多くのミニバンで、7人乗りと8人乗りが設定されています。しかも、7人乗りのほうが乗車人員が少ないにもかかわらず、価格が高くなる傾向も。
「ミニバン」といえば、一般的には3列シートのある多人数乗りのクルマを指します。大きさもさまざまで、2列目、3列目シートの居住性は車種により差があるものの、たとえばトヨタ「アルファード」「ヴェルファイア」、日産「セレナ」「エルグランド」、ホンダ「ステップワゴン」などは、いわゆる「コンパクトミニバン」よりも多人数乗車を想定したモデルといえるでしょう。
ホンダ「ステップワゴン」。上が現行モデルで基本の7人乗り、下が先代モデルの8人乗り(画像:ホンダ)。
そのような車種の多くでは、7人乗りと8人乗りの双方が設定されています。どのような違いがあり、それぞれどのようなメリットがあるのでしょうか。ホンダに聞きました。
――7人乗りと8人乗りではどうちがうのでしょうか?
7人乗りは乗員の配置が前列から「2人・2人・3人」、8人乗りは「2人・3人・3人」となっています。7人乗りは2列目の座席が車体の左右に独立して配置されている「キャプテンシート」ですが、8人乗りは、一般的な5人乗り乗用車の後部座席で見られるような「ベンチシート」です。
――それぞれどのようなメリットがあるのでしょうか?
2列目がキャプテンシートの7人乗りは、左右にひじ掛けがつくなど助手席と同じようなゆったりとしたシートであること、真ん中が空いているため3列目座席にウォークスルーで行けるので、3列目座席を利用しやすいといったメリットがあります。一方でベンチシートは2列目、3列目をフラットに近い状態まで倒したときに隙間がないので、そのような使い方をするときに便利でしょう。
――価格などで違いはありますでしょうか?
2列目がキャプテンシートである7人乗りのほうがベンチシートよりも機構が複雑になるため、8人乗りと比べると、同じグレードで17万円ほど高くなるケースもあります。
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ある自動車販売店の代表によると、「2列目のキャプテンシートはもともと、ハイクラスのモデルやグレードで見られた高級仕様のシートです」とのこと。少なくともなくとも10年ほど前は、トヨタ「ノア」やホンダ「ステップワゴン」クラスは8人が主流だったといいます。
しかし、「ステップワゴン」では2009(平成21)年発売の先代モデルは8人乗りが標準、7人乗りはオプションでしたが、2015年からの現行モデルは逆に7人乗りが標準で、8人乗りがオプションになっています。ホンダによると、現行「ステップワゴン」発売前の予測数値では、ベンチシートを選ぶ人は35%と見込んでいたとのこと。「多く乗れればよいわけではなく、シートアレンジや使い勝手などを総合的に判断いただいていることでしょう」と話します。
この傾向はほかの車種でも見られ、たとえば日産「セレナ」は、2018年2月に発売された「e-Power」搭載モデルは8人乗りを廃し、7人乗りのみになっています。日産によると、これはおもには床下にバッテリーが搭載されたことによるものといいますが、「『e-Power』は静粛性が特徴でもありますので、(キャプテンシートで)ゆったりとお過ごしいただきたいという思いもあります」とのこと。

「セレナ e-Power」のインテリア。2列目キャプテンシートの7人乗りのみが設定されている(画像:日産)。
前出の自動車販売店代表は、「ふだん3列目は荷物置きで、おじいさん、おばあさんと一緒に出かけるといった特別なときにしか座らないという人も多いのではないでしょうか」と推測します。各社が2列目のキャプテンシートを下のクラスにも広げてきたことは企業努力だといい、これにより「『3列目もありますよ』ではなく、3列目もよりしっかりとつくるようになったのでしょう」と話します。

トヨタ「ハイエース グランドキャビン」の室内イメージ。普通免許で運転できる最大人数の10人乗りは、「ハイエース」と日産「キャラバン」の一部モデルで存在する(画像:トヨタ)。