新型コロナウイルスの感染拡大は、ANAにも大きな影響を及ぼし、減便や運休などが続いています。ANA機に乗ったところ、感染を防止するための様々な方策が見られ、機内の様子もいつもとは異なるフライトでした。

いつもであれば卒業旅行などで賑わうシーズンだが…

 世界中で感染が広がっている新型コロナウイルスは、航空業界にも大きく影響。ANA(全日空)においても、2020年2月から国際線では運休や大幅な減便、使用機材(飛行機)の小型化などが発表されています。

 そして3月に入り、その影響は国際線だけではなく、国内線にまで及んでいます。3月13日(金)発表時点で、同社国内線119路線(3月運休前の計画上)のうち43路線において、運休、減便対象便はこれまで計2674便に上ります。

 また利用者の減少も続いており、同社によると、2020年3月の国際線および国内線航空券の予約状況は、2019(平成31)年3月と比べて5割程度とのことです。

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ANAのボーイング787型機(2020年3月、乗りものニュース編集部撮影)。

 こうした状況のなか、ANA便の機内はどのような様子になっているのでしょうか。2020年3月12日(木)、実際に国内線に乗ったところ、いつもと違う点が多くありました。

 出発地である羽田空港、本来は卒業旅行などで若い利用者が多く見られるであろうシーズンですが、この日の空港を行き交う人は少な目です。また、空港に勤務する地上係員がマスク着用なのも、平常時とは大きく違います。そして耳に入る空港アナウンスも、新型コロナ関係の注意喚起が、数分おきに流れます。

 搭乗前のゲートではさらに、いつもと異なるアナウンスも流れます。

機内のドリンク提供サービスや機内販売、毛布の提供を控えていること、ANA国内線の上位クラス「プレミアムクラス」でのサービス内容を変更していること、そしてCA(客室乗務員)はマスク、手袋をつけて応対するといった案内がされていました。

目でも耳でもわかる機内の違い ANAのコロナ対策あれこれ

 那覇行きの機内に乗り込むと、いつもと比べやはり空席が目立ちます。この日は横3-3-3列の普通席を配するボーイング787型機でしたが、各中央席に人はおらず、窓際、通路側でも空いている席が見られます。またアナウンスどおり、CAは全員がマスクを着用し、ドリンクサービスなども控えられ、普段座席にセットされている機内誌などは見えず、エチケット袋と安全のしおりのみです。

 フライトを通して印象に残るのは、機内の静かさです。ドリンクサービスがなく、機内サービスも平常時より控えられていることや、長期休暇でもない平日ということもあるものの、それでも普段は賑わいを見せるレジャー路線で、家族連れの姿を少なく感じられるのも一因でしょう。

 そのためか寝ている人が多く、なかにはベルト着用サインが消えると、シート3列を占有しベッドのようにして横になる乗客の姿も見られました。まるで長距離国際線の夜間飛行のようです。

いつもと違った機内と空港 ANA国内線に乗ってみた 新型コロナの影響うける航空会社

巡航中のANA機の様子。ベルトサインは消えているが、通路に人の往来は少ない(2020年3月、乗りものニュース編集部撮影)。

 なおANAによると、フライト以外の部分でも新型コロナウイルス感染拡大防止のため、たとえば中国発着の国際線で、日本到着後の夜間機内清掃時、座席周りや利用者の手が触れる部分にアルコールを用いた消毒をしたり、ラウンジの飲食物を順次、個食、個包装したものに変更し、提供を始めたりといった取り組みをしているそうです。

 またANAの全機で、空調システムに最新のフィルターを装着。

そこで浄化した空気と機外から取り入れた空気を客室内に供給し、その後、機外へ排出することにより約3分で機内の全空気が入れ替わるよう設計されているといいます。

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