10月1日(日)、中山競馬場で3歳以上馬によるGⅠスプリンターズS(芝1200m)が行なわれる。

 このレースは、秋シーズン最初のJRAGⅠレース。

今年は2021年の勝ち馬ピクシーナイト、昨年のGⅠ朝日杯フューチュリティSを勝ったドルチェモア、昨年のGⅠ高松宮記念を勝ったナランフレグと、3頭のGⅠ馬が出走する。

スプリンターズSは人気薄の短距離血統2頭に注目 好ローテの4...の画像はこちら >>
 血統的視点からレースを占っていきたい。現役産駒がいる種牡馬で、最も芝1200m戦で信頼できる種牡馬はロードカナロアだ。今年はファストフォースがGⅠ高松宮記念、キミワクイーンがGⅢ函館スプリントS、アスクワンタイムがGⅢ小倉2歳S、ジュビリーヘッドがカーバンクルSと、重賞3勝を含むオープン競走を4勝している。

 芝1200mに限った今年の勝利数は18でビッグアーサーと並ぶ。しかし賞金額では、ビッグアーサーの倍以上となる6億3459万円を稼いでおり、圧倒的な強さを見せている。


 過去の記事でも再三触れているが、今年の重賞では人気薄の馬の好走が目立っており、前述のファストフォースは12番人気での勝利。キミワクイーンは3番人気だったが、アスクワンタイムも10頭立て5番人気と、それほど人気の存在ではなかった。

 今回は3頭のロードカナロア産駒が出走予定だが、どの馬も上位人気ではなさそうなので狙い目だ。中でも筆者は、キミワクイーン(牝4歳、美浦・奥村武厩舎)を本命に推したい。

 同馬は今年6月の函館スプリントSで重賞初制覇。中山・芝1200mでは今年1月のサンライズS(3勝クラス)を勝利している。
3月に同コースで行なわれたGⅢオーシャンSの12着大敗が気になるところだが、同レースはやや早仕掛けとなり伸びを欠いたもの。勝ち馬とは0秒8差で、着順ほどの大敗だった印象はない。そのレースを教訓に、函館スプリントSではじっくり構え、4コーナー10番手から鮮やかな末脚を伸ばして快勝している。

 前走のGⅢキーンランドC(札幌/8月27日)は7着に敗れたが、これは重馬場のせいだろう。今年4月の春雷S(中山)でも重馬場で2着に入ったが、洋芝の札幌は中山よりもパワーが要求されるので、同様に考える必要はないだろう。中山なら多少馬場が渋っても大きな影響はなさそうだ。

 函館スプリントSの勝ち馬では、2002年ビリーヴ、2011年カレンチャンの牝馬2頭がスプリンターズSを勝利。また、2011年9番人気で2着のパドトロワ、2012年9番人気で3着のドリームバレンチノ、2016年9番人気で3着のソルヴェイグなど、人気薄の激走も少なくない。

「前走キーンランドC→スプリンターズS」という流れで出走した馬では、昨年のウインマーベルが、キーンランドC2着から7番人気で2着に入っている。さらに2011年のカレンチャンは、函館スプリントS→キーンランドC→スプリンターズSと、今回のキミワクイーンと同じローテーションで3連勝している。勝利レースも前走も、このレースとは相性がいいパターンだ。

 もう1頭はマッドクール(牡4歳、栗東・池添学厩舎)に注目する。

まだキャリア9戦と少ないが、この春は春雷Sでキミワクイーンを破り、GⅢシルクロードSではハナを切って1着ナムラクレア、2着ファストフォースという強豪相手にアタマ+クビ差の3着と好走。前走のGⅢCBC賞は9着と敗れたが、トップハンデの58.5kgが堪えたのだろう。リフレッシュしての1戦のため、見直しは可能だろう。

 父ダークエンジェルはアイルランドで供用されている種牡馬で、GⅠ4勝のバターシュ、英GⅠジュライCのリーサルフォース、ハリーエンジェルなど欧州で数々のトップスプリンターを出す種牡馬。日本では重賞勝ち馬を出していないが、JRAで14頭が出走して9頭が勝ち上がりという高い勝ち馬率を誇る。また、全24勝中14勝が芝1200mと芝短距離で存在感を示し、マッドクールの他にダークペイジ、シュバルツカイザーがオープンで活躍している。


 マッドクールは母も祖母も重賞勝ち馬で、おじロイヤルダイヤモンドがGⅠ愛セントレジャー勝ち馬と牝系も一流。初のGⅠ出走でもいきなり力を出せそうなポテンシャルを感じさせる。この馬もそれほど人気にはならなそうなだけに、激走に期待だ。

 以上、今年のスプリンターズSは、ロードカナロア産駒キミワクイーン、ダークエンジェル産駒マッドクールの2頭に注目したい。