関越道の起点である練馬ICは、首都高とつながっていません。都心部から関越道へ向かう場合、一般道経由か、外環道へ迂回して大泉JCTから入るルートが考えられますが、どちらのほうがよいのでしょうか。
東北道や常磐道などの高速道路は、起点側で首都高に直結して東京都心へと通じていますが、関越道は首都高とつながっていません。都心から関越道へは、一般道経由で起点の練馬ICから入るか、外環道に迂回して大泉JCTから入る形になります。どのようなルートがよいのでしょうか。
関越道の起点、練馬ICは一般道の目白通りに通じる。朝には上り方向で渋滞が発生することも(画像:pixta)。
たとえば、東名高速から関越道へ向かうには、東京ICで降り、環状8号線(以下、環八)を北上、練馬区の谷原交差点で左折して目白通りに入り、練馬ICに至る約15kmのルートが一般的でしょう。そのようなクルマが多いため、環八は都内でも有数の渋滞が激しい道路として知られます。2018年5月17日の17時台に出発する想定(以下、ルート検索は同日時で実施)で、このルートをNEXCO東日本の「ドラぷら」で調べると、所要時間は47分との結果でした。しかし、国土交通省が2010(平成22)年度「交通センサス」から算出した数値では、約60分とされています。
では、東京ICで降りずに首都高、外環道を経由した場合はどうでしょうか。東京ICから首都高3号渋谷線を進み、大橋JCTでC2中央環状線に、板橋JCTで5号池袋線に、美女木JCTで外環道に入り、大泉JCTに至るルートが考えられますが、その距離は約40km。
この首都高ルート上にも、C2と5号線が合流する熊野町JCT~板橋JCT間などの渋滞ポイントがありますが、同区間は2018年3月に内回り・外回りとも4車線化が完了し、渋滞損失時間が約4割減少したといいます。
新宿・池袋からは? 首都高経由の高速バスも東京から関越道方面へ向かうバスの多くは、「バスタ新宿」や池袋駅から発車しています。たとえば西武バスなどが運行する長野、金沢、新潟方面への高速バスは、両駅を出て明治通り、新目白通り、目白通りを経由して練馬ICに入ります。というのは、ほとんどの便が途中で新目白通り沿いの「下落合駅」停留所(西武新宿線下落合駅から徒歩約7分)、目白通り沿いの「練馬駅(練馬区役所前)」停留所(西武池袋線・都営大江戸線練馬駅から徒歩約5分)にも停車するからです。
「バスタ新宿」(新宿駅)発でこのルートを「Google map」で調べたところ、距離は約15km、所要時間は渋滞なしで33分、平日の夕方17時台に検索した時点では49分と出ました。明治通りではなく山手通りや環状7号線を経由するルート、あるいは青梅街道と環八を経由するルートでも、距離や時間はおおむね変わりません。

環八をはじめとする一般道経由と、首都高・外環道経由のルート比較(国土地理院の地図を加工)。
一方、「バスタ新宿」を出発して関越道に入るまでに途中停留所がなく、首都高・外環道から関越道に入るルートで運行するバスもあります。そのひとつ、新宿~金沢間で「KBライナー」を運行する千葉みらい観光(千葉市若葉区)によると、一般道だと混んだときの予測がつかないといい、C2中央環状線の中野長者橋ランプから首都高に入るそうです。
このルートの距離は約31kmと、やはり目白通り経由の2倍ほどですが、「Google map」では所要時間40分と出ました。うち中野長者橋ランプ~大泉JCT間は、「ドラぷら」によると27分、普通車ETC料金は首都高が770円、外環道が430円(深夜割適用の場合は300円)です。お金はかかるものの、一般道経由で練馬ICから入るより早い場合もあるようです。
ディズニーリゾートからはさすがに首都高? 安く行く方法も練馬ICから都心を挟んでほぼ対角に位置する、東京ディズニーリゾートから関越道へ向かうケースではどうでしょうか。この場合、高速道路での最短は、東京ディズニーリゾートにほぼ隣接している首都高湾岸線の舞浜ランプから、9号深川線、5号池袋線、外環道経由で大泉JCTに入る約44kmのルートです。「ドラぷら」の検索結果では所要時間47分、普通車ETC料金は首都高が1300円、外環道が430円(深夜割適用の場合は300円)です。
「ドラぷら」では上のルートと同時に、外環道を経由せず、より距離が短いルートも表示されました。5号池袋線ではなく4号新宿線に入り、高井戸ICで降りて環八を北上、練馬ICから関越道に入るというもので、距離は約40km、所要時間は1時間1分としています。外環道に入らないので、首都高の料金(普通車ETCで1110円)だけで利用できます。

東京ディズニーリゾートから関越道へのルートおよび「高速練馬線」のルート(国土地理院の地図を加工)。
ちなみに、関越道へ首都高をつなげる構想そのものは存在します。首都高5号池袋線の早稲田ランプから練馬ICに至る「高速練馬線」と呼ばれる路線で、2006(平成18)年に国土交通省が策定した「首都圏整備計画」にも、調査すべき路線のひとつとして位置づけられていました。
仮にこの路線があれば、東京ディズニーランドなどから関越道へ向かう場合には、最短ルートとして機能したでしょう。しかし、現在はC2中央環状線なども整備されたうえ、工事中の外環道「東名~関越」区間が完成すれば、東名高速や中央道からはこちらが最短ルートになります。国としても、整備の優先度は高くないと考えているのかもしれません。
【地図】「東名~関越」は環八も環七も渋滞 外環道ができると…

環八、環七の渋滞発生状況と外環道「東名~関越」の整備効果(画像:国土交通省)。