JRの普通列車は普通車だけ連結されていることがほとんどですが、関東では自由席のグリーン車を連結した普通列車が多数運転されています。あらかじめグリーン券を購入して乗ってみたら満席だった場合、グリーン料金は返金されるのでしょうか。
JRの旅客車両は、大きく分けるとグレードの低い「普通車」と、グレードが高い特別車両「グリーン車」の2種類あります。
関東のJR線ではグリーン車が連結されて普通列車が多数運転されている(2015年6月、草町義和撮影)。
グリーン車は特急列車や、利用者の多い時期などに運転される臨時の急行列車に連結されていることが多く、そのほとんどは予約しないと利用できない指定席。これに対して快速を含む普通列車は普通車の自由席のみ連結されていることが多く、グリーン車はほとんど連結されていません。
ただ、関東エリアの東海道線、高崎線、宇都宮線、常磐線(快速)、横須賀・総武快速線などでは、普通車とグリーン車の両方を連結した普通列車や快速列車が多数運転されています。座席はテーブル付きのリクライニングシート。ロングシートや4人掛けボックスシートの普通車よりも快適に過ごすことができます。
たとえば、「いつもは普通車を使っているけど、今朝は疲れているから楽をして会社に向かいたい」「ノートパソコンを広げて仕事の資料を作成したい」といったときなどに重宝します。現在は普通車自由席しか連結されていない中央線(快速)でも、2023年度末にはグリーン車が連結される予定です。
これらの普通列車や快速列車に連結されているグリーン車は自由席。利用する場合は普通列車用の自由席グリーン券を購入する必要があります。あらかじめ席を予約することができないため、グリーン券を購入しても満席で座れないことがあります。
このような場合、グリーン券はどうすればいいのでしょうか。JR東日本の広報部に聞いてみました。

乗車前に購入した熱海→黒磯間の普通列車用自由席グリーン券(平日980円)。乗車後に車内で購入すると260円高い1240円になる(2015年6月、草町義和撮影)。
――あらかじめ普通列車用の自由席グリーン券を購入し、実際に乗ってみたらグリーン車の席がすべて埋まっていた場合、どうすればいいのでしょうか?
グリーン車の利用をやめて普通車に移る場合、グリーン車の業務員(グリーンアテンダント)にその旨を伝えてください。グリーン券を使わなかったという証明書を発行します。これを持って駅の窓口に行けば、無手数料でグリーン料金を払い戻しします。
――グリーン車のデッキや通路に立って利用する場合も払い戻しになるのでしょうか?
グリーン車はデッキや通路も含めてグリーン券が必要です。払い戻しできません。
――紙のグリーン券ではなく、交通系ICカードでSuicaグリーン券を購入した場合は?
紙のグリーン券と同じ扱いです。普通車に移動する場合はグリーンアテンダントにその旨を伝え、証明書を受け取ってください。
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このように少し手間はかかりますが、グリーン車の利用を取りやめて普通車に移れば、グリーン料金は手数料を取られることなく全額返金されます。
実際に乗ってみて席が空いているのを確認した上で、グリーンアテンダントからグリーン券を買おうと考える人もいるでしょう。これなら、満席でも払い戻しの手間はかかりません。ただし、乗車後の車内購入は事前購入より高くなりますから注意しましょう。たとえば東京~横浜間の場合、平日の普通列車用自由席グリーン券(大人)は事前購入が770円。これに対して車内購入は260円高い1030円です。
なお、スマートフォンなどの携帯端末を使ったチケットレスサービス「モバイルSuicaグリーン券」の場合、常に事前購入の金額が適用されます。実際に乗り込んで空席があることを確認してから購入したとしても、車内料金より安くグリーン車を利用することができます。
【写真】豪華な「新型の旧型グリーン車」

昔の旧型客車を模して製造された「SLやまぐち号」の新型グリーン車は指定席。自由席と異なり「事前にグリーン券を買ったのに座れなかった」という状況は発生しない(2017年6月、草町義和撮影)。