スティーブン・スピルバーグが生み出した第1作『ジュラシック・パーク』(93)から始まり、これまでのシリーズ6作がいずれも大ヒットを記録した「ジュラシック」シリーズの通算7作目となる『ジュラシック・ワールド/復活の大地』が8月8日から全国公開された。スカーレット・ヨハンソンら新たな顔ぶれのキャストで、前作『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』(22)から5年後を舞台にした本作で、ルナ・ブレイズ演じるテレサ・デルガドの日本版声優を務めた吉川愛に話を聞いた。

-もともとこのシリーズを見ていましたか。

 過去作ももちろん拝見しています。今回は出演はないのですが、オーウェン(クリス・プラット)とブルーの関係性がとても好きです。「ジュラシック」シリーズのどの作品も恐竜と人間の生存や共生についてのお話で、難しいところもありますが、恐竜の魅力がいっぱい詰まったところが見られたり、体感できたりするところが見どころだと思います!

-実写映画の吹き替えは今回が初ということですが、アニメーション映画との違いや難しさはありましたか。

 アニメーションは、決められたタイミングで声が入るのですが、実写の場合は、現場で演じながら吐息や声がいつの間にか出ている時があったので、その部分が異なる点かなと思いました。

-今回吹き替えるに当たって気を付けたことや心掛けたことはありましたか。

 テレサの女の子らしさを全面に、声に乗せられるように意識しました。オリジナルのルナ・ブレイズさんの声を聞かさせていただきながらアフレコをしたので、なるべく話し方や語尾のニュアンスが似るように心掛けました。アニメーションの時は元の声を聞かずに収録をしていたので、今回はなるべくルナ・ブレイズさんの声に寄せられるようにと頑張りました。

-今回の作品の中で、気になった恐竜はいますか。

 恐らく皆さんがかわいいとおっしゃるのではないかと思うのですが、テレサの妹のイザベラと仲良しになる小さな恐竜が本当にかわいくて、アフレコ中も思わず「あ…!」と声が出ていました。

-今回は1人で吹き替えをしたのですか。

 そうです。原語と、声優さんが先に録ってくださった声は入っていました。テレサはお父さんとの会話が多いので、声を入れてくださっていてタイミングをつかみやすかったと思います。

-実写とアニメーションの吹き替えは違うとのことですが、アニメーションでの吹き替えの経験は生きましたか。

 今回は戦うシーンが多くて、悲鳴ではないけれど、叫ぶ声が多かったです。走っているシーンやアクションのシーンでは、アニメーションで吹き替えをさせていただいた時の声の出し方が生かせたかなと思った部分はありました。

-叫ぶ時は、何かを想像しながらするのですか。

 目の前に本当に恐竜が現れたらどういう悲鳴を出すのかなとか、少しだけ痛い時はどういう声を出すのかなとか、本当にその場で自分が演じているのを想像しながら声を出していました。私のアフレコ風景を見たら、大きく動いていたり、一点を見詰めていたり…不思議な行動に感じるかもしれないので、見られていなくてよかったです(笑)。

-吹き替えた自分の声の印象はいかがでしたか。

 映像を見させていただきながら、台本を読んで、これはどういう悲鳴なのかとか、自分で声を録って、ここはもう少し強く言った方がいいのかなとかも考えましたが、私の声とテレサのキャラクターの雰囲気がとても合っていると言ってくださったので、安心しましたしうれしかったです。

-ほかの皆さんが吹き替えをされた声を聞いてどう思いましたか。

 私はオーバーに声を出したつもりなのに、吹き替えをした声を聞くと全然オーバーではなかったんです。自分がこうやりたいと思っても、全然声にできていなかったと悔しくて。声優の皆さんの声を聞いていると、本当にその場にいるような声の出し方をされていて、やはり声優の皆さんはすごいと改めて思いました。といいますか…、すごいとかの次元ではないんだと思いました。でも、なかなか経験できないことなので考える時間も夢中になれましたし、声優として吹き替えをさせていただいていることがとても楽しかったです。私は、アニメが大好きなので、声を当てることの大変さを学ぶこともできましたし、楽しさを知ることができて今は幸せです。

-もしまた吹き替えの話が来たら…。

 ぜひ、また吹き替えをさせていただきたいです!

-映画はどのような印象でしたか。

 とにかく大迫力で圧倒されました。いろんな恐竜たちが出てくる中で、特にティラノサウルスがさまざまな場面に登場するので、こんなこともするんだという驚きもありました。映画館の大きなスクリーンでその迫力を体感していただきたいです。

-これから映画をご覧いただく皆さんに向けて見どころなどを教えてください。

 さらにパワーアップしています。恐竜の迫力やかわいらしさが、どんどん上がっていると思いますのでその部分もぜひご覧いただきたいです。恐竜を目の前にして、登場人物の人間性が見えてくるところも魅力的なポイントだと思います。恐竜の迫力だけではなく、人間の良さや悪さも見えてくるところが「ジュラシック・ワールド」シリーズの素晴らしいところだと思うので、ぜひ映画館で体感していただきたいと思います。私自身は、自分の吹き替えの成果も確かめたいので、字幕版と吹き替え版の両方を見に行きます!

(取材・文・写真/田中雄二)

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