配当金や分配金、売却益が非課税となるNISA制度。しかしNISAで保有する株を相続したときには相続税がかかることを知らない方が意外と多いようです。

相続税がかかるのなら、生前に売却しておいた方がよいのでしょうか?


売却して現金でもらう?銘柄のままもらう?NISA口座の株を相...の画像はこちら >>

株や投資信託にかかる利益が非課税!NISA制度をおさらい

 すっかり浸透したNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)。NISA口座で保有している株式や投資信託にかかる利益(配当金、分配金、売却益など)につき、所得税・住民税が非課税となる制度です。


 2024年以降の新NISA制度では、非課税期間が無期限となり、より多くの人が投資をスタートするきっかけになりました。


 ただ、ちまたでは単純に「NISA=非課税」と誤解されているようで、筆者の知人が「NISAで保有している株でも相続税がかかるんです」とSNSで投稿したところ「そんなの知らなかった!」「相続税も非課税かと思っていた!」といった反響がものすごく大きかった…という話に、筆者もとても驚いています。


NISAで保有していた株は相続税の課税対象に!

 そもそもNISA制度は、その人がNISA口座で保有している株式や投資信託の「配当金・分配金や売却益」につき、所得税・住民税が非課税になるものであり、NISA制度の説明書きにも、相続税が非課税であるなどとはどこにも書かれていません。


 相続税は、亡くなった方が所有していた財産を引き継ぐ際に、財産を受け取った人に課される税金であり、NISA制度とは何ら関係がありません。


 ですから、NISA口座、一般口座、特定口座のいずれで保有していても、亡くなった方が保有していた株式、投資信託、債券については相続税の課税対象となります。


相続税の課税対象であっても不利になることは何もない

 NISA口座で保有していた株式や投資信託に相続税が課税されるのなら、そもそも高齢者はNISAを使わない方が良いのでは?という声も聞かれますが、それは全くの勘違いです。


 例えば1,000万円の預金があり、これをそのまま亡くなるまで保有していたとしましょう。相続税率が30%であれば、1,000万円×30%=300万円が相続税で、残り700万円が相続人の手残りとなります。


 一方、もし1,000万円の預金を使って、NISA口座で株を購入し、その株が2,000万円まで上昇したところで相続が発生したとします(含み益1,000万円)。


 故人(被相続人)がNISA口座で保有していた銘柄を相続する場合、相続人は相続時の時価で取得したものと見なされます。被相続人が保有していた期間の含み益に対して、所得税や住民税が課されることはありません。


 相続税率が30%であれば相続税については2,000万円×30%=600万円が生じますから、手残りは2,000万円-600万円=1,400万円となります。


 1,000万円を預金のまま保有していた場合は手残りは700万円でしたから、相続人は遺された銘柄を一般または特定口座で引継ぎ、それを売却して自身のNISA口座で運用して資産を増やすことが、相続人の手残りのアップにつながります。


 このように、NISA口座で保有していた株に相続税が課税されるとしても、不利になるようなことは何もありません。


結論・相続税がかかろうが気にせずNISAを活用して問題なし

 故人がNISA口座で保有していた株式などは、相続人が引き継ぐ際に相続人のNISA口座には引き継げません。相続人の一般口座か特定口座に引き継ぐことになります。


 しかし、相続発生時に、被相続人のNISA口座で保有していた株の含み益は全て所得税・住民税非課税で実現しますから、何か不利になるようなことは全くありません。


 もし相続人が引き続きNISAの恩恵を受けたいのであれば、相続で引き継いだ株をいったん売却し、NISA口座で改めて買うようにすればよいのです。


 また、生前にNISA口座で保有している株式などを売却するべきか?という問いについても、正直「どちらでも良い」という回答になります。


 1,000万円をNISA口座に投じて、それが2,000万円になったところで売却し、キャッシュ2,000万円を保有している状態で相続が発生しても、2,000万円分の株を保有したまま相続が発生しても、2,000万円の財産に相続税がかかるのは同じだからです。


 NISA口座で保有する株式や投資信託には相続税がかかるが、だからといってNISA口座を使わないようにする必要はなく、相続を想定している人がNISA口座を活用しても問題ない、というのが結論です。


(足立 武志)

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