渡辺久信の西武戦力分析&パ・リーグ順位予想 前編
西口文也新監督が率いた昨季の西武は2024年の最下位から順位をひとつ上げ5位。チーム防御率はリーグ3位の2.99も、チーム打率がワーストの.232と得点力不足が響き、借金14でシーズンを終えた。
【かつてない補強を断行】
── 西口新監督が率いた昨季の西武は、渡辺さんが監督代行を務めた2024年から順位をひとつ上げ5位に終わりました。今年の戦力はどう見ますか?
渡辺久信(以下:渡辺) だいぶ戦える戦力になってきたという印象ですね。A班(一軍)の南郷キャンプを視察にいきましたが、外野手は9人(桑原将志、蛭間拓哉、アレクサンダー・カナリオ、茶野篤政、秋山俊、西川愛也、仲三優太、長谷川信哉、林安可)が激しい競争を繰り広げていました。内野手にしても、ゲンちゃん(源田壮亮)だって安泰じゃないぐらい、戦力は近年になく充実しています。
── 内野手では日本ハムから石井一成選手、外野手はDeNAから桑原将志選手をともにFAで獲得。さらに台湾リーグで通算112発を放った林安可(リン・アンコー)選手が入団と、これまでにない補強を断行しました。
渡辺 石井は去年、108試合に出場して打率もキャリアハイ(.259)だったので、打撃でガンガン引っ張ってくれるのではないでしょうか。桑原は長打もあるし、出塁率を考えたら1番に置いても面白いと思います。林安可はシニアディレクター(SD)時代に見たことがあります。まだ大学生だったかな? 母親がアルゼンチン人のハーフで、当時は投手でしたが、打つほうでスター選手になりましたね。
── 打撃の中心になってくる選手は誰でしょうか?
渡辺 2年目の渡部聖弥じゃないでしょうか。外野手登録ですが、大学時代以来となる三塁の動きもよかったです。
── 打順はどう組み立てますか?
渡辺 一昨年まで打線の核がいませんでしたが、昨年からチャンスに強いタイラー・ネビンが4番に座ったことが非常に大きいと思います。その周りの選手たちの厚みが増せば、得点能力は自然と上がってきます。私の中では、クリーンアップは3番・西川愛也、4番・ネビン、5番・渡部が理想的です。
その3人の前を打つ1番が桑原だとしたら、2番は滝澤夏央が適しています。バントも引っ張りもうまいし、バラエティに富んだ攻撃ができるんです。遊撃か二塁か。ゲンちゃんや石井もいるので、西口文也監督は守備位置に頭を悩ませることになるでしょうね(笑)。
── 正捕手争いも熾烈を極めそうですね。
渡辺 打撃で言えば小島大河(明治大)が群を抜いています。ただ、捕手というポジションの性質上、簡単にスタメンというわけにもいきません。
【大化けの可能性を秘める高卒3年目右腕】
── 投手陣は絶対的エースの今井達也投手がアストロズに移籍しました。
渡辺 今井は一番イニングを食える投手(昨季チームトップの163回2/3)だったので、もちろん痛いですが、?橋光成が残ったのが大きいです。先発候補は、ほかに隅田知一郎、武内夏暉、與座海人、平良海馬、新外国人のアラン・ワイナンス、渡邉勇太朗もいる。ここに篠原響、菅井信也、育成で隠し球的存在の左腕・佐藤爽、冨士大和と、頭数は多くいます。
── 新外国人のワイナンス投手はどう評価されていますか?
渡辺 南郷キャンプに行った時は右ヒジに張りがある影響で投げていませんでした。映像は何回も見ていますが、技巧派投手の印象です。球速は145キロほどと速くはないですが、カーブ、チェンジアップ、シンカーと、ボールをうまく散らして打者を打ち取るタイプです。2019年に西武で12勝を挙げたザック・ニールに似ています。
── 今季から先発に再転向する平良投手が抜けたリリーフ陣はいかがですか?
渡辺 昨季49試合に登板した山田陽翔の上積みに期待したいところですが、開幕を前に右ヒジのクリーニング手術を行ない、前半戦の復帰は厳しい状況です。甲斐野央、エマニュエル・ラミレス、トレイ・ウィンゲンターに頑張ってもらうしかないでしょう。
そして、これも隠し玉的存在で、高卒3年目の156キロ右腕・成田晴風(はるせ)がゲームのなかでどれだけ結果を出せるか。頸椎手術の影響でまだファームの公式戦ですら投げたことはありませんが、昨秋のフェニックスリーグで、阪神の藤川球児監督がビックリするぐらいの球を投げていました。西口監督も抑えで期待していて、「大化けしてくれないかな」と話していました。
【栗山巧のラストシーズン】
── 渡辺さんが監督を務めていた時代からチームを引っ張った栗山巧選手が今季限りでの引退を発表しました。
渡辺 今年1年、悔いのないように目一杯やってほしいですね。同学年の中村剛也と一緒にずっと西武にいたわけですし、私の中ではナンバーワンのレジェンド。将来的にどのポジションに就くかわかりませんが、できれば私のような形で、いずれは現場、フロントのトップをやってほしい。
そのためにも、勉強することはたくさんあります。私も台湾で選手兼コーチ、引退後は野球評論家を経て西武の二軍コーチ、監督、そして一軍監督、フロントでSD、そしてゼネラルマネージャー(GM)と、多くのことを経験しました。彼もいきなり監督をやるのではなく、いろいろな立場からチームを俯瞰的に見て、最終的にトップまで登り詰めてほしいです。
── あらためて今季の西武に期待している点を教えてください。
渡辺 西武は2028年の球団創設50年に向け、チームをつくり直している最中です。
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渡辺久信(わたなべ・ひさのぶ)/1965年8月2日、群馬県生まれ。前橋工業高1年夏に甲子園出場。83年ドラフト1位で西武に入団。最多勝3回、最高勝率1回、最多奪三振1回を記録するなど、10度のリーグ優勝、6度の日本一に貢献した。98年にヤクルトで現役引退後は台湾で3年間コーチ兼任選手を経験。2004年から2軍投手コーチとして西武に復帰すると、2軍監督を経て2008年から一軍監督に就任。1年目にチームをリーグ優勝、日本一に導いた。2013年まで監督を務めた後はシニアディレクター(SD)、編成部長、2019年からはゼネラルマネージャー(GM)を歴任。2024年シーズン途中からはGMと兼任で監督代行を務め、その年限りで退団。2025年からは野球評論家、解説者として活動している。NPB通算389試合125勝110敗27セーブ。










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