東京の三鷹市と府中市を結ぶ「東八道路」の東側と、国道20号「甲州街道」をつなぐ区間が、計画決定から73年を経て開通しました。東八道路は本来、東京と八王子を結ぶ道路の一部ですが、今後、どのように整備されるのでしょうか。
東京の「東八道路」と国道20号「甲州街道」が、都市計画決定から73年を経て2019年6月8日(土)、ついにつながりました。
東八道路から甲州街道につながる延伸部の概要(画像:東京都)。
「東八道路」は、三鷹市と府中市を東西に結ぶ都道14号線のことです。甲州街道の北側に並行する路線で、東京都建設局によると、将来的に東京と八王子を結ぶ道路の一部になるそうですが、現状ではそのようにはなっていません。
この東八道路の東側は、長らく延伸のための工事が行われていましたが、前述のように三鷹市から杉並区の甲州街道までをつなぐ約3.6kmが4車線で開通しました。東京都建設局は今回の開通によって、「東京の東西方向の大動脈が形成され、並行する甲州街道の交通渋滞が緩和されるとともに、周辺地域の生活道路へ流入する通過交通が減少するなど、安全性の向上が期待されます」としています。将来的にはやはり、八王子までつながるのでしょうか。同局に聞きました。
――「東八道路」は、具体的にはどのような計画の道路なのでしょうか?
都道としての東八道路の区間は、三鷹市牟礼(むれ)と国立市谷保(やほ)の国道20号交点に至る14.4kmの区間です(今回開通した区間のうち、杉並区内から三鷹市牟礼までの区間は「放射5号線」という)。西側の府中市西原町から国立市谷保までの1.3km区間は現在建設中で、開通すれば国道20号のバイパスとしての機能が強化されます。
――今回の区間も長らく工事が続いていましたが、いつから建設しているのでしょうか?
東八道路、そして東八道路と区部をつなぐ放射5号線とも、都市計画そのものが決定したのは1946(昭和21)年のことです。現在の東八道路は昭和30年代から徐々に開通しており、今回の区間は2004(平成16)年から事業が始まっています。
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東八道路は都市計画道路「東京八王子線」の一部です。この「東京八王子線」は、三鷹市牟礼から圏央道の高尾山IC(八王子市南浅川町)に至る全長34.2kmの計画で、東八道路の西側区間は国道20号「日野バイパス」に接続する予定です。さらに日野市および八王子市内において「日野バイパス延伸部」「八王子南バイパス」の事業名で建設中の区間が結ばれることで、高尾山ICに至る全線が完成します。
開通区間周辺では外環道の建設も 今後どうなる?今回4車線で開通した約3.6km区間は、杉並区側1.6kmの改良区間と、三鷹側2kmの新設区間に大別されます。改良区間では、中央道の高架を隔てた片側1車線ずつの道路があったところ、高架の直下に片側2車線(4車線)の本線が整備され、既存の道路は側道になりました。
また新設区間の一部は、上下本線のあいだに玉川上水と、その緑地を挟んでいるのが特徴です。東京都建設局によると、この玉川上水に沿う区間は道路幅50mの計画を60mに変更するなどして、環境への影響を抑えたといいます。杉並区側からクルマで本線を走った場合、中央道の高架下を抜けるとすぐ、右側に玉川上水沿いの森が現れるなど、車窓も大きく変化します。

上下本線のあいだに玉川上水を挟む区間。右手の森のなかに玉川上水が流れる(2019年6月、乗りものニュース編集部撮影)。
今回の開通にともない、周辺道路の接続路なども大きく変化しました。東京都建設局によると、今後は開通区間の歩道部分について、黒いアスファルト舗装を剥がし、電線共同溝(地上の電柱や上空の電線を収容する地下施設)を整備したのち、色つきのブロック敷き舗装に置き換えるそうです。
ちなみに、今回の開通区間付近ではもうひとつ、大きな道路建設プロジェクトが進められています。外環道の「関越~東名」区間です。三鷹市内には約40mの地下に建設される外環道と、高架の中央道を結ぶ「中央JCT」のほか、東八道路に接続する「東八道路IC」(いずれも仮称)が建設され、中央道、外環道のいずれの方向にも接続可能となる予定です。