自動車教習所の呼び方は地域によって実にさまざまですが、なぜこれほどバリエーション豊かなのでしょうか。そもそも、教習所には正式名称というものがあるのでしょうか。

もとは「自動車学校」、略し方が地域により変わる?

「自校(じこう)」「車校(しゃこう)」「じしゃが」。これらはいずれも、自動車教習所を指す言葉です。首都圏や関西圏では一般的に「教習所」という呼び方が多いようですが、地方に行くとさまざまな呼び方があります。

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自動車教習所内の教習コース。写真はイメージ(画像:写真AC)。

 各地の教習所に尋ねてみたところ、たとえば北海道では「自学(じがく)」、その隣の青森県では「自車校(じしゃこう)」、さらにその隣の秋田県では「じしゃが(自車学)」などと呼ばれ、愛知県では「車校」と呼ぶ人が多いとのこと。これら4つの地域に共通するのは、「○○自動車学校」という名前の教習所が多いという点です。

 たとえば、北海道札幌市では24ある指定自動車教習所(道路交通法に定められた施設やカリキュラムを整備した教習所)のうち21校が「○○自動車学校」、残りの3校は「○○自動車学園」という名称です。青森県、秋田県、愛知県の場合も「○○自動車学校」という名称が大多数で、それぞれの地域で「自動車学校」という名称が定着し、それを略した呼び方が地域によって異なるものと推測できます。

 一方、県内の指定自動車教習所21校のうち、19校が「○○自動車学校」という名称の沖縄県では、なぜか「自練」という呼び方が広まっているといいます。「自練」の由来について沖縄県警察運転免許センターに聞いたところ、担当者は「沖縄県内にある教習所の多くは開設当初、『自動車練習所』と名乗っていました。あくまで私の推測ですが、『自練』という呼び方はこの『自動車練習所』を略したものと考えられます」と話します。

 同担当者によると、県内にたくさんあった自動車練習所は、あいついで指定自動車教習所に指定され、その際に現在の名称である「○○自動車学校」に変更したということです。

道路交通法で定めている名称は?

 教習所の呼び方が地域によってさまざまであるように、教習所自体の名称も「○○教習所」以外に、「○○自動車学校」「○○ドライビングスクール」「○○モータースクール」など、さまざまなものが見られます。そもそも教習所の正式な名称はあるのでしょうか。
 
 自動車教習所の業界団体である全日本指定自動車教習所協会連合会(全指連)に聞いたところ、担当者は「運転技能を学ぶ施設について道路交通法が定める条文に『自動車教習所』とはっきり書かれています。このため、私たち教習所関係者も『教習所』のことを『学校』などとは言いません」と話します。

「教習所」という言葉は法律上でも正しいということになりそうですが、実際にはさまざまな名称の教習所があります。その点については、「道路交通法も実際の会社名や施設名などについて規定しているわけではないため、さまざまな名称があるものと考えられます」(全指連 担当者)とのことです。

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