フジテレビ『みんなのKEIBA』MC
竹俣紅アナウンサーインタビュー(前編)

この4月からフジテレビの競馬中継番組『みんなのKEIBA』の新たなMCに加わった竹俣紅アナ。競馬については「まったくの初心者」という彼女だが、自らの本命馬を紹介するコーナーではすでに存在感を示している。

今回、そんな彼女を直撃し、初めて知った競馬の世界について話を聞くとともに、番組MCとしての抱負を語ってもらった――。

『みんなのKEIBA』新MC・竹俣紅アナが語る初めての競馬の...の画像はこちら >>
――まずは『みんなのKEIBA』のMCを担当することが決まった時の率直な気持ちから聞かせてください。

「番組が始まるまでに、とにかく(競馬のことを)勉強しないといけないな、と思いました」

――それまでに競馬を見る機会などはあったのでしょうか。

「日曜日に家にいる時は、『みんなのKEIBA』を見ることはあったのですが、それがどういうレースなのかはよくわからずに見ていました。あとは、大きなレースがあった時にニュースになっているのを目にするくらいで......本当に初心者です」

――番組のMCになることが決まって、競馬についてどんな勉強をしたのですか。

「『何から始めたらいいんだろう』という感じだったので、まずはJRAの公式YouTubeにビギナー向けの動画があったので、それを見て馬券の仕組みを覚えるところから始めました。

アナウンサーは、オッズと払い戻しを正確にお伝えするのが大事な仕事ですから、そういう初歩の初歩から勉強し始めました」

――『"元女流棋士"竹俣紅の本命』のコーナーで、自身の予想を淀みなく解説しているのを聞くと、とても初心者とは思えません。

「ありがとうございます(笑)。でもあのコーナー、本当は『とりあえず、初回だけ予想をしてほしい』と言われて、私の本命馬(GⅠ大阪杯でのジャックドール)を発表することになったのですが、次も、また次も、という感じになって......。結局、ずっと続いている状態です(笑)」

――回を重ねるごとに予想が板についてきました。

「予想をするためにはいろいろとデータを集めなければいけないので、そうすると知らない言葉にぶつかって、それをまた調べると、『ここに書いてあることはこういう意味なんだ!』とわかってくる。それが、私の競馬の勉強にもつながっています」

――競馬の世界には、専門用語や独特の言い回しも多いですからね。

「いろいろと調べていた時に『(馬群を)さばく』という言葉が出てきたのですが、将棋にも『駒をさばく』という表現があって、状況をすっきりさせるというか、うまく切り抜けていくというような意味があるので、似たような意味の言葉があって面白いなと思いました。

 毎週予想をするのは大変なのですが、実際に自分で予想をしてみると、馬ごとのデータを集めるので、どの馬がどういう背景を持って走っているのかがわかった状態でレースを見ることができる。レースの面白さが倍増どころか、5倍にも10倍にもなるんだなと感じています」

――予想をするのとしないのとでは、そんなにも違いますか。

「もうまったく違います! もちろん、ただ見ているだけでも十分楽しめますが、その馬が今までにどういうレースを走ってきて、キャリアが何戦で、どういう血統を持っていて、今回は馬体重が何kgで、といったことを知っていると、レースの見え方がちょっと変わってきますね。といっても、私はまだまだですけど(苦笑)」

――競馬を見ていて、どんなところが難しいと感じますか。

「出演者のみなさんがパドックの映像を見ながら、『この馬がいい』とおっしゃるのですが、その辺りはまだ全然わからなくて......。

 東京競馬場へ初めて行った時も、パドックを見るには見たのですが、間近で馬を見て『毛ヅヤが美しいなあ』と思う一方で、『歩き方で調子を測る? 一体どうやって見ればいいんだろう?』と。パドックや追い切りの様子を見て、私も馬の善し悪しがわかるようになりたいです」

――その点は、競馬を長く楽しんでいる方々でもわからない方は多いと思います。

「JRAのビギナー向けのパンフレットに『お尻が上がっている馬がいい』ということが書いてあって、私もお尻が上がっている馬を探そうと思ったんですけど、どの馬もキュンと上がっていて(苦笑)。

 それでも、井崎(脩五郎)先生がパドックを見て『チャカチャカしている』とおっしゃっていた馬は、私も『あ、なんかこの馬、挙動がちょっと違う!』とわかりました。そういうのがわかるだけでも感動がありますね」

――競馬場へ行ったのも、番組のMCが決まってから初めて行かれたのでしょうか。

「3月に番組の見学で中山競馬場へ行ったのが初めてでした。

初めて見る馬の姿は、本当にカッコよかったですね。私が最初に見たレースは、障害レースだったのですが、柵を飛び越える姿はもう本当に『馬が飛んでる!』と思いました(笑)。

 それに、競馬場にはあんなに親子連れのお客さんがいることを知らなかったので、ビックリしました。競馬場へ向かう電車のなかでも、『お馬さん、まだ~?』とか言っている小さな子もいて(笑)。競馬場は家族で楽しめる場所なんだなと知りました」

――実際に競馬に触れてみて、イメージは変わりましたか。

「井崎先生や細江(純子)さんにお話をうかがって、競走馬はものすごく長い歴史でつながっていることを知り、血統に注目すると、それもまた面白いことに気づきました。

父と子が同じレースで1着になれば、そこには単なる勝負とは別の感動がある。そういうところはまったく知らなかったので、『あ~、いいな~』と思いました」

――奥深い血統の世界にもう目覚めたんですね。

「ちょっと勉強してみたいと思って、いろいろと調べてみたんですけど......、5代前とかまで遡ると、(カタカナ表記ではない)アルファベットの馬名がたくさん出てきて(苦笑)。これを研究されている方はすごいなと思っています」

――今年4月から番組のMCになって、いきなり3週連続のGⅠ開催でした。皐月賞当日の中山競馬場の雰囲気はいかがでしたか。

「あの時は、観客のみなさんの声がスタジオまで聞こえてくるほどの盛り上がりで、競馬場が一体となって応援......、まあ、応援する馬は人それぞれなんですけど(笑)、あの雰囲気はすごくいいなと思いました。

 最後にソールオリエンスが差してきた瞬間は、応援しているとか、していないとかに関係なく、何というかもう......素敵な舞台やショーを見せてもらった時と同じような感覚でした。

 ただ、せっかくならその前の段階、皐月賞への優先出走権を得るためのトライアルレースから見ておきたかったですね。そうしたら『もっと楽しめたのにな』とちょっと心残りもありました(笑)」

――早くも競馬の楽しみ方がわかってきていますね。番組のMCとなって1カ月半ほどですが、これまでに一番印象に残っている馬は?

「やっぱり、今も挙げたソールオリエンスですね。

 番組で本命馬を予想するにあたって、過去10年分とか、雨が降った時のレースを除いて過去10回分とかのデータから導き出した馬を本命にするのですが、ソールオリエンスはデータ上、勝ち馬の条件をほとんど満たしていない馬だったので、私はすぐに消してしまったんです。

 それなのに、そんな過去のデータを超えてきた馬だったので、すごいなって思うと同時に、次への期待もありますね。もちろん、本命に予想した馬がデータどおりに来てくれればうれしいのですけれど、それを超えてくる馬というのは、計り知れないポテンシャルを感じさせてくれるのでワクワクします」

――過去10年分ですか!? 竹俣アナの手元にあるノートを見ると、かなり細かなデータが書き込まれていますし、そこまで準備して予想するにはかなり時間もかかるのではないですか。

「毎日ちょっとずつ、ですね。競馬初心者の私は過去のレース結果を知らないので、例えば天皇賞・春であれば、昨年のレースに出走していた馬の(レース前時点の)データを調べて、自分なりの予想を立ててからレース映像を見るので、映像を見るところにたどり着くまで結構時間がかかるんです。最近は、お昼休みも競馬を見ながらご飯を食べています(笑)」

――競馬漬けの日々ですね。

「休日返上で競馬の勉強をしていると、友だちと会う機会も減ってしまうのですが、たぶん会って話をしても競馬のことはわからないだろうし......。ですから、今は競馬のことを話せる友だちがほしいですね(笑)」

(つづく)後編:「将棋の世界しか知らなかった」竹俣紅アナがアナウンサーの道を選んだわけ>>

『みんなのKEIBA』新MC・竹俣紅アナが語る初めての競馬の世界「お昼休みもレースを見ながらご飯を食べています」
竹俣紅(たけまた・べに)
1998年6月27日生まれ。東京都出身。2021年フジテレビ入社。
趣味:おいしいおそば屋さん巡り ウォーキング ガチャピン
モットー:元気に、地道に、前向きに

『みんなのKEIBA』(毎週日曜・午後3時00分~)
★『みんなのKEIBA』公式HPはこちら>>
★『みんなのKEIBA』のTwitterはこちら>>
★竹俣紅アナのInstagramはこちら>>