池袋駅東口にオープンするビル、その道路に面した場所に、西武と京急の電車が登場しました。同じビルには東急の電車も。
池袋駅東口に間もなくオープンするビル、その道路に面した場所に、西武鉄道と京急電鉄の電車が並んで置かれています。
池袋にオープンする「藤久ビル東5号館」に設置された西武と京急の電車(2017年7月、乗りものニュース編集部撮影)。
車両は、黄色い西武の新2000系電車と、赤い京急の800形電車。また外の道路からは全体がよく見えませんが、西武新2000系のうしろには、東急電鉄の7700系電車の姿も。いずれも車両の運転台部分のみをカットしたもの(カットボディ)です。
どのような意図で設置されたのでしょうか。ビルのオーナーである文英土地建物(東京都豊島区)代表取締役の後藤文男さんに話を聞きました。
――どのような意図で設置されたのでしょうか?
もともと電車好きだからということもありますが、ビルのなかに本物の車両を置くことは珍しく、お客さんを呼び込む「招き猫」になってくれると考えています。じつは京都に、昔走っていた路面電車をまるごと1両入れているビルがあり、それを見て「いつか自分のビルにも電車を入れたい」と以前から思っていました。
――車両は、どのようにして手に入れたのでしょうか?
ビルの建築計画にあわせて私鉄で廃車になる車両を探していたところ、西武、京急、東急が候補に挙がり、3年前から各社と交渉を始めました。どの会社も鉄道事業者以外に車両を譲渡した例はほとんどなく、最初は難航しました。
――道路に面した箇所に置かれた西武の車両は池袋ゆかりのものですが、もう1台はなぜ京急なのでしょうか?
西武は地元の電車であり、昔から親しみを持っていたからですが、その黄色い電車と並べて映えるのは、赤い京急の電車だと思いました。京急800形はその塗色から鉄道ファンに「ダルマ電車」とも呼ばれていますが、それを私が名づけたことからも親しみがありました。
池袋ですから「東武はないのか」ともよく聞かれます。もともと東武8000系も候補として考えていました。しかし、オリジナル車両(登場当時の姿の車両)はすでに廃車されていたため外しています。
――東急7700系についてはどのような意図で購入したのでしょうか。
この車両はもともと、1962(昭和37)年に日本初のオールステンレス製車両として登場した7000系を改造したもので、「産業遺産」としての価値があると考えて購入しました。
――搬入はどのように行われたのでしょうか?
搬入はビルのガラスをはめ込む前に行いました。低床のトレーラーを使い、同じ日に3社の工場からそれぞれ搬出し、深夜にビルへ運び入れています。各社とも、車体をクッション材でくるんでくれるなど、輸送にはとても神経を使ってくれました。
――この電車をどう活用していきたいですか?
池袋の新名所になってほしいと思っています。

東急7700系。現役時代はLEDの行先表示器だったが、方向幕式に作り替えてもらったという。入館は2017年8月10日から可能(画像:文英土地建物)。

「こんなところに電車?」と目を留める人も(2017年7月、乗りものニュース編集部撮影)。

3台の電車は池袋駅東口にオープンする「藤久ビル東5号館」で見られる(国土地理院の地図を加工)。
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ちなみに後藤さんは雑誌『鉄道ファン』(交友社)の元編集者で、かつて西武線を走ったE851形電気機関車の写真集『西武の赤い電機』(交友社)の著者でもあります。
この「藤久ビル東5号館」の地下1階から地上2階までは、書籍や文具を取り扱う丸善池袋店とカフェが入居し、8月10日(木)にオープンする予定です。