令和2年7月豪雨で全車両が浸水し、鉄橋も流出した熊本県のくま川鉄道。運転再開の見込みが立たない同社を支援する動きが、全国の鉄道会社で広がっています。
令和2年7月豪雨で5両全ての車両が浸水し、鉄橋流出も発生した、熊本県のくま川鉄道。1か月を経ても運転再開の見込みが立たないなか、同鉄道を支援する鉄道会社の輪がいま、広がっています。
2020年8月10日(月・祝)に開催された、全国の鉄道会社がオンラインで集う「超鉄道サミット@ニコニコネット超会議2020夏」。そこに特別参加したくま川鉄道の永江友二社長は、次のように話しました。
「『鉄道のつながり』のありがたさを、胸にすごく感じています。勇気づけられています」
「当分の間の運休」が告知されているくま川鉄道ウェブサイト。
永江社長によると被災後すぐ、車両浸水に対し「これだけはやったほうがいい」といった連絡などが、いろいろな鉄道会社から寄せられたとのこと。また、第三セクター鉄道はどこも運営が大変であるなか、鳥取県の若桜鉄道は「協力できることはないか」と、クルマに発電機などを積んで熊本に人員を派遣。エンジン浸水や車軸の錆びへの対処など、炎天下のなか5日間、車両を整備してくれたそうです。
その結果、1両のエンジンが再び起動。走れるようになりました。
「時間がたてばサビが進行し、あとに響いてしまうので、応急手当をしに来ていただきました。エンジンがかかったとき、うちの社員は文字通り震えて喜びました。復旧に向けて一歩前進したのかなと思っています」(くま川鉄道 永江友二社長)
また、くま川鉄道へ応援に向かった若桜鉄道の谷口さんは、「5両のクルマを見させていただいたところ、1両、奇跡的に電子機器が水没していませんでした。この車両の浸水を除去し、車両がそれ以上錆びないよう処置をして、この1両は何とか動かせるようになりました」といいます。
この1両は、被災していない区間に移動させ、そこで運行することを考えているそうです。
支援の申込み多数でも 閉めざるを得なかったくま川鉄道ネットショップまた被災後、くま川鉄道を応援しようと、同社のネットショップには多くの申込みがあったそうですが、くま川鉄道はそのネットショップを閉めています。郵便局も被災するなどし、対応が困難だからです。
そうしたなか全国各地の第三セクター鉄道で、新潟県のえちごトキめき鉄道が企画した、豪雨当日の日付で実際には使えない「くま川鉄道復旧祈念きっぷセット」を販売し、手数料と消費税を除いた額をくま川鉄道に寄付するといった取り組みも広がっています。
またくま川鉄道は、「超鉄道サミット@ニコニコネット超会議2020夏」に、ほかの鉄道会社と同様に参加する予定でした。しかし被災で難しいため、「特別参加」という形に。

令和2年7月豪雨で流出したくま川鉄道の鉄橋(画像:くま川鉄道)。
そうしたなか、「超鉄道サミット@ニコニコネット超会議2020夏」に参加するほかの鉄道会社から、何らかの形でくま川鉄道を支援できないかと話があがり、クラウドファンディングも立ち上げられています(経費は「ニコニコ超会議」を開催するドワンゴが負担)。
くま川鉄道の永江社長は「熊本地震からの復旧を目指す、同じ熊本県内を走る南阿蘇鉄道など、鉄道の仲間が頑張った姿を見てきていますので、後を追えるように頑張りたいです」と話しています。
●クラウドファンディング「【九州豪雨被害】くま川鉄道橋梁流出における支援」
https://camp-fire.jp/projects/312435/preview?token=2f7wp4wq