【MLB】評価の分かれる村上宗隆はどうなる? シュワーバー、...の画像はこちら >>

前編:2025年冬MLB市場 における日本人大物選手の価値

MLB各球団の来シーズンのチーム編成における重要な場となるウィンターミーティングが今年も開催され、大物日本人選手も話題の中心として注目を集めた。

投手では今井達也が高い評価を受ける一方、日本では長距離砲として名を馳せた村上宗隆、岡本和真は評価の基準が揺れ動いている模様。

特に史上最年少三冠王にも輝いた村上はメジャー移籍を表明した今オフの日本人野手のなかでも高い知名度を誇っており、さまざまな視点から評価基準が語られている。

【村上の評価を二分する理由は?】

「ムラカミの評価は極めて難しい。私がこれまでに見てきたなかで、最も難しいと言っても大袈裟ではないのかもしれない」

 今年はフロリダ州オーランドで行なわれたMLBのウィンターミーティングの途中、あるメジャー強豪チームのスカウトがそう述べていたのが印象的だった。

 ウィンターミーティングとはMLBの主要人物が一同に会し、リーグ運営、選手の去就などを話し合うオフ最大のイベントだ。会場となったホテルのロビー、通路を球団エグゼクティブ、監督などが闊歩し、話をすることも可能。もちろんメディアも大量に集まるなかで、今年は村上宗隆、岡本和真、今井達也といったメジャー移籍を目指す日本人選手たちの動向も大きな話題だった。

 最も多くのチームから興味を持たれているのは、今井に違いない。2025年は防御率1.92という見事な数字を残し、27歳と年齢的にも今が働き盛り。今秋、ロサンゼルス・ドジャースを世界一に導いた山本由伸の大車輪の活躍で日本人投手の評価がさらに上がったあとで、完璧なタイミングで渡米してくる。

 獲得のためには総額1億ドル(約150億円)以上の高給が必要と見られる。現実的には契約できるチャンスがあるチームは限られてくるとしても、どのチームも「手に入れられるものなら手に入れたい」と考えるレベルの選手と見られている。

 一方、村上、岡本という野手ふたりの実力評価はかなり分かれている。冒頭のスカウトの言葉どおり、特にネームバリュー的には日本人トリオのなかでも最も高い村上の価値判断は、困難を極めている。

 日本の野球ファンには説明の必要はないかもしれないが、村上の長所は2022年にはアメリカでも知名度の高い"サダハル・オー"を上回る56本塁打を放ったパワーで、25歳という若さも魅力的だ。現代メジャーではとにかく本塁打を打てるパワーが好まれるだけに、本来であれば、打線の補強を考えているチームにはうってつけの存在なのだろう。

 一方で、マイナス材料として指摘される三振の多さも、ある意味で米球界関係者の間で有名になった感がある。村上は93マイル(149.6キロ)以上の速球に対してのコンタクト率は2022年以降約63%と低く、2025年の打率で言えばわずか.095(21球中2安打)。この数字が示すように、豪球派全盛のメジャーでは村上の速球への弱さは懸念材料となっている。同じように速球を打つのが得意ではなく、メジャーでは2020~22年の3年間で打率.197、18本塁打と成功できなかった筒香嘉智(横浜DeNA)との共通点を指摘する声も無視できない。また、内野守備の水準が高くないという見方も評価の難しさに拍車をかけているのだろう。

【大物FA選手の動向が決定した影響は?】

 前述のスカウトは、村上と筒香の相似に完全に同意したわけではないが、獲得したチームにとってリスクの大きな補強になることは繰り返し述べていた。

「筒香に共通点がある? そのとおりかもしれないが、村上のほうがよりパワーがあり、まだ若いだけに伸びしろは残っている。だからアメリカでスターになっても不思議はない。ただ、その一方でかなり苦しんでもまったく驚かない。日本人野手としては初の9ケタプレーヤー(年俸総額1億ドル以上)になるかが注目されているが、可能性はあると思う。

個人的にはそこまで払うべきではないと見ているが、争奪戦のなかでそれだけの額を提示するチームはあるかもしれない」

 これまで多くの日本人投手がメジャーで活躍し、「エリートレベルの投手は通用する」という通説は確固たるものになった印象がある。その一方で、野手で成功を収めたと言えるのは松井秀喜イチロー大谷翔平などごく一部。前述の筒香、秋山翔吾、西岡剛、福留孝介松井稼頭央など打撃面でアジャストメントに苦しんだ選手は数多いだけに、判断は余計に難しい。そういった背景もあって、村上には最終的にどのチームがどういった契約を提示するのかは実に興味深い。

 ウィンターミーティング開始前、『MLBネットワーク』のジョン・モロシ記者は今オフの左のパワー打者マーケットをこう予測していた。

「村上の決定はカイル・シュワーバーよりも安くなるだろう。年齢的には若いだけに契約年数はより長くなっても不思議はないが、少なくとも平均年俸はシュワーバーより下。ただ、金額的には岡本よりは上になる。村上を気に入っているチームはかなりあるが、三振の多さに対する懸念は消えないようだ」

 通算340本塁打のシュワーバーは9日、5年1億5000万ドル(約225億円)の新たな契約でフィラデルフィア・フィリーズに残留することが決定した。さらに10日、ニューヨーク・メッツからFAになった通算264本塁打のピート・アロンソも5年1億5500万ドル(約232億5000万円)でボルチモア・オリオールズと契約に合意した。上位が動いたことで、序列的にはここから村上のマーケットも本格的に活発になると見られている。だとすれば、カウントダウンは始まっている。

 アロンソを失ったメッツが本腰を入れて動くのか。シュワーバー取りに参戦していたと報道されたシンシナティ・レッズ、ピッツバーグ・パイレーツといったチームが代わりに村上に視線を向けるか。それとも......。

「村上に関する情報があるのなら教えて欲しいくらいだよ」

 上記のスカウトは立ち話の最後にそう述べていた。実際に25歳の日本人スラッガーにどのような条件が提示され、最終的にどのチームに落ち着くのか。

 多くの球界関係者が注意深く見守っていることは間違いない。

つづく

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