高校サッカーインターハイ2025注目選手 前編
7月26日から福島県で行なわれる高校サッカーのインターハイ。今年も全国各地から集結するハイレベルなチーム、選手たちの活躍が見逃せない。
(おおいし・れんと/札幌大谷/DF/3年/184cm、63kg)
「自分のストロングである空中戦では負けてはいけない。空中戦が存在価値だと思っているので、そこで負けたら自分は何のためにチームにいるのかわからない」
その言葉どおり、競り合いで圧倒的な強さを誇るセンターバック。ボールの落下点を予測して相手よりも先に跳べるために打点が高く、身長以上の存在感だ。
昨年はインターハイ、国スポ、選手権の3大会で全国を経験。「全国に行くとFWはすごい選手ばかり。そうした選手を僕ひとりで止めないとダメだと思えた」ことでDFに大事な責任感が芽生えた。また、世代別代表に選ばれた経験も大きく、線の細さを解消すべく食事への意識も変わりつつある。課題も散見するが秘めたポテンシャルは特大で、将来プロ入りを十分狙える選手だ。

(えのもと・つかさ/尚志/DF/3年/176cm、72kg)
昨年は腰のケガで出遅れた影響もあり、Aチームのレギュラーを掴んだのは今年に入ってからだが、Jクラブや関東の強豪大学の練習参加を経験するなど、注目度は一気に高まっている。
最大の強みは攻撃力の高さで、ボランチを務めた川崎フロンターレU-15時代の経験を生かし、右サイドバックの位置から中央に入ってビルドアップに貢献する。自主練で身につけたキックの質や種類の多さも持ち味で、タイミングよくサイドを駆け上がってクロスを入れることもできる。
課題だった守備も改善が進んでおり、年代屈指のサイドバックとの声も聞かれるほどだ。インターハイは地元・福島での開催になるため意気込みは強い。「もちろん全国制覇を狙っています」。

(くぼ・はるむ/前橋育英/DF/3年/182cm、71kg)
群馬県予選決勝は、U-18日本代表のスイス遠征から帰国4日目で先発フル出場。それでも、100人超のJリーガーを育成してきた山田耕介監督が「やっぱりいいですね」「格が違う」と称賛するようなパフォーマンスで、予測力の高さと球際の強さを生かし、相手のオープン攻撃を次々とストップして無失点勝利に貢献した。
空中戦の強さや右足キック、そして危機察知力にも秀で、昨年度の選手権ではシュートブロックを連発するなど日本一メンバーの一員になっている。初めて年代別日本代表を経験し、より一つひとつのプレーにこだわるようにもなった。
今大会屈指のセンターバックは自身初のインターハイへ向け、「いい結果を群馬に持って来れるように頑張りたい」と誓っている。

(さいとう・そらと/鹿島学園/DF/3年/179cm、66kg)
鹿島学園の現3年生たちは、1年時にU-16全国大会で大津などを破って初優勝。今年1月の"裏選手権"でも優勝している期待の世代だ。なかでも齊藤は昨年度の選手権茨城県予選で敗退しながらも、U-17日本高校選抜に抜擢された注目株。
「選手権に出てないのに、こういうすばらしい機会に選んで下さって、本当にうれしかった。
また、この時に学んだビルドアップやピッチ外での立ち振る舞いを取り入れ、自身も成長を実感。今大会は、当初「すげえな」と感じていたという選抜組超えに挑戦する。

(むらかみ・けい/大津/DF/3年/181cm、70kg)
危機察知能力の高さを生かした守備が持ち味で、DFラインならどこでもこなせる器用さも目を引く。
プレミアリーグ・ファイナルで日本一となった昨年はセンターバックとして欠かせない存在だったが、最終学年を迎えた今季は将来を見据え、サイドバックにチャレンジ。自主練によって高まったジャンプ力とスピードを駆使して、守備で昨年以上の存在感を見せるだけでなく、最終ラインから前線まで駆け上がり、得点にも絡む。
すでに複数のJクラブが獲得に名乗りを挙げており、本人も高卒でのプロ入りに意気込み十分。「夢はチャンピオンズリーグや欧州の4大リーグでゴールを決めて、観客の大歓声を味わうこと。それを達成するために高卒でデビューしないといけない」。

(なかの・はると/神村学園/DF/3年/179cm、72kg)
センターバックとしては小柄だが、タイミングよく跳べるためサイズ以上の存在感を誇る。何より目を引くのは対人守備の強さ。「守備で強く行こうと心がけている。
後方からの配球力も高まっており、センターバックとしての完成度は高まっている。有村圭一郎監督から「ひとりで守れる部分はあるのですが、上を目指すのだったら統率力や喝の入れ方、チームの鼓舞の仕方を学んでほしい」とハッパをかけられる今季はキャプテンとしても奮闘中。リーダーとしての逞しさが出始め、プロ入りも射程圏内に入る。

(しばの・はやと/前橋育英/MF/3年/172cm、68kg)
ひとたびボールが入れば、そう簡単には奪われない。「相手の逆を突くプレーが得意で、相手が"やられた"という雰囲気を見るのが好き。誰も考えないプレーや見ている人がワクワクするようなプレーがしたい」。高いキープ力を駆使して試合を落ち着かせるプレーやゲームメイク力は、昨年の選手権でも証明済みだ。
「去年はアシストが多かったけど、チームを助けるために点も必要になってくる」。そう口にする今年は得点力アップとともに課題の守備力向上にも励む。選手権優勝を知る選手が多く残り、今大会は優勝候補として挙げられるが驕りはない。「去年優勝したことを忘れるというか、満足しないで今年は今年だと捉えている」。

(しまたに・きしん/流経大柏/MF/3年/174cm、64kg)
優勝候補のダブルキャプテンのひとり。複数のJクラブが関心を寄せる注目ボランチだ。伝統のハイプレスを繰り出すチームのなかでひと際光る運動量と高強度のプレー。迫力のあるアプローチで相手選手に寄せきり、ファウルしないことも意識しながらボールを奪い取る。
プレミアリーグEASTの昌平戦では宣言どおりに注目エースMFの山口豪太へのパスをシャットアウト。相手のキーマン封じやカバーリングを的確に実行し、長短のパスやボールキープ、ロングスローでもチームに貢献している。強敵に快勝したあとも、「また見つめ直して、また成長できればいいかなと思います」と貪欲なリーダー。例年以上に意識の高い集団を声と行動で引っ張り、日本一へ導く。
>>後編「見逃せない! 攻撃を司る注目のMF&FW8選手」へつづく