渡辺久信の西武戦力分析&パ・リーグ順位予想 後編

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 昨年は、4月終了時点で最下位に沈んでいたソフトバンクの大逆転連覇で幕を閉じたが、2025年のパ・リーグはどんな戦いが予想されるのか。西武で監督、シニアディレクター(SD)、ゼネラルマネージャー(GM)を歴任した渡辺久信氏に順位を予想してもらった。

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【1位予想:日本ハム】

── 今季のパ・リーグ順位予想ですが、昨季2位の日本ハムを1位に予想されました。新庄剛志監督の采配をどう分析しますか?

渡辺久信(以下:渡辺) 外から来た選手の使い方がうまい印象です。2023年に近藤健介の人的補償でソフトバンクから移籍してきた田中正義が典型的な例ではないでしょうか。昨年の現役ドラフトで巨人から獲得した菊地大稀も奪三振率がいいので、中継ぎとして使えると思います。

 昨年は後ろで投げる投手陣があまり強くないなと思っていましたが、ドラフトで外れ外れ1位ではありますが、明治大の守護神・大川慈英(じぇい)、今年で41歳となる宮西尚生の負担を少しでも減らすため、阪神とのトレードで左腕の島本浩也を獲るなど、的を射た補強をしています。

── 有原航平投手の6年ぶり復帰も話題になりました。

渡辺 有原の復帰は本当に大きいです。でも、先発投手は伊藤大海、北山亘基、達孝太と、もともと素晴らしい顔ぶれです。日本ハムの先発投手は、完投できないと悔しがるらしいんです。昨年はチームで25完投と、2位西武の10完投を大きく突き放しています。新庄監督がそう仕向けていると聞いているし、投手が育つ土壌が日本ハムにはあります。

【2位予想:西武】

── 昨季5位の古巣西武は2位予想と大健闘ですね。

渡辺 完璧にシーズンを戦い抜いての2位予想です(笑)。ただ、私が西武の一軍監督に就任した2008年も前年は5位。なおかつ和田一浩、アレックス・カブレラと、4、5番が移籍して「さあ、どうしよう」といったところから始まりました。でも、思いきって若手を使うことができたのが逆によかった。みんなイケイケで、一気にスタートダッシュを決めることができ、最終的に日本一までたどり着くことができました。

 今年の西武も若手をどんどん使っていってほしいですね。巨人や阪神だとファンやメディアが厳しいので、調子が悪くなると使いきれなくなりますが、西武はまだ使いきれる環境にあるんです(笑)。西口文也監督がどこまで腹をくくれるかですね。

【3位予想:ソフトバンク】

── リーグ3連覇を狙うソフトバンクは3位予想です。

渡辺 いつもソフトバンク1位予想じゃ面白くないじゃないですか(笑)。ただ、選手層の厚さで言えば、日本ハムよりもソフトバンクのほうが上でしょう。ケガ人が出ても、カバーする選手の成績がいいんです。

先発投手も上沢直之、リバン・モイネロ、大関友久の3枚が充実。あと、松本晴は1年間を通じて投げることができれば、かなりの勝ち星が期待できます。そこに故障明けのカーター・スチュワート、左腕の前田純あたりが出てくれば盤石です。

── 野手は柳田悠岐選手が今年で38歳。今宮健太選手、山川穂高選手が35歳、近藤健介選手も33歳と、年齢層がかなり上がってきました。

渡辺 世代交代の時期には来ています。ただ、一人ひとりの経験値が非常に高いです。昨年は今宮がケガで離脱したことで野村勇をショートで起用したりと、若手も底上げされています。そのなかで注目しているのは山川です。昨年は日本シリーズでは3試合連続本塁打を放ちMVPを受賞しましたが、シーズンを通して結果を残すことができませんでした。西武時代から4番にこだわりを持っている選手なので、今年の成績が今後の野球人生を左右するといっても過言ではありません。

【4位予想:ロッテ】

── 昨季最下位のロッテは4位予想。

サブロー新監督の戦いに注目が集まりますね。

渡辺 今春は西武とロッテのキャンプを視察に行きましたが、サブロー新監督は厳しく練習をやっていましたね。吉井理人前監督はメジャー方式の考え方でしたが、サブロー新監督はコテコテの昭和野球(笑)。「練習量をこなさないと質は上がらない」と言っていましたから。最下位のチームを預かったのだから、それなりのことをやっていかないといけません。もちろん厳しいだけでは今の選手はダメなので、そのあたりをうまく操縦できれば面白いチームだと思います。

── 投手陣は昨季9勝の種市篤暉投手が勝ち頭。2ケタ勝利はゼロでした。

渡辺 先発陣は手薄であることは確かですが、DeNAから加入したアンドレ・ジャクソンの存在が大きいです。コントロールもいいし、勝ち星も計算できます。まだ戦力になるのは先だと思いますが、ドラフト1位の石垣元気はまだ体ができていないにも関わらず、速いボールを投げていました。佐々木朗希ドジャース)のようにまずはしっかりと体づくりからやってほしいですね。

【5位予想:楽天】

── 昨季4位の楽天を5位と予想されました。

渡辺 マエケン(前田健太)が日本球界に復帰しましたね。ただ、本拠地(楽天モバイル最強パーク宮城)の外野フェンスを手前に出したこと(最大6メートル前方へ)がどう作用するか。楽天は昨年のチーム本塁打数が70とリーグ最少。打者にとっては追い風ですが、投手からすれば打たれる可能性もあるわけだから、裏目に出たらひどいことになります。

 岸孝之も頑張っていますが、今年で42歳ですからね。先発陣は左肩手術明けの早川隆久や荘司康誠、古謝樹あたりがバリバリ引っ張っていかなくてはなりません。先発に転向する西口直人は短いイニングでは絶対的でしたけど、長いイニングを投げてみてどうなるかでしょうね。

── 打線はいかがでしょうか?

渡辺 右打者が少ない印象です。浅村栄斗と村林一輝、昨季途中加入したルーク・ボイトぐらいじゃないでしょうか。昨季マイナーで22本塁打を放った新外国人のカーソン・マッカスカーが日本投手の変化球にどこまでついていけるか。楽天戦は左打者に好選手が多く、左腕をぶつけてくる球団が多いだけに、右打者がカギを握ってくるでしょう。

【6位予想:オリックス】

── 最下位予想は昨季3位のオリックスでした。リーグ3連覇時(2021~2023年)の勢いはありませんか?

渡辺 戦力的にあまり代わり映えがせず、昨年ドラフトを見ても1~3位までが高卒投手(藤川敦也、森陽樹、佐藤龍月)、4位も高卒野手(窪田洋祐)と、何年か先を見ている印象です。先発陣は昨季11勝の九里亜蓮に加え、宮城大弥や曽谷龍平、山下舜平大がどこまで頑張ることができるか。

 野手も森友哉、西川龍馬が昨年ケガに苦しむなど、1年を通して計算できないのも痛いです。他球団が上積みしてきている中で、戦力的には現状維持といったところでしょうか。

 ただ、パ・リーグは最後までもつれると思います。日本ハム、ソフトバンクはもちろん強いですが、楽にはいかないでしょう。優勝争いはもちろん、クライマックスシリーズ争いも含め、本当に楽しみです。


渡辺久信(わたなべ・ひさのぶ)/1965年8月2日、群馬県生まれ。前橋工業高1年夏に甲子園出場。83年ドラフト1位で西武に入団。最多勝3回、最高勝率1回、最多奪三振1回を記録するなど、10度のリーグ優勝、6度の日本一に貢献した。

98年にヤクルトで現役引退後は台湾で3年間コーチ兼任選手を経験。2004年から2軍投手コーチとして西武に復帰すると、2軍監督を経て2008年から一軍監督に就任。1年目にチームをリーグ優勝、日本一に導いた。2013年まで監督を務めた後はシニアディレクター(SD)、編成部長、2019年からはゼネラルマネージャー(GM)を歴任。2024年シーズン途中からはGMと兼任で監督代行を務め、その年限りで退団。2025年からは野球評論家、解説者として活動している。NPB通算389試合125勝110敗27セーブ。

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