山手線のやや外側を環状に取り囲む「環七通り」には、多くの路線バスが走っていますが、なかにはまとまった距離を走り、都心部から放射状に延びる複数の鉄道路線と交わるバスも。鉄道では不便な東京の「タテ移動」を便利にしてくれます。

江戸川・葛飾区内は「急行」バスあり

 山手線のやや外側、大田区から中野区、足立区を経て江戸川区までを環状に結ぶ道路が「環七通り」(都道318号)。多くのバスがこの通りを利用していますが、なかにはまとまった距離を走り、都心部から放射状に延びる複数の鉄道路線と交わるバスもあります。

 東京では、このような「縦軸」を結ぶ鉄道が少なく、並行する路線に乗り継ぐために、山手線の駅などまで迂回しなければならないケースも存在。そのような移動に便利な、環七を長く走るバスを5つ、江戸川区側から紹介します。なお、本記事中で紹介したバスが「途中で交わる鉄道路線」は、新幹線を除いています。

東京の「タテ移動」を便利に! 「環七」を走る路線バス5選 乗...の画像はこちら >>

京成バス「シャトル☆セブン」。江戸川・葛飾区内の環七を走行する(画像:京成バス)。

愛称「シャトル☆セブン」 京成バス「環08急行」「環07急行」

・運行区間:東京ディズニーシー~葛西臨海公園駅~亀有駅(環08急行)、東京ディズニーシー~葛西臨海公園駅~大杉第二小学校~小岩駅(環07急行)
・途中で交わる鉄道路線:JR京葉線、東京メトロ東西線、都営新宿線、JR総武線、京成本線

 愛称は「シャトル☆セブン」。江戸川区などの要望を受けた実証運行として2007(平成19)年にスタートし、その2年後、本運行へ移行しました。「環08急行」は東京ディズニーリゾートを出発したのち、江戸川区にあるJR京葉線の葛西臨海公園駅から環七を北上、葛飾区にあるJR常磐線の亀有駅南口まで、「環07急行」はその途中で環七から分かれてJR総武線の小岩駅までを結びます。「急行」と付くとおり、両系統あわせて15の主要停留所のみに停まるほか、さらに7停留所に絞った「特急」も走っており、日中3本から4本(両系統の合計)と、本数も多いです。

葛飾区から杉並区まで、2路線で一気に!

 亀有駅から先は、1本のバスで北区まで行くことができます。

ただし、本数が少ないので注意が必要です。

東西に長い足立区を横断 東武バスセントラル「王30」

・運行区間:亀有駅北口~北区神谷町~王子駅前
・途中で交わる鉄道路線:東京メトロ千代田線(北綾瀬支線)、つくばエクスプレス、東武スカイツリーライン(伊勢崎線)、日暮里・舎人ライナー、東京メトロ南北線

 JR常磐線 亀有駅の北口から、環七で足立区を横断、北区の宮堀交差点(最寄りバス停は北区神谷町)から北本通りに入り、JR京浜東北線の王子駅前まで約13kmを50分強で結びます。ただし便数は2本(両方向あわせて4本)のみと極少。亀有駅北口発は10時38分、12時24分です。足立区内の環七では、ほかにも多くのバスが走っていますが、区内全域を走破するのは、この「王30」のみ。バスでの「環七走破」も、この路線に乗れなければ事実上不可能となります。

東京の「タテ移動」を便利に! 「環七」を走る路線バス5選 乗り継いでほぼ1周可能

東武バスセントラル「王30」時刻表(王子4丁目バス停にて)。1日2往復しかない(2018年4月、中島洋平撮影)。

23区内の都営バス最長路線「王78」

・運行区間:王子駅前~北区神谷町~高円寺陸橋~新宿駅西口
・途中で交わる鉄道路線:東京メトロ南北線、JR京浜東北線(東北本線)、JR埼京線、都営三田線、東武東上線、東京メトロ有楽町線・副都心線、西武有楽町線、西武池袋線、都営大江戸線、西武新宿線、JR中央線、東京メトロ丸ノ内線

 路線距離は約18kmと、東京23区内を走る都営バスでは最長。北、板橋、練馬、中野、杉並、新宿の6区にまたがる系統です。北区神谷町バス停から高円寺陸橋バス停(杉並区)までのあいだで環七を走行し、そこから青梅街道に入って新宿駅西口へ走ります。本数は日中1時間あたり2本から3本、所要時間は1時間強ですが、時間帯や道路状況によっては90分近くかかることもあります。

杉並区から大田区までは「兄弟路線」に乗車

 次に紹介する2路線は、運行する事業者は違えど「兄弟」とも呼べる路線です。

都バスエリアと東急バスエリアを連絡 都営バス「宿91」

・運行区間:新宿駅西口~高円寺陸橋~新代田駅前
・途中で交わる鉄道路線:東京メトロ丸ノ内線(本線および方南町支線)、京王線

 環七を走る区間は約4kmと、今回紹介する路線では最も短い路線です。2013(平成25)年までは、新代田駅からさらに、東急バスのエリアである駒沢陸橋(世田谷区)まで乗り入れていたほか、昭和の時代は東急バスと共同で、次に紹介する「森91」と一体的に運行されていました。

大森まで一気に! 東急バス・東急トランセ「森91」

・運行区間:新代田駅前~馬込銀座~大森駅~大森操車所
・途中で交わる鉄道路線:京王井の頭線、小田急小田原線、東急世田谷線、東急田園都市線東急東横線、東急目黒線、東急大井町線、東急池上線、都営浅草線、JR横須賀線

 前出の都営バス「宿91」と同じ「91」の系統番号が付いているのは、かつて都営バスと東急バスが新宿駅西口~大森操車所間で相互乗り入れしていた名残。新代田駅前を境に分割された東急バス側がこの路線です。バスは世田谷、目黒、大田の3区を横断し、馬込銀座から環七を離れてジャーマン通りに入り、JR京浜東北線の大森駅へ。さらにそこから1区間、品川区に位置する大森操車所まで走ります。距離は約11km、本数は日中1時間あたり2本から3本です。

東京の「タテ移動」を便利に! 「環七」を走る路線バス5選 乗り継いでほぼ1周可能

東急バス「森91」(2019年3月、中島洋平撮影)。

 ちなみに、「森91」が環七を離れる馬込銀座交差点から、湾岸道路に再び接続する環七大井ふ頭交差点までのあいだは、バスが一方方向にしか走っていなかったり、全く存在しなかったりする区間もあります。環七大井ふ頭交差点へ向かうには、大森駅の東口から京急バス「森32」系統などを利用するといいでしょう。

【路線図】5本のバスで環七をほぼ走破!

東京の「タテ移動」を便利に! 「環七」を走る路線バス5選 乗り継いでほぼ1周可能

本記事で紹介した5つのバス(国土地理院の地図を加工)。

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