巨人・岸田行倫 インタビュー
【甲斐が加入も「絶対に負けられない」】
巨人8年目のキャッチャー・岸田行倫(きしだ・ゆきのり)は昨シーズン、87試合に出場して打率.293、キャリアハイの8本塁打を放つなど存在感を高めた。
岸田はリーグ優勝した2024年に、自己最多の88試合に出場。強肩を生かし、セ・リーグ1位の盗塁阻止率を記録する活躍を見せ、翌シーズンはさらなる飛躍が期待されたが......同年オフに、ゴールデングラブ賞を7度受賞している甲斐拓也が、ソフトバンクからFAで加入。
「正直に言うと、甲斐選手がFAで入団するとなって、シーズンが始まる前には『たぶん、出場機会が減るだろうな......』と思っていましたし、おそらく多くの方がそう感じていたのではないかと思います。ただ、そのような状況でも、心の奥には『絶対に負けられない』という気持ちが残っていました。『限られた出場機会でも、しっかり結果を残せるように』と強い決意を持って、開幕を迎えました」
いざシーズンが開幕すると、4月こそ甲斐に正捕手の座を譲ったものの、5月4日のDeNA戦でシーズン初先発のチャンスをつかむ。そこでDeNAのエース東克樹からソロ本塁打を含む2安打を放ち、2打点を挙げる活躍を見せた。守っては、先発のフォスター・グリフィンをリードして6回無失点。チームの勝利に貢献した。
「そのあと、打撃でも結果がついてきて、『今年もいける』という自信がつきました。『試合に向けた準備の仕方は間違っていない』と思えたことが大きかったです。もし、あの試合で結果が残せなかったら、シーズン成績は大きく違っていたかもしれません」
【打撃面の向上で初の4番も経験】
ターニングポイントになった試合での活躍を機に、徐々に先発出場の機会を増やした岸田は、終わってみればチーム最多の69試合で先発マスクを被った。定評のある強肩もさることながら、印象的だったのは、やはり打撃面でのレベルアップだろう。
「2024年シーズン終了後に、スコアラーの皆さんの力を借りながら課題を明確にし、"理想の打者像"をイメージしながら自主トレに臨めたおかげだと思います。(シーズン開幕前に)『外角のボールを強く打てるように』とバットを振り込んでいた時は、ボールをミスなく芯で捉えて、逆方向に強いライナー性の打球を飛ばすことを意識していました」
それが、自己最多の8本塁打につながった。
「打席で打ち急いでしまい、ボール球に手を出して打ち取られてしまうことも多かった課題を、ある程度は克服できたと思います。結果を気にせずに思い切ってスイングすることを意識して打席に向かうことができるようになりました」
得点圏打率も.359を記録するなど、勝負強さも光った岸田は、8月30日の阪神戦で初めて巨人の4番を任された。
「試合の直前に知らされてビックリしました。ただ、試合ではあまり意識せず、普段通り打席に入れたように思います」
そう振り返る試合で3安打を放ち、チームを勝利に導いた。しかし、そんな活躍にも満足せず、2026年シーズンはさらなる飛躍を誓う。
「昨年は自分が思った以上の成績を残せて自信につながりましたが、『さらに上を目指さないといけない』という思いも芽生えました」
【WBC出場にも意欲】
岸田は続けて、キャッチャー目線で巨人の投手陣についても語った。昨シーズンの先発陣は、2024年に15勝(3敗)を挙げた菅野智之がボルチモア・オリオールズに移籍した影響もあり、苦しいやりくりを強いられた。楽天から加入した田中将大が日米通算200勝を達成するという明るいニュースもあったが、エースの戸郷翔征が2度の二軍調整を経験するなど、8勝9敗と本来のピッチングができなかった。
「僕はシーズンの途中から組むことになったので、戸郷の"最悪な状態"はわかりません。それでも、変化球でカウントが取れなかったり、フォークボールを見極められたり、空振りを取れていたような速球を外野に弾かれたりすることも多く、お互いに試行錯誤を重ねながら1年を過ごしました。
ただ、苦しいなかで必死に考えながら"攻めの投球"を目指した経験は、戸郷が本来の調子を取り戻した時にきっと生かされると思います。絶対にあの時間は無駄にはならない。そう信じています」
チームはリーグ優勝と日本一に向け、2年ぶりに主将制度を復活。そこで阿部慎之助監督は、岸田を21代目の主将に任命した。気持ちを新たにキャンプインに備えているだろうが、今年3月には「野球をやっている以上は目指したい場所ですし、代表に選ばれたい気持ちもあります」と話すWBCも控えている。
日本代表メンバーは一部しか発表されていないが、あらためて思いを語った。
「昨年3月の強化試合で日本代表に選んでいただいてから、『侍ジャパンのユニフォームを着て野球をやりたい』という思いが強くなりました」
本拠地・東京ドームで行なわれた韓国代表との親善試合(11月15日)では、代打として登場して勝ち越し3ランを放っている。
「もし選んでいただけたら、まずは投手陣とコミュニケーションをしっかり取りたいですし、ブルペンで多くのボールを受けることが大切だと思います」
そして最後に、シーズンに向けた抱負を口にした。
「連覇を目指した昨年はリーグ3位に終わり、その後のクライマックスシリーズも敗退と、すごく悔しい思いをしました。2024年もリーグ優勝したものの、日本シリーズ出場は叶わなかったので、ひとつひとつ壁を乗り越えて、日本一をつかむシーズンにしたいと思います」
攻守に欠かせない存在となった岸田は、これまでに手の届かなかった高みを目指す。
(泉口友汰インタビュー>>)
【プロフィール】
岸田行倫(きしだ・ゆきのり)
1996年10月10日生まれ、兵庫県出身。キャッチャー。










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