ペルージャがバレーボールのヨーロッパ王者となった。
ヨーロッパ最高峰のチャンピオンズリーグ(CL)での優勝は、ペルージャにとってクラブ史上初の快挙である。
今シーズンのCLファイナル4(決勝、準決勝、3位決定戦も含めたトーナメント戦)はポーランドのロドスで開催された。ペルージャは準決勝でトルコのハルクバンク・アンカラを破り、決勝ではポーランドのサヴィエルチェ相手にフルセットで競り勝ち優勝を手にした。リーグ全体を見ても、9勝1敗(グループステージでハルクバンク・アンカラに敗れたのみ)という感動と興奮に満ちた堂々たる成績での勝利だった。
この勝利はまた、国内タイトルを逃すという痛みを癒すものともなった。ペルージャはスクデット・プレーオフの準決勝で、チヴィタノーヴァに2-0とリードしながらも、そこから逆転されて2-3で敗れ、連覇を断たれていた。結局ペルージャは今シーズンをふたつのトロフィー獲得で締めくくることとなった。イタリア・スーパーカップ(トレントを破って優勝)とCLだ。CL初優勝をひと目見ようと、ポーランドまで多くのサポーターが駆けつけた。ペルージャに残った人たちもテレビにかじりつき、胃が痛むような思いで声援を送っていた。ペルージャ初優勝の快挙は、瞬くまにニュースとなり、スポーツ紙だけでなく一般紙やテレビなど、国内外のメディアで大きく取り上げられた。
この勝利でペルージャはクラブとして手に入れられる全ての栄冠をコンプリートした。
またイタリアにとって、これは21度目のCL優勝になる。過去に トレント、トレヴィーゾ、モデナが各4回、ラヴェンナが3回、パルマとチヴィタノーヴァ各2回、トリノが1回優勝を果たしている。今年度は女子もCLはイタリアが制しており(コネリアーノ)、男女のダブルタイトルはこれが12度目となる。
【決勝のベストプレーヤーにも選出】
ペルージャの優勝、それは"名将"と"チャンピオンたち"のチームワークの結晶だ。世界王者イタリア代表キャプテンで司令塔でもあるシモーネ・ジャンネッリ、ウクライナ出身の左利きアタッカーで、一瞬で試合の流れを変えられるオレフ・プロトニツキーなど、才能豊かな一流の選手たちが多く在籍。また、準決勝で15得点、決勝で22得点を挙げたオポジットのワシム・ベン・タラや、2017年から現在までのチームの全勝利に貢献した41歳のリベロ、マックス・コラチの存在も忘れてはならない。
そして石川祐希。日本代表のキャプテンはファイナル4の主役だった。プレーオフでは目立った活躍ができず、ベンチに留まることも多かった石川だが、ポーランドのカミル・セメニュクが体調不良になり、再びスポットライトを浴びることとなった。
石川はサーブレシーブで相手の集中攻撃を受けたが、守り抜くことに成功し、攻撃でも差をつける活躍を見せた。準決勝、決勝の2試合で39得点を挙げ、アタック決定率はそれぞれ59%と40%を記録。
一方"名将"とはアンジェロ・ロレンツェッティ監督だ。61歳のロレンツェッティはその長いキャリアのなかで4つの異なるクラブ(モデナ、ピアチェンツァ、トレント、ペルージャ)を率い、5回リーグ優勝も成し遂げながら、ヨーロッパでの優勝は一度もなく、これまで4度決勝にたどり着きながらも敗れていた。つまり、これが5度目の挑戦であり、悲願のCL制覇となったわけだ。
試合後、そのロレンツェッティ監督は「選手たちの粘り勝ちだ。彼らは順風の時だけではなく逆風の時の戦い方も知っている」と、述べている。
優勝にはもうひとり、立役者がいる。それがジノ・シルチ会長だ。チームは彼の情熱なしにはここまでたどり着くことは不可能だっただろう。シルチ会長は、近年クラブに多大な投資をし、今、まさにその成果を収穫している。
「初めの頃はバレーボールが何なのかもよくわかっていなかった」と、彼は言う。
「2000年代初頭にスポンサーとなり、その後会長に就任した。
ちなみに、今シーズンは祐希の妹である石川真佑も国際大会を制している。ノヴァーラのアウトサイドヒッターである彼女は、ヨーロッパでCLに次いで重要な大会であるCEVカップで優勝を果たした。今シーズンは石川兄妹にとって記念すべきものとなっただろう。