今週のJRAは3日間開催。9月15日の月曜日には、GI菊花賞(10月26日/京都・芝3000m)の関東でのトライアル戦、GIIセントライト記念(中山・芝2200m)が行なわれる。

過去、ここをステップにして本番でも躍動する馬が多いゆえ、このレースへの注目度は年々増している。

 そうした状況にあってか、比較的"堅い"一戦となっている。過去10年の結果を振り返っても、1番人気は2勝、2着6回。2番人気も3勝、2着2回、3着2回と安定した成績を残しており、馬券圏内の上位3頭が1~3番人気で決着したレースが5回もある。

 となると、極端な"穴狙い"は禁物かもしれない。デイリー馬三郎の木村拓人記者も今年の出走メンバーを見渡してこう語る。

「今年は12頭立てと頭数が少ないですし、皐月賞馬のミュージアムマイル(牡3歳)が出走。人気の中心となると思いますし、大崩れはなさそうです。

 また、これに続くGII青葉賞(4月26日/東京・芝2400m)2着のファイアンクランツ(牡3歳)に、同レースで4着と善戦し、前走の1勝クラス・稲城特別(6月7日/東京・芝2400m)を古馬相手に圧勝したレッドバンデ(牡3歳)も安定勢力。これら3頭がそろって馬券圏外に沈むことは考えにくく、"大荒れ"というのはなかなか想定しづらいですね」

 とはいえ、何が起こるかわからないのが競馬。過去のセントライト記念でも何度か波乱は起こっている。

 2015年には本格化前のキタサンブラックが6番人気で勝利。

2着に9番人気のミュゼエイリアン、3着に10番人気のジュンツバサが入って、3連単では60万円超えという高額配当が飛び出した。さらに、2021年にも9番人気のアサマノイタズラ(1着)が激走を果たし、3連単の配当は30万円超えとなった。

 穴党の出番は決してゼロではない。そこで、木村記者も先に挙げた面々を有力視しつつも、伏兵候補として気になる馬の名前を挙げた。

「ミュージアムマイルは別格として、他の2頭については『この馬が評価されるなら、同じくらいの評価ができるのに、盲点になっている』といった存在がいるんですよね。

 たとえば、ジーティーアダマン(牡3歳)です。デビュー2連勝でリステッド競走のすみれS(3月1日/阪神・芝2200m)を快勝。そこで、ファイアンクランツを3着に下しています。

 加えて、同レースで2着だったのが、この夏の北海道シリーズで『一番の上がり馬』といった評価もあるミラージュナイト。この馬を負かしているのは、大したものです」

【競馬予想】堅い決着が多いセントライト記念だが、今年は人気の...の画像はこちら >>
 このすみれSを勝ったあと、ジーティーアダマンはGI皐月賞(4月20日/中山・芝2000m)に出走。そこでは、14着に敗れている。

「皐月賞の時も馬の感じは悪くなかったのですが、正直速い脚はなさそうな感じで、結果的に時計勝負のレースになったことが響きました。

GIレベルではさすがにちょっと足りなかった、という印象もありますね。

 しかしその後、GI日本ダービー(6月1日/東京・芝2400m)には出走せず、秋に向けて成長をうながしてきました。今回の中山・芝2200mは、そこまで瞬発力を問われませんし、同馬の力を発揮しやすい舞台。ひと夏越してレベルアップした姿を見せても不思議ではありません」

 木村記者はもう1頭、気になる馬がいるという。

ヤマニンブークリエ(牡3歳)です。前走で2勝クラスの町田特別(6月21日/東京・芝2400m)に格上挑戦。軽ハンデを利して、鮮やかな勝利を飾りました。

 冒頭で有力候補として挙げたレッドバンデと同じ東京・芝2400m戦を勝っていながら、勝ち時計の速かったレッドバンテに人気を譲る形になっていますが、この時期に古馬を相手にしてこの距離の2勝クラスを勝っているのは立派。ハンデ差があったとはいえ、それなりに力がある証拠です。

 ましてや、今回の出走メンバーのなかで古馬相手の2勝クラスを勝っているのは、他にサクラファレル(牡3歳)がいるくらい。大半が1勝クラスを勝ったばかりで、ここでは実績上位です。サクラファレルにしてもガンガン行ってしまう感じがあって、危険な穴人気馬と見ています。

 ヤマニンブークリエも、先に触れたすみれSに出走してファイアンクランツに次ぐ4着でした。ファイアンクランツにはジョアン・モレイラ騎手が騎乗するとあって、人気面では大きな差をつけられていますが、力的にはそこまでの差はないと踏んでいます。人気がない分、馬券的な妙味は大きいと思いますよ」

 直近3年は上位人気馬による決着となったセントライト記念だが、そろそろ波乱が起こってもおかしくない。もしそうなったら、ここに挙げた2頭がその一端を担う可能性は十分にある。

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