フロントガラスなどに突然小石が飛んでくる「飛び石」によって、ガラスにひびが入ることもあります。このような事例は、春先に増えるといいますが、なぜでしょうか。
フロントガラスなどに突然、小石などが飛んできて、ガラスに傷やひびができてしまうことがあります。
フロントガラスにひびが入ったクルマのイメージ(画像:Harry Huber/123RF)。
そのような「飛び石」の被害は、どのようなところで起こるのでしょうか。「落石注意」の標識がある場所や、砂利道などを想像するかもしれませんが、特に石が飛んできそうにない場所でも起こることがあるそうです。アメリカのガラス補修材メーカー、ノーバス社の日本代理店であるノーバス・ジャパン(札幌市中央区)に聞きました。
――「飛び石」の被害はどのような状況で起こるのでしょうか?
おもに大型車のタイヤに挟まった小石が、何かのはずみで飛んできます。フロントガラスに当たった場合、破損の程度は車速によって異なり、ガラスにひびが入るのはだいたい60km/h以上、つまり高速道路で起こります。一般道であれば、石が当たったとしても表面が欠ける程度の場合が多いです。
――「飛び石」が多い場所や、時期などはあるのでしょうか?
多くのクルマがスタッドレスタイヤなど冬タイヤを履く、寒い地域で起こりやすいといえるでしょう。そして、冬タイヤの切り替え時期にあたる秋や春に、飛び石の被害も増える傾向にあります。これらの時期は積雪がなく路面が乾いていること、そして冬タイヤは夏タイヤと比べてやわらかいので、小石を挟みやすことが要因です。
――当たった場合はどうすればよいのでしょうか?
多くの場合、飛び石が当たれば「パチン」という音がします。そこでもし、ガラスにひびが入っていれば、気温差や振動でひびがどんどん伸びていきますので、早めにディーラーや修理店へ持ち込んだほうがよいでしょう。
――どのように修理するのでしょうか?
透明な樹脂を注入して修理します。ガラスが欠けているだけなら樹脂で欠けた部分に「肉盛り」をし、ひびが入っている場合は、ひびのなかの筋まで樹脂を注入して接着します。しかし、ひびが500円玉程度の大きさまで広がっていると補修が難しく、ガラスを交換せざるを得なくなります。
補修痕は、目を凝らして見ればわかるかもしれませんが、運転席から見るぶんにはほとんど目立ちません。ただ、もちろん補修する人の腕にもよります。市販されている汎用的な補修材で素人がひびの修理をすると、樹脂がひびの先端まで入りきらず、かえって広がってしまうこともあります。
――補修と交換、それぞれ価格はどれくらいなのでしょうか?
補修の程度によっても、修理を請け負う場所によっても異なります。ガラス交換についても、純正品を使うか、輸入の交換用ガラスなどを使うかによって変わってきます。あくまで当社の目安ですが、補修が1万円から2万円なのに対し、輸入の交換用ガラスで交換する場合には5万円から6万円ほどです。
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飛び石に当たってしまうのはやはり「運」なのでしょうか。ノーバスジャパンは、「対策といえば、大型車の真後ろにつかないこと、なるべく車間を空けることくらいでしょうか」といいます。
また運悪く当たってしまったものの、「いますぐお金をかけて補修したくない」という人もいるかもしれません。その場合、「ガラスのキズやひびに雨水や洗車の洗剤が入ると、補修しても汚くなってしまいます。ちょっと不格好にはなりますが、傷やひびの部分に透明のビニールテープを貼っておき、汚れを防ぐのも効果的です」と話します。
【写真】こんな道路を走るときは飛び石に要注意!

雪国の道路では、雪解け時期に穴が空くことも。雪解け水が路面のひび割れにしみこみ、夜間の凍結などで膨張してひびが大きくなるケースがある(画像:Iurii Konoval/123RF)。