SVリーグで活躍した外国籍選手 男子編
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「世界最高峰のバレーボールリーグを目指す」を掲げて、装い新たにスタートした2024-25 大同生命SVリーグ。その初年度を飾るように、男子は世界のトッププレーヤーたちが来日し、極上のパフォーマンスを披露した。
ニミル・アブデルアジズ(ウルフドッグス名古屋)
2024-25シーズンのMVPが、ウルフドッグス名古屋でプレーしたオポジットのニミル・アブデルアジズ(オランダ)であることに異論はあるまい。最高到達点365cmから繰り出される強烈なアタックと時速130kmを超える弾丸サーブはSVリーグを席巻。リーダーズ(個人技術統計)では「トップスコアラー」(1181得点)、「トップスパイカー」(アタック決定率57.5%)、「トップサーバー」(サーブ効果率17.7%)の"個人三冠"に輝いている。なお総得点においては今季の男子選手では唯一の大台突破となった。また特筆すべきは、レギュラーシーズン全44試合に出場し、全171セットでプレーしたこと。驚愕のタフネスぶりだが、当の本人は「バレーボールが、それも試合をするのが好きなんです」とあっけらかんと言ってのけた。
勝負強さも光り、チームにとってシーズン最終戦となったチャンプオンシップ セミファイナルのGAME3(対サントリーサンバーズ大阪)ではフルセットにもつれた最終第5セット、20-24という相手のマッチポイントから1本もサーブをミスすることなく、ついには自身のサービスエースで同点に追いついてみせた姿は圧巻だった。
その圧倒的なパフォーマンスで、2024-25シーズンの「レギュラーシーズンMVP」「レギュラーシーズンベスト6」「MIP賞」にも輝いたニミルだが、チームメートがたたえたのは、その人間性。いつも謙虚で、常にチームプレーを優先し、リーダーシップに長ける。その人柄もまた、まさに「世界最高峰」だった。
ミゲル・ロペス(大阪ブルテオン)

さらにサーブは、試合の勝負がかかった場面で鋭さに磨きがかかり、豪快かつ鮮やかに得点を奪ってみせた。チームメートやファンからは「ミキ」の愛称で親しまれ、試合前にはまさにキューバといった陽気な立ち居振る舞いで、チームのムードを盛り上げた。
数々の名プレーヤーを輩出してきたキューバ代表ではキャプテンを務める。また、来日する前にプレーしていたブラジルの強豪・クルゼイロ在籍時には世界クラブ選手権で優勝を果たした実績を持つ。そうした豊富な経験を、このSVリーグでも存分に発揮。
「レベルの高い試合が続き、どのチームにも強力な選手が海外から来日しました。そこでは自分たちも勝利するために毎日、努力しています」とはロペスの言葉だが、まぎれもなく彼自身がその"強力な選手"のひとりだった。
リカルド・ルカレッリ・ソウザ(ジェイテクトSTINGS愛知)

ブラジル・スーパーリーガを飛び出てからはイタリア・セリエAを主戦場にプレーし、満を持してSVリーグに参戦した。
相手サーブを返球してから、リズミカルなステップを刻んだ助走から鋭いスパイクを打ち込む。「蝶のように舞い、蜂のように刺す」とは、彼にぴったりの表現だった。
トリー・デファルコ(ジェイテクトSTING愛知)

STINGS愛知でもセッターの関田誠大とコンビの精度が日に日に増し、高速バックアタックを何度も炸裂。波に乗れば手がつけられないほどの力を発揮し、レギュラーシーズンの大阪B戦(2024年11月17日)では35得点と大暴れした。
デファルコにとってチャンピオンシップ ファイナルの舞台である有明アリーナ(東京)は、東京五輪でも立った舞台。だが、そこでは予選グループ敗退という苦い思い出を残していただけに、「会場にきてから、彼(デファルコ)のモチベーションはさらに上がっているよ」とSTINGS愛知のミハウ・ゴゴール監督は語っていた。そのGAME1では25得点と気を吐く。優勝には届かなかったものの、その力を示した。
ドミトリー・ムセルスキー(サントリーサンバーズ大阪)

2020-21シーズン以降、今季も含めて4度のリーグ優勝というサントリーの黄金期を造りあげた主要メンバーのひとりであり、また藤中謙也キャプテンも「みんなをお父さんのように見守ってくれる」と話すように、その温厚な人柄でチームを支えている。
ムセルスキーもまた、ロシア代表時代の2012年ロンドン五輪金メダリストの肩書きを持つ。この先もSVリーグには名だたるトッププレーヤーが来日すると予想されるが、彼らは「世界最高峰」がいかなるものかをこれからも私たちに見せてくれるはずだ。