【桜花賞に縁のある血が揃う本命馬】

 4月13日(日)、阪神競馬場で3歳牝馬によるGⅠ桜花賞(芝1600m)が行なわれる。

 今年は有力馬が順調で、昨年のGⅠ阪神ジュベナイルフィリーズ(京都・芝1600m)を勝ったアルマヴェローチェのほか、GⅡチューリップ賞(阪神・芝1600m)を勝ったクリノメイ、GⅡフィリーズレビュー(阪神・芝1400m)を勝ったショウナンザナドゥ、GⅢクイーンC(東京・芝1600m)を勝ったエンブロイダリー、GⅢフェアリーS(中山・芝1600m)を勝ったエリカエクスプレス、アネモネS(中山・芝1600m)を勝ったトワイライトシティなど、重賞・リステッドウイナーが勢揃いした。

 ハイレベルな争いが見込まれるこのレースを血統的視点から占っていきたい。

今回は桜花賞に縁のある血統馬をピックアップ。その視点から筆者が本命に推すのがエンブロイダリー(牝3歳、美浦・森一誠厩舎)だ。

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 同馬は日本競馬が誇る名牝系のひとつ、曽祖母ビワハイジから広がるファミリーの出身。この牝系の代表馬は、祖母アーデルハイトの姉にあたるブエナビスタだ。同馬は2009年の桜花賞を含め、GⅠジャパンC(東京・芝2400m)、GⅠ天皇賞・秋(東京・芝2000m)などGⅠを6勝してJRA賞年度代表馬にも輝いた名牝だ。

 父、そして代々の種牡馬も名血だ。父アドマイヤマーズはGⅠ朝日杯フューチュリティS(阪神)、GⅠNHKマイルC(東京)、GⅠ香港マイル(シャティン)と芝1600mのGⅠを3勝した名マイラー。2歳の早い時期から頭角を現した早熟性は桜花賞にピッタリだ。

 その父ダイワメジャー(その母スカーレットブーケ)は、GⅠ皐月賞(中山・芝2000m)などの勝ち馬で、2007年の桜花賞を勝ったダイワスカーレットの半兄。種牡馬としては2017年桜花賞馬レーヌミノルの父となった。

 さらに、母の父クロフネは2021年の桜花賞馬ソダシの父で、祖母の父アグネスタキオンは前述のダイワスカーレットの父。つまり、エンブロイダリーは5代血統表内にダイワスカーレットの父アグネスタキオン、母スカーレットブーケの血を持っていることになる。

桜花賞に縁のある血がこれだけ揃う馬も珍しいだろう。

 エンブロイダリーは実力も十分だ。デビュー2戦目の初勝利は新潟・芝1800m戦で、2着馬に7馬身差をつける1分45秒5の2歳コースレコードで圧勝。前走のクイーンC(東京・芝1600m)でも2着馬に2馬身半差をつけ、1分32秒2というレースレコードで完勝している。このタイムは、今回の出走馬の芝1600m持ちタイムでも最速だ。ハイペースの2番手を追走した安定感あるレースぶりから、ここに入っても中心的な存在となるだろう。

【もう1頭も名牝系出身馬】

 もう1頭はナムラクララ(牝3歳・栗東・長谷川浩大厩舎)を推す。この馬もエンブロイダリーと同じアドマイヤマーズ産駒の名牝系出身馬で、半姉ナムラクレアはGⅡ阪神C(京都・芝1400m)など重賞5勝、先日のGⅠ高松宮記念でも2着に入った活躍馬だ。

 姉は1200~1400mを中心に活躍しているが、2022年の桜花賞では、勝ったスターズオンアースから0秒1差という僅差の3着と好走している。さらに牝系を遡ると、6代母は世界的大種牡馬ノーザンダンサーの母で、そのほか、デインヒルやマキャベリアンなどの名種牡馬もこの牝系から出ている。

 父アドマイヤマーズは、エンブロイダリーの項でも触れたように桜花賞向きの種牡馬。さらに母の父ストームキャットも、1998年ファレノプシス、2013年アユサンと、母の父として2頭の桜花賞馬を出している。

27年前の桜花賞馬の母の父が、今年も桜花賞に有力馬を送るのはすごいことだ。

 ナムラクララは紅梅S(中京・芝1400m)の勝ち馬。前走のGⅡチューリップ賞(阪神・芝1600m)は5着と敗れたが、スローペース(1000m通過59秒8)の瞬発力勝負になったのが敗因だろう。勝った紅梅Sは1000m通過57秒6の速い流れを中団追走から差し切っている。同じような流れになれば好走できるだろう。

 以上、今年の桜花賞はアドマイヤマーズ産駒の2頭、エンブロイダリーとナムラクララに期待する。

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