その多くは、走行距離や運行時間がそれほど長くない普通列車。しかしなかには、新幹線や特急列車並みに「長い」列車も存在します。
現在、普通列車の多くは運行区間がそれほど長くなく、したがって運行時間も短いですが、全国には、新幹線や特急列車に匹敵するほどの長い距離、また長い時間、走る普通列車も存在します。
最長距離の369Mなど、山陽本線の岡山・広島地区で普通列車に使われている115系電車(2014年12月、恵 知仁撮影)。
2016年10月現在、走行距離がもっとも長い定期普通列車は、山陽本線の岡山駅から下関駅(山口県下関市)まで走る「369M列車」です。岡山駅を16時17分に出発し、福山、広島、新山口など途中の82駅すべてに停車。終点の下関駅へは23時50分に到着します。移動距離384.7km、所要時間7時間33分です。ちなみに東京駅から在来線で西に向かうと、名古屋駅までで366.0kmあります。
山陽新幹線で369Mと同じくらいの時刻、16時12分に岡山駅を出発すると、下関駅から在来線で2駅先にある北九州市の小倉駅へ、早くも17時43分に到着できます。

369Mは岡山駅から下関駅まで、山陽本線を384.7km走る(国土地理院の地図を加工)。
369Mに岡山駅から下関駅まで乗ると、運賃は6260円。普通列車が1日乗り放題の「青春18きっぷ」は1日(回)あたり2370円(2016年夏現在)ですから、この列車1本を乗り通すだけで元が取れてしまう計算です(「青春18きっぷ」は1日(回)分だけの購入は不可)。
乗車は長時間に及びますが、途中の徳山駅(山口県周南市)では33分間停車(21時27分着、22時00分発)。腰を伸ばしたり、気分転換をしたり、遅い夕食を調達したりといったことはできそうです。
運行時間が日本一長い普通列車は、もう乗れない可能性がある?運行時間がもっとも長い定期普通列車は、根室本線の滝川駅(北海道滝川市)から釧路駅(同・釧路市)まで走る「2427D列車」です。

根室本線の普通列車に使用されるキハ40形ディーゼルカー(2007年2月、恵 知仁撮影)。
現在のダイヤは、滝川駅を午前9時40分に出発し、富良野駅や新得駅を経由。帯広駅で札幌発釧路行きの特急「スーパーおおぞら5号」に抜かされたのち、さらに東へ進み、終点の釧路駅には18時01分に到着します。移動距離308.4km、所要時間8時間21分、乗り通した場合の運賃は5720円です。
列車の側面には通常、その行先などが掲示されますが、この2427Dの場合、行先である「釧路」の下に「日本一運行時間の長~~い定期普通列車」と書かれた特別仕様の表示が行われています。

2427Dは滝川駅から釧路駅まで、根室本線を8時間21分かけて走る(国土地理院の地図を加工)。
しかしこの列車、現在は所定のダイヤどおりに運転されていません。今年8月以降に相次いだ台風被害により、2427Dが通る根室本線の東鹿越~新得間41.5kmが不通になっているからです。
JR北海道はその区間の復旧工事について「着手は早くとも来春以降」としていますが、一方で、不通区間を含む富良野~新得間81.7kmは廃止する方針との報道もあります。

岡山駅前には、同地にゆかりがあるとされる「桃太郎」の像がある(2009年10月、恵 知仁撮影)。