いよいよプロ野球2024年シーズンが始まる。パ・リーグは、4連覇に挑むオリックス、大型補強を敢行したソフトバンク、佐々木朗希を擁するロッテなど、今年も激しい戦いが予想される。

そこで解説者の五十嵐亮太氏にパ・リーグの順位予想と、各チームの見どころについて語ってもらった。

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【1位:ソフトバンク】

 山川穂高選手、アダム・ウォーカー選手が加わり、ほかにも柳田悠岐選手、近藤健介選手といった球界を代表する打者が居並ぶ打線は、12球団トップの破壊力です。そこに周東佑京選手が1番に固定することができれば、相手バッテリーにプレッシャーをかけることができますし、いろんなパターンの仕掛けができます。

 投手陣は、去年の成績を鑑みれば有原航平投手にしっかり結果を出してもらわないといけません。また、今年から先発に転向するモイネロ投手、昨年3勝を挙げたカーター・スチュアートJr投手の外国人がどこまで勝ち星を挙げられるか。スチュアート投手は投げている球自体はすごいので、あとはどのようにして抑えていくかを、キャッチャーとコミュニケーションをとりながらやっていければ、昨年以上の勝ち星は期待できると思います。

 今季のソフトバンクに関しては、先発陣がどこまで力を発揮できるかにかかっています。なかでも期待したいのがモイネロ投手です。スタミナの不安が言われていますが、こればかりはやってみないとわかりません。おそらくピッチングスタイルも変わっていくでしょうし、投げたあとの疲労度も違ってきます。そこをしっかり理解して適応することができれば、先発としてやっていけるはずです。

【2位:オリックス】

 4連覇を目指すオリックスは間違いなく優勝候補ですが、山本由伸投手(ドジャース)と山﨑福也投手(日本ハム)のふたりが抜けたことが大きいです。

ふたり合わせて27勝分がなくなったわけですから、さすがに痛いですよね。とはいえオリックスは、昨年も吉田正尚選手(レッドソックス)が抜けてもパ・リーグを独走で優勝しました。誰かが抜けても、新しい戦力が台頭してくる。ここはオリックスのよさですし、あらためて選手層の厚さを感じます。

 オリックスに関していえば、3連覇した経験が大きい。選手それぞれが勝ち方を知っていますし、シーズンの戦い方がうまい。

そこは大きなアドバンテージですね。そういうことを踏まえると、厳しい戦いになるとはいえ、優勝の可能性はあると思います。いずれにしても、最後までソフトバンクと優勝を争うことになりそうです。

【3位:西武】

 西武を3位にしたのは、投手力です。先発は今井達也投手、髙橋光成投手、平良海馬投手、隅田知一郎投手、松本航投手、そしてルーキーの武内夏暉投手と揃っています。またリリーフ陣も人材が豊富で、そこに人的補償でソフトバンクから甲斐野央投手が加わった。

長いシーズンを戦い抜くには投手力が必要になります。西武投手陣の充実ぶりを見れば、Aクラスに入る力は十分にあると思います。

 打線については、山川選手の穴を埋めようと思っても、そう簡単に埋まるものでありません。それよりもどうやって打線を機能させていくかが大事になります。昨年は足を使うことを意識してやってきたので、今年はそこを生かして得点できるかどうか。新外国人のヘスス・アギラー選手、フランチー・コルデロ選手がうまく機能してくれれば、さらに上を狙えるのではないでしょうか。

【4位:ロッテ】

 吉井(理人)さんが監督になって、派手さはないのですが、勝てる試合をしっかり取るようになった印象があります。ただ、去年と比べて戦力的に大きくアップしたかと言えば、そこまでではありません。戦い方としては、去年同様、少ないチャンスをものにして、投手陣で守りきる野球になると思います。

 ロッテといえば、佐々木朗希投手です。彼の存在はすごく大きい。今までは、ある程度休養をとりながら登板していましたが、今年はローテーションをしっかり守ってもらうという位置づけになると思うので、そのなかでどれくらい勝ち星がつくのか。

佐々木投手で10勝以上の貯金をつくることができれば、上位進出もありますし、優勝争いに加わることができるのかなと思っています。

【5位:日本ハム】

 オフに補強も行ない、新庄剛志監督になって成長した選手も多くいます。彼らの能力をフルに発揮できれば、上位を狙えるだけの力はあります。ただ、新外国人選手はシーズンが始まってみないとわからない部分がありますし、若手にしても調子にムラがある。シーズンを戦うとなると、そうした波をいかに少なくできるかが重要になります。新庄監督はこの2年間、選手の能力を引き出すことを頭に置いてやってきました。今年はその力を安定して出せるかどうか。そこがカギになってくるんじゃないでしょうか。

 日本ハムは能力の高い選手はたくさんおり、楽しみなチームであることは間違いありません。新庄監督もこの2年間、選手を見極めてきたなかで「こういうチームを目指したい」という形は見えていると思います。安定感という部分でこの順位にさせてもらいましたが、勢いに乗ればAクラスは十分にあります。

【6位:楽天】

 日本ハムとは逆で、楽天はベテランが引っ張っていかなければいけないチームです。とくに投手の年齢層がほかのチームと比べてちょっと高い。そこに若い選手が出てきたら面白さはあるのですが、現時点で見えてこない。

 長い目で見た時に、今の楽天は若い選手を育てなきゃいけない時期なのかなと。そこでうまくハマればいいのですが、去年の戦いからしても、大きく順位が上がるというのが見えてこないので6位にさせていただきました。


五十嵐亮太(いがらし・りょうた)/1979年5月28日、北海道生まれ。千葉・敬愛学園から97年ドラフト2位でヤクルトに入団。プロ2年目の99年にリリーフとして頭角を現し、一軍に定着。04年はクローザーとして37セーブを挙げ、最優秀救援投手賞のタイトルを獲得。09年オフにメジャー挑戦を表明し、メッツと契約。12年はブルージェイズ、ヤンキースでプレーし、13年にソフトバンクと契約し日本球界復帰。18年オフに戦力外となるも、ヤクルトと契約。19年は45試合に登板したが、20年10月に現役引退を表明。現在は解説者として活躍している。