が作業空間に侵入することを防ぐため、空気圧を高くして掘削を行います。

 報道公開で取材に応じたJR東海の岡崎真人 山梨東工事事務所所長は「今後は高架橋を完成させた後、桁の上にリニアが走るガイドウェイや防音壁、防音防災フードといった環境対策工事を設備を設置していく」と話しました。

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