Microsoftは5月1日(米国時間)、Windows 11の体験改善に関する進捗レポートをWindows Insider Blogで公開した。3月以降に掲げてきた品質改善の取り組みについて、Windows Insider向けに展開を始めた変更点をまとめたもので、レポート公開そのものも、同社が重視する「透明性の向上」を反映した動きといえる。


Microsoftは3月、Windows 11の品質や使い勝手に対する不満を受け、Windows Insider ProgramやWindows Updateの見直しを含む改善方針を打ち出していた。その後、Windows Insiderチャネルの整理や更新体験の刷新などを順次発表してきており、今回のレポートではそれらを前提に、実際にどの領域で改善が進んでいるかを説明している。

Windows Insider Programについては、「Experimental」と「Beta」を中心とする新しいチャネル構成への移行を進めている。BetaではControlled Feature Rollout(CFR)を終了し、発表された機能を更新適用後にすぐ利用できるようにする。Experimentalでは機能フラグを導入し、Insiderが試したい機能を選びやすくする。チャネル移動やプログラムからの離脱も、クリーンインストールなしで行いやすくする方針である。

Windows Updateは、OS、.NET、ドライバーの更新を統合し、月1回の再起動に近づける方向で改善を進める。また、ユーザーがスケジュールに合わせてアップデートのタイミングをより柔軟に調整できるようにする。電源メニューでは、保留中の更新を適用しなくても通常の「再起動」「シャットダウン」を選べるようにする。

AI機能の見せ方も見直している。OSのあらゆる場所にAIを配置するのではなく、価値を提供できる場面に絞り込む方針に基づき、Snipping Toolとフォトから「Ask Copilot」ボタンを削除した。メモ帳ではCopilotアイコンを、実際の機能に即した「Writing Tools(ライティングツール)」というラベルに変更している。


ファイルエクスプローラーについては、ハング低減や応答性向上を目指した基盤的なアーキテクチャ改善を段階的に導入している。ホーム画面の安定化、起動やナビゲーションの動作改善、サムネイル品質の向上といった細かな修正も並行して進めている。

ウィジェットおよびフィードについては、「Calm(落ち着き)」をキーワードに、ホバーでの意図しない自動展開やタスクバー上の通知バッジ表示を既定で無効化し、より静かで気が散りにくい体験を目指す。ユーザーが初めてウィジェットを開くまではタスクバー上の通知も制限される。ロック画面に表示される既定のウィジェットを「天気」のみに絞り込む計画も明らかにされた。

ウィジェットの改善は、システム全体でメモリ使用量を削減する取り組みの一環でもある。デバイスの特性やユーザーの行動パターンに応じて、既定のメモリ使用量を小さくし、未使用時にはより早くメモリを解放する。プリローンチ処理についても、ユーザーによる制御を強め、メモリ容量の少ないデバイスでは制限する方針だ。

応答性の向上については、OSおよびアプリの利用シナリオを対象に、パフォーマンスと電力に関する最適化を順次展開している。3月中旬からは、よく使われるOS機能やアプリ起動、スタートメニュー、検索、アクションセンターなどのシェル操作に向けた調整を開始した。プロセッサの電力状態(Cステート)の処理を改善するWindowsスケジューラの更新も進めており、日常的な使用での体感応答性の向上につなげる。これらのCステート関連の最適化は、製品版にも順次反映され始めているという。

○新Insiderビルドの公開とISO提供を拡大

同日、Windows Insiderの各チャンネルに新しいビルド(Beta: Build 26220.8340、Experimental: Build 26300.8346など)も配信開始された。

あわせて、BetaおよびExperimentalの各バージョンについて、定期的なビルド配信に合わせてダウンロード可能なISOイメージを提供する方針も示した。これはInsiderからの要望に応えたもので、テスターは完全にコントロールできるクリーンな検証環境を構築しやすくなる。

Experimentalチャンネル向けの新ビルドでは、モダンなデザインに刷新された「ファイル名を指定して実行」ダイアログを試せる。オプトイン方式での提供となっており、利用するには設定アプリで「システム」>「詳細設定」に移動し、新しいRunダイアログを有効化する。新ダイアログはWindows 11のデザインに合わせた外観となり、「~\」の入力でユーザーディレクトリに素早く移動できる機能も備える。

今後について、Microsoftはタスクバーのカスタマイズ機能を提供する準備を進めており、品質基準を満たし次第、より広範なプレビューへ移行する方針を示した。タスクバーに加え、スタート、検索の改善内容についても5月中にあらためて情報を共有するという。さらに、翌月のMicrosoft Build 2026(6月2日~3日)では、開発者にとってWindowsを使いやすくするための取り組みについて説明するとしている。
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