国際線においてエコノミークラスに乗る場合、ちょっとした持ち込みグッズによってフライトの快適さが違ってきます。どんなものが役に立つでしょうか。
国際線のエコノミークラスを利用する際、どんなものを機内に持ち込むと便利でしょうか。片道7時間以上かかる中・長距離路線をエコノミーで旅する時、私(宮崎佳代子:元キャビンアテンダント・ライター)が持ち込む4つのものから紹介していきます。
飛行時間の長い国際線は、持ち込みアイテムによって快適性が向上する。写真はイメージ(画像:zhukovsky/123RF)。
まず、防寒対策のショールやカーディガン。機内温度は常に一定ではなく、また、人の体温は上がったり下がったりしますので、寒さへの備えが必要です。エコノミーの毛布は生地が薄めのため、1枚だけでは十分でない時があります。
私が愛用しているのは、パシュミナ100%のショールです。コンパクトに畳める上に軽い、保温性に優れていることから、機内だけでなく旅先でもいつもカバンに入れて持ち歩いています。男性は防寒対策に、パーカーを持参している人が多いようです。防寒も着心地や使い心地の良いものにすることで、より快適に過ごせます。
ふたつめは、ノイズキャンセリング・ヘッドフォン。
飛行機のイヤホンジャックはプラグ(端子)2本タイプと1本タイプがあるので、2本タイプ用のアダプターも持っておくと便利です。ヘッドフォンを外さずとも話しかける声が聞こえるタイプのものなら、食事サービスの時などに客室乗務員に話しかけられる度に外さなくてすみます。残念ながら、ワイヤレスはまだ機内プログラムには使えないとのことです。
足のむくみやエコノミークラス症候群に備えて3つめは、着圧ソックスです。食事や水分を十分に取らない状態で、狭い座席に長時間座っていて足を動かさないと、血行不良が起こるといいます(厚生労働省「エコノミークラス症候群の予防のために」より)。さらに気圧が地上より低いこと、座位によって下肢が圧迫されることなどから、機内は足がむくみやすい環境です。着圧ソックスは、装着部分に圧力を加えてむくみを軽減するとされ、実際に使用してみて足のむくみや疲労が軽減されるのを実感しました。いろいろなメーカーのものがありますが、私が気に入っているのは、「飛行機移動の快適性を求めて開発した」とするメーカーのものです。
長距離フライトでは、食べ物とソフトドリンク類も買って持ち込んでおくと安心です。前述した血行が悪くなる要素などから、旅行者血栓症(エコノミークラス症候群)が引き起こされるといわれています。したがって、十分な水分や食事をとることが大事です。ソフトドリンク類は通常、大手航空会社は無料ですが、コールボタンになかなか対応してくれない会社もあるので、持参しています。食べ物は、機内食が好みの味ではなかった時や、小腹が空いた時などに役立つのはもちろんのこと、飛行機や空港設備の故障、目的地の天候不良など、不測の事態によって機内で長く待機する羽目になった時の非常食にもなります。
子ども連れの時は、お菓子など子どもの好きな食べ物を持ち込んでおくと、おとなしくしてもらうのにも役立つでしょう。
持ち込んだ食品を機内で消費しなかった場合、入国時の持ち込みが可能であるか確認したほうがよいです。果物や肉類などは禁止や制限、検疫を必要とする国も少なくありません。また、飲み物は出国時の保安検査場で液体物持ち込み制限により没収されることがあるので、通過後に購入することをおすすめします。
日本のLCCでは、会社によっては国際線における機内消費用の飲食物の持ち込みを禁止しています。各社に聞いたところ、ジェットスターとエアアジアでは禁止、ピーチでは食べ物は持ち込めますが飲み物は不可。
一般的によく持ち込まれるのが、アイマスク、耳栓、靴下、スリッパ、歯ブラシ。これらは、航空会社によってはエコノミーにおいても、トラベルキットとして提供しているので、わざわざ機外から持ち込む必要がない場合もあります。ネックピローを持ち込んで使用している人もいますが、快適性については意見が分かれるようです。
エコノミーに限らず、役立つものは何があるでしょうか。人にもよりますが、マスクやスキンケア化粧品、スマートフォンの充電ケーブル、酔い止めや痛み止めの薬など。離着陸時に耳が痛くなりやすい人は、キャンディの持参をお勧めします。舐めているうちに、痛みが和らぐことが多いようです。薬やキャンディも、航空会社によっては機内に搭載されています(種類や数は限られています)。
なお、化粧水やクリームなど液体物全般について、日本では100ミリリットルを超える場合は機内持ち込みができません。100ミリリットル以下の容器に入った液体物は、容量1リットル以下のジッパー付き(再封可能なもの)の透明プラスチック製袋に入れたものに限り、可能です。
日本以外にも、液体物機内持ち込みを禁止したり制限したりしている国や航空会社があります。少量の容器に移し替えた化粧水やクリーム類、拭き取りタイプのクレンジングなどを持ち込みに用意しておくといいでしょう。
スマートフォン充電は、機材や航空会社によっても、使用可否が異なります。また、装備がふた口タイプのコンセントとは限りません。USBの差し込みタイプもあるので、ケーブルは一体型でないものを持ち込んだほうがよいでしょう。充電できない機材であれば、モバイルバッテリーが役立ちます。
ゴルフボールをひとつ持ってきて、座りながら足裏をマッサージするのも、気持ちいいです。しかし、あまり持ち歩く荷物が多いとかえって疲れることにもなりかねないので、自分にとって欠かせないものを選定することも大事。また、極力「使い馴れたもの」を使用することも、快適性に大きく関わってくるといえます。
【写真】機内騒音が低減するノイズキャンセリング・ヘッドフォン

エコノミークラスで提供されているイヤホンよりも音がクリアに聞こえるノイズキャンセリング・ヘッドフォン。2本プラグのアダプターを持っておくと便利(2018年、宮崎佳代子撮影)。