ヘチ釣り、落とし込み釣り、前打ち釣りに使うエサとして、以前の投稿では岩カニをとり上げたが、今回は春~盛夏に威力を発揮するパイプ虫とイ貝を紹介する。

(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)

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パイプ虫とは

学名はカンザシゴカイ。石灰質を分泌して白色の細い管を作り、オレンジ色のゴカイ本体が中に生息している。

細い管が群生し、大きな塊となって岸壁や防波堤の壁面に着生する。関西では春先から梅雨前ぐらいの間にチヌ(クロダイ)に有効なエサとなっている。毎年安定して着生するとは限らず、着生箇所も局地的な傾向がある。

波止釣り『エサ図鑑』:パイプ虫&イ貝 現地調達可能でリーズナブル
パイプ虫(提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)

イ貝とは

釣りエサとされるイ貝は、正確にはムラサキイガイで、在来種のイ貝とは別種。西洋料理の食材として有名なムール貝のことである。米粒大から指の関節1つ分ぐらいまでの大きさに成長し、貝同士は繊維で絡み合ってつながり、薄く広く、あるいは大きな塊となって、岸壁や防波堤の壁面に着生している。毎年4月頃から稚貝の着生が始まり、梅雨明けから剥がれ落ち始める。

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イ貝(提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)

対象魚

メインターゲットはなんといってもチヌ(クロダイ)。

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サンバソウとチヌ(提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)

ほかにカンダイ(コブダイ)、サンバソウなども釣れる。

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カンダイも実績あり(提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)

入手方法

一般的には販売・購入するエサではないが、地域によっては波止の壁面の保善のために、渡船店などが例外的に販売することがある。

多くの場合、釣り人自らがイ貝採り器という専用の道具を持参して、タモ網の柄のねじ穴にはめ込んで、波止や岸壁の壁面を掻きとるようにして採取する。考えようによっては現地調達可能でリーズナブルなエサだ。

イ貝採り器の扱い

タモ網の柄のねじ穴にはめ込んで使うが、高級・軽量のものに装着するのは決してお勧めしない。壁面を掻きとる際の圧力で柄が折れる可能性が高い。重くても安物で頑丈なグラスファイバー中心の柄が適している。

また、柄だけに頼るのも強度の面でよくないので、イ貝採り器にロープを結んで、柄とロープの両方を引いて掻きとる際の圧力を分散させるといい。

なお、採取に没頭するあまり、所構わずあちこちで採取するのは、釣り場を荒らすのでNG。魚のアタリが多い箇所での採取は避けて、他の釣り人が採取した跡の傍など、影響の少ない無難な場所を探して最小限の採取にとどめてほしい。

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柄の破損防止にロープが有効(提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)

エサの取り扱い

パイプ虫もイ貝も、表面的には動かないが、生きエサにかわりはない。死ぬと腐り始めてエサとして使えなくなる。

釣り場に着いたら海水バケツの中に入れ換えて、新鮮な海水に浸しておくとよい。海水もこまめに入れかえて、夏場はバケツを日陰に置いて白色のタオルで覆うなど、高温対策も心掛けたい。使う分だけエサ箱に小分けして使うのであれば、プラスチック製のエサ箱で十分だ。

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海水バケツに入れ生かしておく(提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)

パイプ虫のハリへの刺し方

大きな塊から指の関節1つ分までの大きさのかけらを切り出して、管の隙間に、あるいはキリ、千枚通しなどでハリ穴を空けて、ハリを通す。ハリのぐらつき、抜け落ちが気になるようであれば、白いゴム片、あるいはイカの切り身を刺して止めるといい。ハリ先は少し出す。

パイプ虫のかけらの縁から、オレンジ色の虫を少し出してハリ付けすると、魚にアピールして釣果が上がる。

イ貝のハリへの刺し方

1枚掛けと房掛けの2種類がオーソドックス。1枚掛けは貝の縁のとがったほうの隙間からハリ先をこじ入れて、ハリ先を少しだけ出すように刺す。

房掛けは、稚貝の繊維にハリを絡ませるように刺す。大きさはいずれも、指の関節1つ分ぐらいまでで、狙う魚の大きさによって大小を調節するといい。

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イ貝の刺し方く(提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)

<伴野慶幸/TSURINEWSライター>

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