「シティエアターミナル」という名のバスターミナルが東京、横浜、大阪にあります。これら施設には高速バスが発着しますが、ほかのバスターミナルと違いがあるのでしょうか。
東京メトロ半蔵門線の水天宮前駅(東京都中央区)は、「東京シティエアターミナル」というバスターミナルが直結しており、副駅名にその名が見られます。
T-CATは首都高箱崎JCTの直下にある。横を走るのは東京空港交通の「リムジンバス」(画像:photolibrary)。
東京シティエアターミナルの略称は「T-CAT」。同様に「シティエアターミナル(CAT)」という名称を持つバスターミナルは、横浜シティ・エア・ターミナル(YCAT、横浜市西区)、大阪シティエアターミナル(OCAT、大阪市浪速区)もあります。これら「シティエアターミナル」は、ほかのバスターミナルと何か違いがあるのでしょうか。T-CATを運営する東京シティ・エアターミナル株式会社に話を聞きました。
――T-CATは、ほかのバスターミナルと比べて何か違いがあるのでしょうか?
成田、羽田両空港へ向かう連絡バスの専用バスターミナルです。「リムジンバス」こと東京空港交通(本社はT-CAT内)のバスのみが乗り入れます。
――どのような経緯で開設されたのでしょうか?
成田空港が都心から約60kmも離れた位置に建設されることを受け、そのアクセス拠点として開設されました。当初は各航空会社のチェックインカウンターも設けられており、ここで出国審査を済ませ、受託手荷物も預けることができました。
――事前のチェックインはなぜできなくなったのでしょうか?
2001(平成13)年のアメリカ同時多発テロ、いわゆる「9.11」以降、空港外でのチェックインは危険とされたためです。カウンターは撤去され、そのスペースは現在テナントになっています。
事前チェックイン廃止 YCATは「よろずターミナル」に――チェックインカウンター廃止の影響はあったのでしょうか?
利用者は一時激減しました。現在、“空港には搭乗便出発の2時間前に到着すべき”ともいわれますが、当時は“T-CATに(搭乗便出発の)2時間前に到着すればOK”でしたので、忙しいビジネスマンの方などには重宝されました。
その機能はなくなったとはいえ、成田行きリムジンバスはほぼ10分おきに発車するなど本数も多く、運行時間も正確です。空港ターミナルでは出発階へ直接乗り入れますので、アクセスの利便性は失われていません。また、T-CATは自家用車も利用できるので、自宅からの送迎もしやすくなっています。
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T-CATは現在も空港連絡バス専用ですが、YCATやOCATでは、都市間を連絡する高速バスや夜行バスも発着しています。「メインは空港路線ですが、実際には“よろずバスターミナル”になっていますね」と語るのは、YCATを運営する横浜シティ・エア・ターミナル株式会社の担当者です。T-CAT同様、かつてはここにも航空会社のチェックインカウンターが設けられていました。
「YCATはもともと成田空港行きバスのターミナルとして開設され、1995(平成8)年にポートサイド地区から現在の横浜駅東口へ移転したのを機に、羽田空港線の運行も始まりました。
2012(平成24)年にはいわゆる『高速ツアーバス』が廃止され、それまで駅周辺の道路端などで乗降扱いをしていたような事業者も独自に停留所を設けることとなりましたが、YCATはその受け皿となり、多くの停留所を誘致したといいます。
ちなみに、横浜シティ・エア・ターミナルによると、近年YCATでは外国人旅行者も多くみられるそうです。「拠点と拠点を直接的に結ぶ高速バスは、外国の方にも利便性が高いのでしょう」と話します。
【地図】東京「T-CAT」、横浜「YCAT」、大阪「OCAT」の位置

T-CATは東京メトロ水天宮前駅、YCATは横浜駅、OCATはJR難波駅に直結(国土地理院の地図を加工)。