この記事をまとめると
■厳選された飲食店を紹介する「ミシュランガイド」■先日「ミシュランガイド東京 2023」が発表された
■なぜタイヤメーカーがこのようなガイドを作りはじめたのだろうか?
初めはドライバーに楽しい旅を提供するために作られたものだった
秋から冬にかけては空気が澄み渡り、夜空の星がとてもきれいに見える季節と言われますね。最近は密を避けて楽しめる趣味として、星空観測も人気となっています。しかし人々を楽しませる星は、空だけでなく地上にもあります。
2022年11月15日には、日本の東京でその栄誉に輝いた飲食店を紹介する、最新版の「ミシュランガイド東京 2023」が発表されました。東京版は2007年から今回で16回目の発表となっており、なんと、世界で一番多くの星が輝く都市だそう。掲載された全422軒のうち、新たに2つ星が2軒、1つ星が16軒。残念ながら新たな3つ星はありませんでしたが、32種類のバラエティ豊かな料理カテゴリーがひしめくほか、会席料理や割烹料理、蕎麦、寿司などその道を極めた店舗が多いのも日本の特徴なのだとか。
では、なぜタイヤメーカーのミシュランが、こうしたガイドを作りはじめたのでしょうか?

それはもともと、ドライバーに快適で安心な楽しい旅を提供するために作成されたものでした。1889年にミシュランが創業した時代はまだまだ、ドライブには故障などのトラブルがつきもの。そこでタイヤの使い方と修理方法、自動車修理工場のリストやガソリンスタンド、ホテルやレストランといった実用的な情報を1冊にまとめ、無料で配布したのがはじまりです。それが自動車の活用を促進し、その結果としてタイヤ市場を発展させていくことを目的として、毎年作成されるようになったといいます。
覆面調査員の評価をもとに掲載する店舗を決定
1911年にはヨーロッパ中を網羅したガイドブックが完成し、1926年に「おいしい料理を星の数で表す」という評価法がスタート。
ではいったい、評価はどんなふうに行われているのか気になりますよね。木村拓哉さんが主演のテレビドラマ『グランメゾン東京』は、このミシュランの3つ星獲得を目指すシェフの物語でしたが、そのなかでも描かれていたように、どの飲食店に星が輝くのか、その調査は覆面調査で行われています。一般人にまぎれ、ごく普通の客として調査員が来店します。「男女のペアで来ることが多いらしい」といった噂はあるものの、あくまで噂。調査員はホテルやレストランでの経験を持ち、調査員としての厳しいトレーニングを受けた社員ですが、その正体は身近な人にも明かされていないそうです。もし、皆さんのまわりに「いつも世界中を飛び回って仕事をしているけど、何をしているかよくわからない」という人がいたら、もしかすると……? ちょっとワクワクしますね。

そして、調査員が来店した際に評価される項目は5つ。「素材の質」「調理技術の高さと味付けの完成度」「独創性」「コストパフォーマンス」「常に安定した料理全体の一貫性」です。この評価をもとに、調査員、編集長、ガイドブックの総責任者による合議制で、掲載する店舗を決めていくとのこと。また読者からのメールなどにもちゃんと目を通して、それによって再調査をかけることもあるというから、信憑性が高まります。多くの著名人が、ミシュランガイドの星はお金では買えない、つまり賄賂や忖度はないと証言しているのもすごいところです。

星の意味としては、1つ星が「そのカテゴリーで特に美味しい料理」、2つ星が「遠回りしてでも訪れる価値がある素晴らしい料理」、3つ星が「そのために旅行する価値がある卓越した料理」です。
また、料理以外のところではサービスや内観などを快適度として評価していて、スプーンとフォークがクロスしたマークで表示されています。マーク5つが「豪華で最高級」、1つは「適度な快適」となっています。

というわけで、星付きレストラン200軒という、世界一の美食タウンとして認められている東京。その詳細はミシュランガイド東京の公式サイトでも公開されていますので、ぜひ次のドライブには星付きレストランを目指してみてはいかがでしょうか。