セルジオ越後の「新・サッカー一蹴両断」(10)

サッカー日本代表の最新メンバーに、セルジオ越後「特に期待した...の画像はこちら >>

 6月のワールドカップ最終予選ラスト2連戦に臨む、サッカー日本代表のメンバーが発表された。すでに本大会出場を決めていることもあり、森保一監督は7名を初招集したほか、メンバーを大幅に入れ替えた。

この2連戦に求められるノルマ、内容、そして、注目選手をセルジオ越後氏に聞いた。

【オーストラリア戦は絶対に勝たなければいけない】

 2026年北中米ワールドカップアジア最終予選のラスト2試合(5日vsオーストラリア、10日vsインドネシア)に臨む日本代表メンバーが発表された。初招集の選手が7人いるなど大幅にメンバーが入れ替わり、どういう選手の組み合わせで戦うのかは予想しづらいね。

 ただ、相手との力関係を考えると、1戦目はより手強いオーストラリアなので、これまでの常連メンバーが中心になるんじゃないかな。GKに鈴木彩艶(パルマ)、3バックは町田浩樹(ユニオン・サンジロワーズ)、瀬古歩夢(グラスホッパー)、高井幸大(川崎)、中盤に遠藤航(リバプール)、鎌田大地(クリスタル・パレス)、久保建英(レアル・ソシエダ)らが並ぶ。そして、2戦目のインドネシア戦に新しいメンバーをたくさん起用するイメージだ。

 森保一監督はこの最終予選はメンバーをほぼ固定して戦ってきた。来年のワールドカップまでに、そこに割って入るのは簡単じゃない。それでも、この2試合で活躍して名乗りを挙げる選手が出てくれば、チーム全体の底上げになる。初招集の選手たちはチャンスだと思ってがんばってほしい。

 そういうテスト的な意味合いもある2連戦だけど、代表の公式戦である以上、結果もしっかり求めたい。ノルマは2連勝。特に、アウェーのオーストラリア戦は絶対に勝たなければいけないよ。

 この最終予選、日本はサウジアラビアに1勝1分けで、オーストラリアにはホームで引き分けている。早々と本大会進出を決めたとはいえ、ライバルと言われた2チームに対しては、それほど違いを見せられていない。もし、今回オーストラリアに負けたら、サウジ戦含めた計4試合で1勝2分け1敗となる。ライバル国との力の差はなく、ほかの弱い相手に快勝しただけと言われてしまう。

 現在グループ2位のオーストラリアはホームでの日本戦のあと、サウジ(3位)とのアウェーでの直接対決が待っている。だから、彼らにとって日本戦は絶対に負けられない戦い。ホームの大声援を背に、死に物狂いで勝ちにくる。日本からすれば消化試合とはいえ貴重なレッスンとなる。そこで勝てるかどうか。もし勝てなければ、いつものメンバーが揃わなければダメだということになる。

【所属のFC東京でも最近はベンチメンバー】

 今回の2連戦で、個人的に期待する選手を挙げるなら、まずFWの町野修斗(キール)。今季ドイツで2桁得点(11点)と結果を出した。

3月の最終予選2連戦では追加招集ながら2年ぶりの代表復帰を果たしたものの、バーレーン戦の後半41分からの出場に留まり、不完全燃焼に終わっている。

 この最終予選、森保監督はワントップに上田綺世(フェイエノールト)、小川航基(NEC)のいずれかを使ってきた。ふたりともまずまずの結果を出したけど、所属クラブでの成績はパッとしない。

 対して、町野はオランダよりもレベルの高いドイツで数字を残しているのに、代表で使われず、世間の認知度もイマイチと気の毒なところもある。今回は大きなチャンス。活躍して名前を売って、上田と小川を慌てさせてほしい。ひさしぶりにゴールパフォーマンスの忍者ポーズを見たいね。

 あとはMFの藤田譲瑠チマ(シントトロイデン)。攻撃のセンスも備えたボランチで、僕から見れば、昨年のパリ五輪に出場したU-23日本代表のなかで一番輝いていた選手。彼も町野同様になかなかA代表での出番をもらえていないけど、さすがに今回はそれなりのプレータイムをもらえるはず。どこまで通用するのか、早く見てみたい。

 遠藤と藤田のダブルボランチ、ワントップに町野、その下に鎌田と久保を並べる。

そんなメンバー構成でオーストラリアに挑んだら面白いんじゃないかな。

 最後にもうひとり、違う意味で注目しているのが、ベテランの長友佑都(FC東京)だ。ここのところ、代表メンバーには招集されるものの、いつもベンチ外でスタンドから試合を見ている。そして、試合が終わるとピッチに降りてきて、選手ひとりひとりに声をかける。チームのムードメーカーで、経験豊富なので若手にアドバイスもできる。森保監督はそういう役割だけを求めて彼を呼んでいるのだろうか。

 だったら、コーチとして呼べばいい。あくまで選手として招集しているのであれば、試合で使うべき。長友本人は大人の対応で「ブラボー!」と言って盛り上げてくれているけど、折に触れて「試合に出たい」「出られないのは悔しい」と言っているように、本音は複雑だろう。

 加えて、所属のFC東京でも最近はベンチメンバーということが増えた。彼には何の責任もないけど、今回も出番がないなら、いつ使うのか。もう代表では純粋な戦力として考えられていないということになるし、そういう森保監督のやり方はどうかと思う。

今の日本代表で長友がどんなプレーをできるのか。見たい人は多いんじゃないかな。

 代表に復帰した選手、初代表の選手にとって今回の2試合は大きなチャンス。ひとりでも多くアピールに成功してほしい。

(9)>>セルジオ越後に聞く、今季の欧州組の評価「三笘のプレミア2桁得点は立派だが...」「遠藤は出番が少なくても残留すべき」

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