あの“絶景”スポットへ…!

 2026年4月11~12日、大鉄アドバンス主催による「応援鉄ツアー」が開催されました。被災した鉄道や利用者の減少に悩む各地の鉄道を乗って応援する趣旨のツアーで、大井川鐵道の名物広報として有名な山本豊福さんが全行程同行します。

【写真】線路が残る「廃線小路」のトンネル

 今回の舞台は地元静岡県。「県内交通事業者を乗って応援! 未成線も探訪」と銘打たれた第7弾、地元愛にあふれた企画に密着しました。今回は1日目(4月11日)です。

【1日目旅程】静岡駅―(貸切バス)―川根温泉ホテル(昼食)―(貸切バス)―奥大井湖上駅―(井川線)―井川駅(廃線小路散策)―(井川線)―奥泉駅―(貸切バス)―浜松市内

 初日の「乗って応援」は、大井川鐵道井川線を堪能するというもの。あの有名な奥大井湖上駅や、急勾配を上り下りするためにアプト式電気機関車の力を借りる区間が存在する、近年人気を集める路線です。

 昼食を済ませ最初に訪れたのは、奥大井湖上駅。雑誌やウェブでよく見かける湖の上にかかる赤い鉄橋が有名な駅です。青緑の美しい湖、萌える春の新緑、そして湖上にかかる赤い鉄橋に参加者からは一斉に歓声が上がります。

 実はこの光景を眺められる場所は、駅から徒歩で20分ほどアップダウンを越えた先にあります。さらに井川線が山奥を走っており、奥大井湖上駅が秘境駅でもあることから、個人ではなかなかたどり着くのが難しい場所でもあるのです。「行きたいと思っているけれど、秘境駅なのでなかなか行くきっかけがない」という声が聞かれることもあるだけに、その感動はひとしおです。

 奥大井湖上駅への遊歩道の先は、鉄橋の線路横に設置された歩道を歩きます。

美しい湖の上を歩きながら、その高さにちょっとヒヤヒヤしながら……。途中、駅に向かって右側の山中には鉄橋のようなものが。アプト式に切り替わる前の、旧線の鉄橋とのこと。「名物広報」の軽妙なトークとともに好奇心が満たされていきます。

閉ざされた山の扉、実は…

 奥大井湖上駅からは井川線の列車で終点の井川駅へ。そこからかつて井川線が伸びていた線路跡の「廃線小路」を散策します。これはダムや発電所建設に伴う資材輸送に1996(平成8)年まで使われていたもの。現在は当時の線路を活かして遊歩道化されています。廃線とはいえ、堂々と線路の中を歩く機会はなかなかなく、自然と線路内に吸い込まれていきます。

 ちなみに井川駅に到着後、山本さんから「道路の向こうの山に扉が閉ざされているところが見えますね。この場所と様子を覚えていてください」とのひと言が。なんだろうと思っていると、廃線小路の始まり付近で振り返り「さっきの扉はかつてのトンネルで、ここまで山を貫いていました」。

思わぬ種明かしに参加者たちは一様に驚きと納得の表情。大井川鐵道を知り尽くした案内人だからこその解説も、このツアーの魅力です。

 今回、奥大井湖上駅から井川方面への往復が選ばれたのにも理由がありました。山本さんいわく、「奥大井湖上駅は人気が高くたくさんのお客様が千頭から訪れてくれる。しかし、多くの方が奥大井湖上駅までの訪問なので、この先の魅力もぜひ知っていただきたい」ということだったのです。

 確かに、この先には河床からの高さ日本一を誇る鉄道橋の関の沢橋梁、静岡県の普通鉄道で最も標高が高い井川駅など、井川線だからこその魅力が詰まっています。周辺に人家やアクセスする道路すらない秘境駅として注目される尾盛駅では、駅の近くにたたずむ野生のシカも目撃。井川線の魅力を改めて実感する旅となりました。

 ツアーの楽しみ方も参加者それぞれ。大阪から参加したという夫婦は大井川鐵道を訪れることが念願だったとのこと。ツアー前日は大井川本線を堪能しており、「幼い頃に乗っていた南海電車に乗れて本当に感動しました」と喜びを滲ませていました。

 笑顔の絶えないツアーは2日目へと続きます。

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