昨年のダービー馬クロワデュノール(牡4歳)と、一昨年のダービー馬ダノンデサイル(牡5歳)による"ダービー馬対決"が注目されるGI大阪杯(4月5日/阪神・芝2000m)。その勝負の行方はともかく、戦前において「負けられない」という気持ちがより強いのは、クロワデュノールのほうだろう。

 昨春のGI日本ダービー(6月1日/東京・芝2400m)までは、おおよそ順風満帆だった。GI皐月賞(4月20日/中山・芝2000m)こそ、ミュージアムマイルの強襲に屈したが、ダービーでは強い競馬を見せて快勝。5戦4勝、2着1回、うちGI2勝という断然の成績を残して、世代最強馬であることを印象づけた。

 というか、この時点で世代の枠を超えてこの先の日本競馬の"中心"に、という期待までかけられる存在となった。そして、そんな期待に応えるべく、秋にはGI凱旋門賞(10月5日/パリロンシャン・芝2400m)に挑戦することを表明。それだけの期待感が陣営にもあったことは間違いない。

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 ところが、注目の凱旋門賞で14着と惨敗。それを機に、少しずつ歯車が狂い始めていく。巻き返しを図った帰国初戦のGIジャパンカップ(11月30日/東京・芝2400m)でも、上位2頭とは差をつけられての4着に終わった。

 結果、ファンの間では「大して強くない」とか、「成長がない」「早熟か」といった声が聞かれるようになった。

 はたして、クロワデュノールは本当にそこまでの馬なのか。

 その意味では、クロワデュノールにとって"ダービー馬対決"として注目を集める大阪杯が汚名を返上する絶好の舞台となる。

それゆえ、「負けられない」という思いが強いのは明らかだ。

 では、クロワデュノールに勝算はあるのか。

 まずは、前走のジャパンカップを振り返ってみたい。驚異のレコード勝ちを決めたカランダガンから3馬身半差離されての4着という結果は、額面どおりの評価でいいのだろうか。

「いや、そうではありません。あの4着は"負けて強し"の内容でした」

 そう語るのは、関西の競馬専門紙記者だ。

 専門紙記者はその理由について、同レースが引っかかり気味に逃げたセイウンハーデスによって、前半1000mの通過タイムが57秒6という、超のつくハイペースだったことについて触れ、こんな見解を示す。

「それほど速い前半の流れを、クロワデュノールは終始4番手くらいで追走していました。おかげで、最後は後方に構えていた馬に差されて4着となったわけですが、逃げ馬をはじめ、2~6番手までの好位で運んだ馬で掲示板を確保したのは、この馬だけです。

 あのハイペースは、明らかに後方待機の馬に味方しました。にもかかわらず1頭だけ、すなわちクロワデュノールだけは、馬券圏内(3着以内)から外れたとはいえ、4着に踏みとどまった。まさしく"負けて強し"だったと思います」

 また、このときのクロワデュノールは凱旋門賞からの帰国初戦で、決して万全な状態ではなかった。

ギリギリまでレースの出否を明らかにしなかったのも、そのためだ。そういった点も加味すれば、専門紙記者の"負けて強し"という評価も頷ける。

 そこへいくと、ジャパンカップ後のGI有馬記念(12月28日/中山・芝2500m)をパスして休養にあて、ここに目標を絞ってきた今回は、かなりの好転が見込める。実際、この中間の調整過程をつぶさに見守ってきた先の専門紙記者もこう語る。

「この先のGIにも出走する予定があるため、いくらか太めにつくっていますが、状態に関してはジャパンカップの頃よりも、かなりいいと思います。休み明けがどうか、という心配はあるものの、言い訳できないレベルの出来にあるのは間違いないでしょう」

 今回は舞台となる阪神競馬場も、関西圏での競馬も初めてとなるが、もともとクロワデュノールは関西馬。長距離輸送がないことを考えれば、プラス要素も大きいだろう。

 さまざまな憶測が飛んでいた鞍上については、デビュー以来手綱をとってきた主戦の北村友一騎手が今回も務める。正式決定が遅れたことは、ダービー以降の敗戦が何かしら影響していることは想像に難くない。

「これまでのクロワデュノールのレースにおいて、騎手がうまく乗ったから勝てた、というのはほとんど記憶にありません。そうなると、もし今回負けたら、北村騎手はもう二度とクロワデュノールに乗れない可能性があります。北村騎手にとっては、それこそ背水の陣です。

 大切なことは、馬の強さを信じて腹をくくって乗れるかどうか。結果は、そこにかかっていると思います」

 ダノンデサイル以外にも、侮れない伏兵陣が名を連ねる大阪杯。クロワデュノールは、かつて「1強」と称されたときのような"エースの輝き"を取り戻せるのか。今年のGI戦線を占ううえでも、見逃せない一戦となる。

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