劇作家・つかこうへいの代表作、革命ミュージカル「新・幕末純情伝」が、8月8日(金)に東京・新宿の紀伊國屋ホールで開幕する。
「幕末純情伝」は、幕末の京都を舞台に、新撰組の沖田総司が実は女だったという、つかこうへいのユニークな着想の作品で、幾度も舞台化されるたびに話題を呼んできた。
主演の沖田総司を演じるのは、AKB48卒業後、初の舞台単独初主演となる村山彩希。グループ在籍時から“劇場の女神”と称され、表現力に定評のあった彼女が、“つか作品”という熱量の高い世界に飛び込み、新たな沖田総司を体現する。そして、百名ヒロキ、柳下大、細貝圭ら個性豊かなキャスト陣が公演に彩りを添える。
演出はつか作品を数多く手がけてきた岡村俊一。そして振り付けは演劇的な世界観をダンスとJ-POPで創り上げるダンスエンターテインメント集団「梅棒」の多和田任益が務める。
8月8日(金)の初日を控え、前日の7日(木)に、開幕直前取材&公開ゲネプロが行われた。
ゲネプロに先立って行われた取材会には、主演の村山に加え、坂本龍馬役の百名、新撰組の副長・土方歳三役の柳下、勝海舟役の細貝、桂小五郎役の青木瞭、岡田以蔵役の嘉島陸、新撰組隊士・二宮役の佐久本宝の7人が登壇した。
そして司会を新撰組局長・近藤勇役の久保田創が務めて取材会を進行。冒頭、それぞれがあいさつに立ち、明日に迫った公演への思いを語った。
村山「この稽古期間、右も左もわからない私を、キャストの皆さんが、言葉だったり背中で教えてくれて、いまここに立てているなと思っていますので、いまできる沖田総司を全力でやりたいと思っています」
百名「毎日毎日、稽古をしてきたので、全力を出して1公演1公演、ホントに出し切りたいと思います。楽しみにしています」
柳下「この紀伊國屋ホールという場所でつかこうへいさんの作品をできるという意味を毎日かみしめながら、1公演1公演、全力でぶつかっていきたいと思います」
細貝「個人的に7年ぶりの『新・幕末純情伝』、そして勝海舟をさせていただくんですが、今回またキャストも新たに、この座組でしか表現できない『新・幕末純情伝』をみなさんにお届けできたらなと思います」
青木「僕、つかさんの作品、初めてなんですが、とにかく熱量がすごいというのを、前面に押し出していきたいと思っています。
嘉島「僕にとってこの作品は“殺陣”に初挑戦になる。殺陣を1カ月頑張って稽古してきたので、それと、作品の熱量を最後の最後までお届けできるようにしていきたいです」
佐久本「僕は9年か10年前に沖縄の『新・幕末純情伝』の公演に出たので、それ以来になるので、今回は二宮としてまた出ることができてうれしいです」
7人が開幕への思いを述べたあとには、久保田から稽古中のできごとや、キャスト同士のエピソードなどについての質問も。
村山は、キャスト間の絆の深まりについて、「いろいろあるんですけど、稽古期間中、居残り組と早上がり組ができることがあって。稽古の終盤に入るにつれて、(早く)上がってもいい人が、残って(居残り組の)稽古を見てくれていたのを、私はすごく驚いたというか、“仲間なんだな”と改めて感じました」と周りに感謝を述べた。
一方、百名や柳下は、初主演舞台で座長を務める村山の頑張る姿に感心しきりの様子で、百名が「今回は1日2公演の日もあるため、稽古中に、通し稽古を2回するかしないか問題が発生して。(演出の)岡村さんが『2回やりたい人』と聞くと、みんなシーンとなったんですが、村山さんだけが『えっ?しないの?』って、めちゃくちゃやりたい顔をしてて。『私一人でもやる』って言って…村山さんのガッツ、すごいなあと思って」と語ると、柳下も「村山さんの集中力や体力がすごくて。“見ていたい”という空気を作ってくれた座長だなって」と褒めの言葉を口にした。
最後は、登壇のキャストを代表して、村山が公演を楽しみにしている人たちへ向けてメッセージを送った。
「『新・幕末純情伝』をどうやって、より良いものにして届けられるかを、稽古期間、みんなでもがき、たくさんの汗をかいてきました。(ミュージカル化した)今回からの演出もたくさんあるので、このメンバーでしかできない『新・幕末純情伝』がお届けできるかなと思っています。ぜひ生でみなさんに見ていただきたいですし、絶対に後悔させないので。
公開ゲネプロでは、「新・幕末純情伝」は“ミュージカル”になったことで、舞台構成がまさに“革命”的な変化となっていて、歌とダンスをふんだんに取り入れたステージが進行していく。
全員が集ってのオープニングのダンスからすでに熱い。沖田総司が新撰組と出会い、京都へ旅立つ場面。沖田と坂本龍馬との出会い。「池田屋」へ乗り込む新撰組…など、名シーンが次々と登場する。
もちろん、一番の見どころである迫力満点、キレ抜群の殺陣はみごとの一言。中でも、沖田役の村山の繰り出す剣さばきは必見で、百名ら共演者たちも、そして演出・岡村からも「過去一」との評価を得たほどだった。
全幕約130分のステージ。まさに“熱量”MAXのゲネプロが終了し、8日にいよいよ初日の幕が開く。
公演は8月24日(日)まで同所で、全17公演。公演期間中、8月14日(木)~16日(土)の3日間、キャストや演出・岡村、振り付け・多和田らが出演してのアフタートークショーも開催する。