厳選!2歳馬情報局(2023年版)
第17回:ジーティーパワー

 秋競馬に突入し、話題の良血馬が次々にデビューしている2歳戦線。そんななか、世界の競馬ファンが注目する血統馬の動向に関心が注がれている。

 栗東トレセンの矢作芳人厩舎に所属するジーティーパワー(牡2歳/父フランケル)である。

「見るからに立派な馬」世界的な良血馬ジーティーパワーのデビュ...の画像はこちら >>
 同馬の父は、英国を代表する名馬フランケル。現役時代の成績は14戦14勝。そのうちGIが10勝とすさまじい成績を残しており、2年連続でヨーロッパの年度代表馬に輝いている。

 引退後も、種牡馬として成功。多くの活躍馬を世に送り出し、2021年にはイギリスとアイルランドのリーディングサイアーとなった。

 日本でもGI馬を出しており、GI阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神・芝1600m)とGIオークス(東京・芝2400m)を勝ったソウルスターリングがその代表格。他にも、GI安田記念(東京・芝1600m)とGIフェブラリーS(東京・ダート1600m)を制したモズアスコット、GI朝日杯フューチュリティS(阪神・芝1600m)の覇者となったグレナディアガーズなどがいる。

 さらに母も、現役時代に海外GIのラスヴィルヘネスS(アメリカ・ダート1600m)を勝っているコールバック。まさに世界的な良血馬で、2021年セレクトセールの当歳馬セクションで2億4000万円(税別)の高値で落札されている。

 そんなジーティーパワーについて、厩舎スタッフはどう見ているのか。関西競馬専門紙のトラックマンが話を聞いてきた。

「ジーティーパワーについて、スタッフはまず『530kgほどの雄大な馬体を持っており、とにかく見るからに立派』とコメント。続けて、長所について『心臓が強く、追いきりのあともバテる様子を見せない』と話していました。

 フランケル産駒は気性が激しいタイプが多いのですが、『この馬はおっとりした性格で操縦しやすい』とのこと。そのうえで、『引っかかることなく、指示した分だけ動く』と評していました」

 当初は秋のデビューに向けて調整されていたジーティーパワー。しかしここにきて、再度放牧に出された。その辺りの理由について、先のトラックマンが明かす。

「ジーティーパワーは幼い時に右後脚を骨折。そのケガ自体はすでに治っているのですが、『調教をすると、骨折した右後脚をかばう様子が見られる。おかげで、走りのバランスが崩れて、後脚全体に疲れが出ている』とスタッフ。故障はしていないのですが、走るフォームが理想に近づいてこないため、一度立て直しを図るようです」

 こうして、デビューが先延ばしになったジーティーパワー。ともあれ、この放牧が秘めた才能を輝かせるために必要な時間となるはずである。世界的な良血馬が万全の状態を整えて、華々しく初陣を飾る日がくるのをじっくりと待ちたい。