JR線の普通列車などが乗り降り自由となる「青春18きっぷ」には、さまざまな特例があります。このきっぷだけで特急や第三セクター線の列車に乗れる区間があるほか、持っているとお得になることもあります。

全国4区間 「青春18きっぷ」だけで特急乗車可

 1枚1万1850円、1日(1人)あたりに換算すると2370円になる「青春18きっぷ」で乗れる列車は、原則、普通や快速などに限定されています。新幹線や特急など、特急料金や急行料金が必要な列車には基本的に乗れませんが、じつは特例として「青春18きっぷ」だけで特急列車に乗れる区間があります。

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宮崎空港駅に停まる特急「にちりん」「にちりんシーガイア」。いずれも宮崎駅までは、「青春18きっぷ」だけで乗れる(2016年2月、太田幸宏撮影)。

特急列車の普通車自由席に乗れる区間

JR北海道 石勝線 新夕張~新得間
JR東日本 奥羽本線 新青森~青森間
JR九州 宮崎空港線(日南線/日豊本線) 宮崎~宮崎空港間
・JR九州 佐世保線 早岐(はいき)~佐世保間 ※2018年3月17日(土)から

 これらは、乗車券のみで特急に乗車できる特例が設けられている、あるいはこれから設けられる区間で、「青春18きっぷ」にもその特例が適用されます。ただし、その適用は上記の駅間のみを乗車した場合に限ります。

 特例区間外にまたがって特急に乗車した場合、JR北海道とJR東日本では、乗車した区間分の乗車券と特急券が必要です。たとえば奥羽本線の特急「つがる」に青森駅から新青森駅を越えて秋田駅まで乗車した場合、その日有効の「青春18きっぷ」を持っていたとしても、青森~秋田間の乗車券と特急券を購入しなければなりません。一方、JR九州では、特例から外れた部分のみの特急券と乗車券を追加購入すればOKです。

 上記区間のうち、石勝線の新夕張~新得間では普通列車が走っていません。新夕張、新得の両駅に停まる特急「スーパーおおぞら」あるいは「スーパーとかち」は、2018年3月1日現在、下り(帯広方面)8本、上り(南千歳方面)7本。新得駅からは帯広方面の普通または快速列車に接続できるケースが多いですが、対して新夕張駅から南千歳方面への普通列車は大幅に数が少なくなります。

第三セクター線に乗れる区間も

「青春18きっぷ」は原則、JR線だけで使えますが、一部の第三セクター線に乗れる特例が設けられています。また反対に、JR線を走るにもかかわらず、「青春18きっぷ」では乗れない普通列車もあります。

「青春18きっぷ」で特急、新幹線も!? 「特例」と「オプション券」の活用法

青森駅に停まる青い森鉄道の普通列車。青い森鉄道の青森~野辺地間、野辺地~八戸間は、途中下車をしなければ「青春18きっぷ」で乗れる(2011年6月、太田幸宏撮影)。

第三セクター線の普通・快速列車で「青春18きっぷ」利用可の区間

・青い森鉄道 青森~八戸間(ただし、青森~野辺地間、野辺地~八戸間を通過利用する場合のみ)
・あいの風とやま鉄道 富山~高岡間(ただし通過利用する場合のみ)
・IRいしかわ鉄道 金沢~津幡間(ただし通過利用する場合のみ)

 いずれも、JRの在来線が新幹線の開通により第三セクターへ移管された区間です。たとえば、IRいしかわ鉄道の金沢~津端間にはJR七尾線の普通列車も乗り入れますが、この区間で途中下車をしなければ、金沢~津端間でIRいしかわ鉄道の運賃を支払う必要はありません。ただし、これらJR線に接続する駅以外で降りた場合には、乗車区間に応じて各社の乗車券を別購入する必要があります。

JR線を走るものの、「青春18きっぷ」では乗れない普通列車

・伯備線 清音~総社間(岡山県)を走る井原鉄道の列車

 井原鉄道は岡山県総社市の総社駅と広島県福山市の神辺駅を結ぶ約40kmの第三セクター線です。路線としては清音駅でJR伯備線と分岐する形になっていますが、そこから総社駅までのひと駅は、井原鉄道の列車も伯備線の線路を走ります。この清音~総社間はJR西日本と井原鉄道が線路を共同で使用していて、「青春18きっぷ」でJRの列車には乗れますが、井原鉄道の列車に乗ることはできません。

新幹線に乗れる「オプション券」って?

 本州と北海道を結ぶ青函トンネルの区間は現在、北海道新幹線となっており、普通列車は走っていません。ただし、この区間を乗車するための「オプション券」が販売されています。

青春18きっぷ北海道新幹線オプション券

「青春18きっぷ」とは別に「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」を購入することで、次のことが可能になります。

・北海道新幹線 奥津軽いまべつ~木古内間で普通車の空いている席を片道1回利用できる
・道南いさりび鉄道(木古内~五稜郭)の普通列車を片道1回利用できる

 道南いさりび鉄道の列車はすべてJR函館本線に乗り入れ、函館駅に発着するので、「青春18きっぷ」と「オプション券」で奥津軽いまべつ~函館間の移動をカバーすることができます。ただし、次のような条件があります。

・「オプション券」の使用は「青春18きっぷ」を携行している場合のみ
・木古内~五稜郭間は通過利用のみで途中下車は不可
・北海道新幹線と道南いさりび鉄道の利用は同日に限る

「オプション券」の購入期間、利用期間、購入できる場所は「青春18きっぷ」と同じです。1枚の値段は2300円で、ひとり1枚有効。同行者がいる場合は、その人数分のオプション券が必要です。なお、奥津軽いまべつ~(北海道新幹線)~木古内~(道南いさりび鉄道)~五稜郭間を通常利用した場合の料金は4920円(北海道新幹線は通常期の普通車指定席)です。

 北海道新幹線の奥津軽いまべつ駅には、JR津軽線の津軽二股駅(いずれも青森県今別町)が隣接しています。青森駅から津軽二股駅までは70分程度、奥津軽いまべつ駅から木古内駅までは北海道新幹線で36分程度、木古内から函館までは1時間程度です。ただし、JR津軽線、道南いさりび鉄道ともに、新幹線との乗り継ぎに1時間以上の間隔が空くこともあります。

「青春18きっぷ」で特急、新幹線も!? 「特例」と「オプション券」の活用法

「青春18きっぷ」と「オプション券」で、北海道新幹線に乗ることも可能(画像:photolibrary)。

 ちなみに、「青春18きっぷ」利用者に向け、JR以外の鉄道会社が独自に特別なきっぷを販売するケースもあります。

旧JR鹿児島本線を継承した熊本県、鹿児島県の海沿いを走る第三セクター鉄道、肥薩おれんじ鉄道の「おれんじ18フリーきっぷ」です。当日有効の「青春18きっぷ」を提示した場合のみ購入が可能な、当日有効の線内乗り降り自由きっぷで、通常の「1日フリー乗車券」が大人2880円のところ、2060円で販売されます。発売期間や利用期間は「青春18きっぷ」と同じです。

【地図】「青春18きっぷ」だけで特急に乗れる区間

「青春18きっぷ」で特急、新幹線も!? 「特例」と「オプション券」の活用法

「青春18きっぷ」だけで特急に乗れる区間は全国4区間。ただし佐世保線 早岐~佐世保間は2018年3月17日から(国土地理院の地図を加工)。

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