GI大阪杯(3月31日/阪神・芝2000m)の前哨戦となる、GII金鯱賞(中京・芝2000m)が3月10日に行なわれる。

 同レースはこれまで、施行時期や条件が何度か変更されてきたが、現在の開催時期、条件となって今年で8回目。

過去7回の結果を振り返ってみると、1番人気は5勝、2着1回、3着1回と複勝圏内を外したことがなく、非常に信頼度が高い。

 そうなると、馬券的にも堅いのか? というと、意外にそうでもない。過去7年の3連単の配当はすべて万馬券となっており、日刊スポーツの奥田隼人記者もこう語る。

「穴党にとっては、大万馬券も狙えるレースと言えます。1番人気は安定した成績を残していますが、2021年には10頭立ての最低人気だったギベオンが逃げきり勝ち。3連単の配当は70万円超えの高額となりました。

2017年にも13番人気のスズカデヴィアスが3着に入って、3連単では19万2050円という高配当が飛び出しています」

 そして奥田記者は、今年も「オイシイ配当が生まれる可能性がある」と言う。

「昨年のGI菊花賞(10月22日/京都・芝3000m)を制したドゥレッツァ(牡4歳)、昨年の覇者プログノーシス(牡6歳)といった東西の実績馬が今年は人気を集めそうですが、ともに目標を先に見据えた年明けの始動戦。目いっぱいの仕上げではないでしょうから、その隙を突く穴馬の激走があってもおかしくありません」

 では、どういった馬がそれら人気馬の間隙を突いてくるのか。奥田記者は一発が見込める伏兵候補2頭の名前を挙げた。

「まず気になるのは、エアサージュ(牡6歳)です。重賞馬の半兄エアアルマスをはじめ、兄弟すべてが勝ち上がっているいい血筋。

同馬も3歳秋にはGI菊花賞(8着)に出走した実力馬です。

 4歳春から5歳夏にかけて、およそ1年半の休養期間がありますが、復帰後は徐々に本来の力を発揮。3戦連続2着のあと、前走の3勝クラス・飛鳥S(2月10日/京都・芝2000m)を快勝して、オープン入りを決めました」

金鯱賞は1番人気の信頼度が絶大も波乱含み 穴党記者推奨の伏兵...の画像はこちら >>

 古馬になってからは初の重賞出走となるが、ここまで戦ってきた相手から「即通用の余地はある」と奥田記者は踏んでいる。

「昇級初戦でいきなり古馬重賞に挑戦することになりますが、3戦連続2着となった3勝クラスのレースでは、骨っぽいメンバーを相手に差のない競馬をしてきました。4走前の西宮S(9月30日/阪神・芝2000m)の勝ち馬は、のちにGIII中山金杯(1月6日/中山・芝2000m)を勝ったリカンカブール。3走前の修学院S(11月11日/京都・芝2000m)の1着馬は、次走でGIII愛知杯(1月13日/小倉・芝2000m)を制したミッキーゴージャスです。

 それだけに、管理する池添学調教師も初タイトル奪取へ、色気を見せています。

『3勝クラスでも力は示せていますし、スタートが上手でラクに好位につけられる馬。跳びが大きく、抑え込むよりは自分のリズムで運んだほうがいいと思っています。

 今回は頭数も多くなく、競馬はしやすいでしょう。ハナに行きそうな馬も見当たらないので、行ってもいいかなと思っています。人気馬同士が後ろでけん制し合う展開になれば、開幕週でもありますし、(勝ち負けを)期待しています』

 そんな池添調教師の思惑どおり、すんなり先手を奪えれば面白い存在。

一発の可能性はますます膨らみます」

 奥田記者が注目するもう1頭は、ブレイヴロッカー(牡4歳)だ。

「昨秋に2勝クラス、3勝クラスを連勝してオープン入り。年明け、昇級初戦で重賞に初挑戦。GII京都記念(2月11日/京都・芝2200m)で強豪相手に6着と健闘しました。

 本田優調教師も、『1コーナーで(他馬と)接触して、内ラチに当たって折り合いを欠いたところがあった。直線でも他馬とぶつかる場面があったが、怯まずに最後まで走った。

初の重賞にしてはよく頑張ったと思う』と評価しています。

 競馬では追われると頭を上げたり、『まだまだ幼い面は抜けきらない』と本田調教師は話していますが、『もう少し時間がかかるかなと思ったけど、1走、1走成長している。さらに集中力が増せば、もっと走れていいと思う』と、想像以上の成長スピードに手応えを得ています。

 今回で2度目の重賞挑戦。前走を糧にして、スムーズな競馬ができれば、上位争いに食い込んできても不思議ではありません」

 今年最初のGIフェブラリーS以降、重賞では波乱の連続で高額配当が続出している。今週もその流れは続くのか。

ここに名前が挙がった2頭の大駆けに期待したい。