外環道「関越~東名」区間で、国内最大のシールドマシンが発進。地下の本線トンネル掘削工事が本格的に始まりました。
2017年2月19日(日)、国が建設を進める外環道「関越~東名」区間において、本線トンネルを掘削する2機のシールドマシンが、東名高速の東京IC付近に建設中の東名JCT(仮称)予定地(東京都世田谷区)から大泉JCT(東京都練馬区)に向け、発進しました(以下、未開通区間のIC、JCT名はすべて仮称)。
東名JCT予定地に設けられた地下70mの立坑から、シールドマシンが出発した(2017年2月19日、中島洋平撮影)。外環道は、東京都心から約15kmの位置を環状に通る全長およそ85kmとなる予定の道路で、現在は大泉JCT~三郷南IC間の約34kmが開通しています。2017年度には三郷南ICから、首都高湾岸線と交わる高谷JCT(千葉県市川市)までの「千葉区間」が開通する予定です。
今回シールドマシンが発進した約16kmの「関越~東名」区間は、一般道の環状八号線におおむね並行します。開通すれば、環状八号線経由で60分かかっていた同区間は、12分に短縮できるそうです。都心に集中していたクルマの流れが分散され、環状八号線だけでなく環状七号線や首都高などの渋滞緩和も期待されるといいます。
式典に出席した小池百合子東京都知事は「外環道の開通により、経済の『血液』ともいえる人とモノのスムーズな流れがうながされます。生産性が向上するとともに、世界の都市間における東京の競争力を高めます」と話しました。
この「関越~東名」区間は1966(昭和41)年、東京都によって高架方式で都市計画が決定されました。
2機のシールドマシンはそれぞれ直径およそ16mで、国内のトンネル工事では過去最大のもの。これまでの最大は、東京湾アクアラインのトンネル工事で使われた直径およそ14mだったそうです。
大泉側からもシールドマシンの出発準備が進められており、東名側から9km、大泉側から7km、各2機ずつ用いて地下トンネル2本を貫通させ、それぞれに片側3車線の道路を通します。

シールドマシンが掘り進むのは、地表から40m以深の「大深度地下」。さまざまな土質に対応できるという「泥土圧式シールド」を採用しており、1機あたり月最大500mを掘り進むそうです。
式典に出席した石井啓一国土交通大臣は「外環道のプロジェクトで確立された技術が、日本の国際競争力を高めることにつながる」と、その技術力の高さに自信を見せます
ただ、最新の技術で臨まれるトンネル工事ですが、なかには難工事が予想されている箇所もあります。
「施工に相当の期間を要す見込み」の箇所も 開通時期は?大泉JCT~東名JCT間の途中には北から目白通りIC、青梅海道IC、東八道路IC、中央道JCTが設けられる予定です。これらIC、JCTの前後では、地上へ通じるランプトンネルを接続させるべく、掘った本線トンネル断面をさらに拡幅します。
国土交通省東京外かく環状国道事務所の大胡賢一課長によると、現在設計中であるその「地中拡幅部」と呼ばれる部分について、なかでも中央JCTは上下本線のトンネルそれぞれにランプトンネルを2本ずつ合流させる構造で、「トンネルの断面がかなり大きくなる」といいます。これら地中拡幅部は、今回の報道発表資料によると「高度な技術を要す工事につき、施工に相当の期間を要す見込み」だそうです。

また、2016年12月下旬時点で用地取得率は全体の80%、工事に際して進められる埋蔵文化財調査の進捗率は69%だそうです。さらに、大泉側からの本線シールドマシンの発進時期については、地質調査の結果からマシン構造の精査が必要と判断されており、遅れる見込みです。工事に際して、解決しなければならない問題がまだまだ存在します。

工事は、本線北行きトンネルをNEXCO中日本が、南行きトンネルをNEXCO東日本が担当します。トンネルの貫通や道路の開通時期は、現在のところ未定ですが、石井国土交通大臣以下、関係者は「早期の開通を目指す」としています。
【画像】外環道「関越~東名」区間のルート
