GI天皇賞・春(4月30日/京都・芝3200m)の前哨戦となるGII阪神大賞典(阪神・芝3000m)が3月19日に行なわれる。
過去10年で1番人気は7勝、3着1回。
しかしながら、過去5年の結果だけに絞ってみれば、1番人気は2勝、3着1回と今ひとつ。2、3着には伏兵が頻繁に突っ込んできて、波乱傾向にある。先に触れた過去10年で3回しかない3連単の万馬券も、実は直近5年のなかで生まれたもので、一昨年には10万円超えの高配当が飛び出している。
そんなレースの特徴について、デイリースポーツの大西修平記者はこう語る。
「阪神大賞典は、阪神競馬場で行なわれる伝統の長距離重賞。これまで、ゴールドシップやディープボンドなど、"リピーター"が数多く活躍してきました。この傾向が示すとおり、長丁場への適性、舞台相性がモノを言うレースです」
ゴールドシップは、2013年から2015年まで3連覇。今年も出走するディープボンド(牡6歳)は、昨年、一昨年と連覇を果たし、大西記者が言う傾向からすれば、今回も中心視すべき存在となるのだろう。同様に、昨年2着のアイアンバローズ(牡6歳)、同じ舞台で行なわれたGI菊花賞(10月23日/阪神・芝3000m)で2着に入ったボルドグフーシュ(牡4歳)も無視はできない。
だが、大西記者によれば"リピーター"以外にも、好走条件があるという。
「多頭数で行なわれることが少ないのもありますが、過去10年の連対馬はすべて4コーナー7番手以内と、極端な追い込み馬には厳しい一戦となっています。また、近年は4~6歳馬が活躍しているものの、かつてはアイポッパーやトウカイトリックなど、ベテラン馬の好走も目立っています。
こうしたことを踏まえて、年齢は不問。舞台適性の高いリピーター、展開利の見込める馬を積極的に狙っていきたいレースと言えますね」
そして、大西記者は「最近は3連単でも高配当が生まれ、波乱含みの一戦」と言って、"荒れる"可能性も示唆。穴馬候補として、伏兵2頭の名前を挙げた。
阪神大賞典での大駆けが期待されるユーキャンスマイル
「まず気になるのは、ユーキャンスマイル(牡8歳)です。
今年8歳となりますが、3走前のGIII新潟記念(9月4日/新潟・芝2000m)で2着と好走。2走前のGIIアルゼンチン共和国杯(11月6日/東京・芝2500m)でも7着ながら、上がり33秒7の末脚を繰り出して勝ち馬にコンマ4秒差まで迫るなど、目立った衰えは感じられません。
基本的には末脚勝負を持ち味としており、展開待ちのタイプではありますが、過去の好走歴が示すとおり、3コーナーすぎから自ら動いて、長くいい脚を使えるのがこの馬のストロングポイント。4角でそれなりの位置にいれば、チャンスは大いにあると思います。
この中間も友道康夫厩舎の管理馬らしく、栗東CWを中心に長めからしっかりと乗り込まれて、態勢は万全。有力馬が先を見据えた仕上げであるのに対して、明け8歳のこの馬は一戦、一戦が勝負です。
鞍上の石橋脩騎手も、過去3戦の連続騎乗で持ち味は十分につかんだはず。この馬の能力をきっちりと引き出してくれるでしょう。得意舞台での激走があっても、驚けませんよ」
大西記者が注目するもう1頭も、明け8歳馬のベテランホースだ。
「アフリカンゴールド(せん8歳)です。
2走前のGII日経新春杯(1月15日/中京・芝2200m)はハナをきれましたが、2番手のキングオブドラゴンに早めに来られて、最後は苦しくなってしまいました。理想は、昨年の京都記念を勝った時のように、4コーナーで後続を引き離す逃げが打てること。その点、今回は強力な同型が不在ですから、理想的な形を作れる可能性はあります。
本来は調教で目立った動きを見せるタイプではありませんが、この中間は併せ馬で意欲的に追われ、2週続けて僚馬に併入。
明け8歳とはいえ、攻めの気配からはまったく年齢を感じさせません。3歳時の菊花賞では大敗(12着)を喫していますが、去勢して、年齢も重ねて、精神的に成長した今なら、距離にも対応可能です。後続の有力馬が互いを意識してけん制し合うような展開になれば、粘り込みがあっても不思議ではありません」
スタミナはもちろんのこと、メンタル面も不可欠な長丁場の戦い。落ちつきのあるベテラン馬2頭が、血気盛んな実力馬たちにひと泡吹かせてもおかしくない。