秋に向けて飛躍を目指す馬たちが集結する函館の名物重賞、GIII函館記念(芝2000m)が6月29日に行なわれる。

 夏のハンデ重賞だけあって、とにかく荒れるレースとして知られる。

過去10年の結果を振り返ってみても、1番人気は2勝、2着1回。馬券に絡んだのは、わずか3回だ。その一方で、ふた桁人気の馬が何度も馬券圏内(3着以内)に突っ込んできて、波乱を演出している。

 おかげで、3連単の配当はすべて万馬券。10万円超えの高額配当が7回もある。そのうち、2017年には90万円超え、2020年には340万円超えと、超ド級の配当が飛び出している。

 そうした傾向のなか、「今年は(予想の)難解さがさらに増している」と言うのは、スポーツ報知の坂本達洋記者だ。

「(函館記念は)ただでさえ難解なハンデ重賞ですが、今年は番組の再編がなされて、一段と予想の難易度が増しています。

 というのも、近年は(函館での)6週開催の最終日に行なわれていましたが、今年は3週目の開催へと前倒し。例年は前哨戦となるオープン特別の巴賞(函館・芝1800m)から中1週で挑んでくる馬が多いなか、その取捨がポイントのひとつになっていましたが、今年は巴賞のほうが2週間後の開催になるなどして、出走馬がさまざまなステップから臨んでくるからです。力関係の比較がより難しくなり、ひと筋縄ではいかない一戦になったように思います」

 坂本記者は加えて、「馬場状態も悩ましいファクターとなっている」と言ってこう続ける。

「今年の函館競馬場は芝コースで高速決着が相次いでいます。

開幕日(6月14日)の新馬戦(芝1000m)では、2歳コースレコードがコンマ8秒も更新され、メインのGIII函館スプリントS(芝1200m)でもレコード決着となりました。その後も、芝1200mの新馬戦において2週連続で2歳コースレコードが更新されるなど、洋芝らしからぬ好タイムが連発しています」

 こうした状況も踏まえて、坂本記者は今年のレースの狙い目についてはこんな見解を示す。

「洋芝巧者とか、洋芝に実績のある馬を狙うというより、時計勝負に対応できる馬を狙ったほうがいいかもしれません。先週の日曜日は雨のなかでの開催でしたが、開幕3週目なら馬場もそこまで傷んでいないと思いますし、今週末は天気もよさそうですから、なおさらそう思います」

 そこで、坂本記者がまず注目したのは、年明けのGIII中山金杯(1月5日/中山・芝2000m)で2着と好走したマイネルモーント(牡5歳)だ。

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「芝の中距離路線で力をつけてきた5歳牡馬。初の函館でも侮れない存在だと思います。父ゴールドシップ、母父ロージズインメイという血統から洋芝にも不安はなく、この父と母父の配合からはユーバーレーベン、コガネノソラ、ウインピクシスなど活躍馬が多数出ている点も強調材料です。

 そして、同馬は芝2000mのレースで2分を切る決着にも対応できていますから、今の函館コースでは大きなアドバンテージになるのではないでしょうか。2着に入った中山金杯でも、1分58秒3の好時計をマーク。道中は後方に構えて、直線で長く脚を使って追い上げた走りは、重賞でも通用すると感じさせるものでした。

 前走のGII金鯱賞(3月16日/中京・芝2000m)は、道悪馬場に泣かされての7着。度外視していい結果でしょう。

 前からでも後ろからでも競馬できる自在性も魅力。早めに函館入りして順調な調整を重ねているようですから、狙う価値は大いにあると思いますよ」

 坂本記者はもう1頭、気になる馬がいるという。ボーンディスウェイ(牡6歳)だ。

「同馬も年明けの中山金杯に出走して、3着と好走。今回の出走メンバーのなかでは、芝2000mの持ちタイムが最上位(1分57秒4)ですから、軽視するのは禁物でしょう。マイネルモーント同様、今回と同じコーナー4つの小回りコースの中山で、しっかり走れていることも強みです。

 ちなみに、中山金杯を勝ったアルナシーム(牡6歳)も参戦しますが、同馬は今回トップハンデの59kgを背負わされるのが、明らかに割り引き。過去の結果を見ても、トップハンデの馬は苦戦を強いられていますからね。

 昨年の勝ち馬ホウオウビスケッツは、中山のGIIスプリングS(中山・芝1800m)2着の結果があって、2020年に15番人気で金星を挙げたアドマイヤジャスタも2歳時にGIホープフルS(中山・芝2000m)で2着と奮闘。中山の重賞で好走している馬は、函館記念でも怖い存在と言えます。

 中山金杯の他にも、GII弥生賞(中山・芝2000m)で3着に入った経験があるボーンディスウェイには一発の可能性が十分。スタートを決めて、うまく立ち回ることができれば、勝ち負けがあっても......。

 いずれにしても、高速決着にも対応できる持ち時計があり、ハンデが手頃な中山金杯組の2頭は楽しみ。オイシイ配当をもたらしてくれることを期待したいですね」

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