東京の郊外を走る環状道路「環七通り」「環八通り」にはそれぞれ「環七」「環八」の通称がありますが、「環一」から「環六」はどうなっているのでしょうか。そもそも存在は。
東京の郊外には「環七(環七通り)」「環八(環八通り)」が通っています。「環七」は大田区から足立区を経て江戸川区までを環状に、その外側を通る「環八」は大田区から北区までを南北に結んでいます。
環七通りは、青梅街道など都心から放射状に延びる道路どうしをつなぐ。写真はイメージ(画像:photolibrary)。
通りの名前はいずれも、都市計画道路の「環状7号線」「環状8号線」として整備されたことに由来するものです。そして、一般的にあまり知られていないかもしれませんが、1号線から6号線も存在します。東京都の都市計画に基づくそれらのルートは、以下の通りです。なお、一部未開通の部分もあり、図中では点線で示しています。

環状1号線のルート(国土地理院の地図を加工)。

環状2号線のルート(国土地理院の地図を加工)。

環状3号線のルート(国土地理院の地図を加工)。環状1号線(環一)
皇居を取り囲む内堀通りと、日比谷通りの一部などが該当します。
・起点:千代田区日比谷公園
・終点:千代田区有楽町一丁目
・長さ:約6.2km
臨海部の有明から、新橋、虎ノ門までと、内堀通りの外側を走る外堀通りの大部分が該当します。豊洲から築地市場を経て新橋までをつなぐ区間の工事が進められています。
・起点:江東区有明二丁目
・終点:千代田区神田佐久間町一丁目
・長さ:約14km
おもに外苑東通り、言問通り、三ツ目通りが該当します。文京区の播磨坂と呼ばれる長さ450mほどの通りも、その一部です。
・起点:中央区勝どき二丁目
・終点:江東区辰巳二丁目
・長さ:約26.7km
「環四」から「環六」は、「環三」のより外側に位置します。
環状4号線(環四)外苑西通り、不忍通り、明治通りの荒川区から墨田区にかけての区間、そして丸八通りなどが該当します。
・起点:港区高輪三丁目
・終点:江東区新砂三丁目
・長さ:約28.8km
計画上「環5ノ1」「環5ノ2」の2路線に分かれていますが、いずれも大部分が明治通りに該当します。新宿や池袋付近で、本線部の未開通区間について工事が進められています。
●環5ノ1
・起点:渋谷区広尾五丁目
・終点:北区滝野川二丁目
・長さ:約13.9km
●環5ノ2
・起点:北区王子二丁目
・終点:荒川区荒川五丁目
・長さ:約4.3km
品川区から板橋区に至る山手通りに該当します。
・起点:品川区東品川二丁目
・終点:板橋区氷川町
・長さ:約20.5km

環状4号線のルート(国土地理院の地図を加工)。

環状5号線のルート(国土地理院の地図を加工)。

環状6号線のルート(国土地理院の地図を加工)。
これら環状道路の計画はいつから存在し、そしてなぜ、1号線から6号線はあまり知られていないのでしょうか。東京都建設局に聞きました。
――環状道路の計画はいつからあるのでしょうか。
8本の環状道路構想ができたのは関東大震災(1923年)後のことです。すべての環状道路が新設というわけではなく、一部は既存の道路を活用して作られています。それらをつなぎ合わせる形で事業が進みました。現在も一部で未開通部分の整備が進められているほか、計画の道幅に達していないために拡幅事業が行われている箇所もあります。
――「環一」から「環六」という通称はなぜ浸透していないのでしょうか。
それは、区間ごとに「〇〇通り」といった異なる呼び名があり、一般的にはそちらが知られているためです。今後、新たに区間が開通しても、「環状〇号線」あるいは「環〇通り」などと呼ばれるとは限りません。
※ ※ ※
今後、路線の全通によってこれまでの呼称が変わる予定などもないそうで、「環一」から「環六」については、今後もそのように通称されることはないかもしれません。
【地図】「環一」から「環八」一覧

「環一」から「環八」までの概略図。